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インテリアとショッピングの「内側」から、都市を知る。『TOKYOインテリアツアー』ほか

インテリアとショッピングの「内側」から、都市を知る。『TOKYOインテリアツアー』ほか

撮影/馬場磨貴

服を買いに行くのに着る服がない! ということが高校生のころにありました。千葉の船橋で青春を過ごしたそんな私にとって、買い物をするところといえば、近所のショッピングモール。丸の内や新宿へは電車1本で行けるものの、雨風が気にならず、一度に色々なお店を見て回れて、しかも田舎くさくてもヘンな目で見られないといった理由から、近くにあるモールを選んでいたように思います。

今回紹介するのは、そのような買い物をする場所に関する2冊です。

『TOKYOインテリアツアー』は、銀座、丸の内、原宿、中目黒など九つのエリア、97のショップのインテリアを可愛らしいマップと魅力的なイラスト、デザイナーらしい批評眼で書かれたテキストで紹介するガイドブックです。

それぞれのまちに細胞のように生まれては消える都市の生命活動としてのインテリア、という視点はとても納得。本書の終わりのエッセーでは、インテリアデザインの歴史がひもとかれています。

バブル時代には倉俣史朗という天才のもとに日本のインテリアデザインは花開きます。しかし、その後、日本の経済とともに、インテリアデザインも低迷。天才を失った後のインテリアデザインには何が起こっていたのでしょうか?

それは、ショッピングモールの台頭です。1991年に大規模小売店舗法が改正され、ショッピングモールは数と規模を急速に伸ばします。

『ショッピングモールから考える』は、これまで、商店街やまちのコミュニティーを壊すとされてきたショッピングモールが、実際は、家族や高齢者に優しい安全な空間になっていると肯定し、ショッピングモールから現在の社会を読み解く試みをしています。

みなさんはショッピングモールの外観を思い浮かべることができますか? ショッピングモールは、駐車場に囲まれ、外観が記憶に残りません。しかしながら、その内部には人工的に管理された理想の都市がつくられている、というのは皮肉なことですね。

インテリアデザインという内面を紹介しながら東京のまちの変遷を記述する前者と、都市を内包したショッピングモールを紹介した後者。内側を観察しながら、都市の現在と未来を浮かび上がらせるという点で共通していると思いました。

二子玉川という日本最古のショッピングモールのあるまちで、ライフスタイルを提案する家電店としての「蔦屋家電」を両書の著者たちが評するとしたら、どのように評するか興味があります。

(文・嵯峨山瑛)

>>おすすめの本、まだまだあります

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蔦屋書店 コンシェルジュ

そのとき一番おすすめの本を、週替わりで熱くご紹介します。

●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/北田博充(文学)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)
松本泰尭(人文)/柴田あすか(デザイン)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/藤井亜希子(旅)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)
●柏の葉 蔦屋書店
大川 愛(食)

嵯峨山瑛(さがやま・あきら)

二子玉川 蔦屋家電、建築・インテリアコンシェルジュ。
大学建築学科卒業後、大学院修了。専門は都市計画・まちづくり。大学院在学中にベルギー・ドイツに留学し建築設計を学ぶ。卒業後は、出版社やリノベーション事務所にて、編集・不動産・建築などの多岐の業務に関わる。

「子どもとアウトドア」の前に読みたい3冊。『岳物語』ほか

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