花のない花屋

共働きで家事に子育て、距離ができてしまった夫へ

  

〈依頼人プロフィール〉
福山千秋さん(仮名) 41歳 女性
東京都在住
インテリアコーディネイター

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結婚して7年目。4歳と1歳の息子がいます。私も夫も仕事をしているのですが、子どもは二人ともママっ子で、何か言うとママ、ママ。休みの日などは子ども達がべったりで、ときにはうれしさを越えて、疲れを感じることもあります。「仕事に行っている方が楽かも……」と思ってしまうこともしばしば。

そんな余裕のない毎日なので、夫にはなかなか気配りができません。住宅メーカーの工事担当をしている夫の帰宅は夜遅くて、本当はご飯の準備をしてあげたいとは思いつつ、子どもを寝かしつけながら一緒に寝てしまったり。夫が家で「はあ~」「疲れた」とため息をついていると、つい、「私だって疲れてるのよ、あなただけじゃないのよ」と思ってしまいます。仕事が大変なのはわかっているのですが、育児はどうしても私の負担の方が大きいのが現状です。

冷静に考えると、夫がいてこその家庭ですし、彼はゴミ出しや洗濯なども協力してくれます。でも、つい「もっとこうしてくれたらいいのに」という気持ちになってしまい、素直にありがとうと言えません。

そんな気持ちが夫にも伝わっているのか、二人目が生まれてから、なんとなく会話が続かなくなり、距離を感じるようになってきました。昔はあんなに大好きだったのになあ……と寂しく感じています。

今後、夫との距離をどうしたらいいのだろう、と悩んでいたときにこの連載に出会いました。この機会に、日頃の感謝と「大好きだよ」という素直な気持ちを込めて、二人の距離が縮まるようなお花を贈りたいです。日々仕事で忙しく、家にいても子どもがいて休まらないので、心身共にいやされるお花だとうれしいです。

ちなみに結婚式は軽井沢の石の教会で挙げました。お花はグリーンと白で飾ってもらったのを覚えています。あの頃のピュアな気持ちを思い出せるような花束をお願いします。

  

花束を作った東信さんのコメント

結婚した頃のピュアな気持ちになれる花束を……とのリクエストでしたので、結婚式で使ったという白とグリーンの花のアレンジでまとめてみました。

使ったのは、白いバラ、トルコキキョウ、セダム、ベロニカ、千日紅など。エピソードの文面から奥様のやさしそうな雰囲気を感じたので、真っ白にはせず、ほんのりとしたピンク色や、丸い形の花を選びました。ポイントに、グリーンローズとオーニソガラムをところどころ挿しています。

全体に動きをつけて散らしたグリーンはユーカリの葉です。少しスモーキーがかっていて、ほんわかとした雰囲気に一役買っています。

この花が、二人の関係をよくするきっかけになりますように。

  

  

  

  

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

共働きで家事に子育て、距離ができてしまった夫へ

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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