こだわり派の逸品

世界各地のロースターとのつながり大切に/THE LOCAL COFFEE STAND

 東京・青山の国連大学前広場で、11月26、27日に開催予定の「TOKYO COFFEE FESTIVAL 2016 winter」。「生活とコーヒーがさらに近い存在に」をテーマに掲げる日本最大級のコーヒーイベントは、昨年9月から年3回のペースで行われている。来場者も毎回2万人を超える盛況ぶり。選りすぐりのロースターが集結する、まさにコーヒーフリークにとっては待ちきれない恒例イベントと言っていい。

 この「TOKYO COFFEE FESTIVAL」を企画し、立ち上げたのが渋谷の青山通り沿いにある「THE LOCAL COFFEE STAND」(以下、ザ・ローカル)でチーフバリスタとして活躍する大槻佑二さん。「ポールバセット」(東京・新宿)で4年間みっちりとコーヒーについて学んだ彼が、新天地を求めたのがザ・ローカルだった。大槻さんが考える、日本のコーヒー事情などについてうかがった。(文・宮下 哲)

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――お店の成り立ちは。

 母体はじつはウェブデザインの制作会社なんです。4年前に立ち上げた、自社で企画運営する「GoodCoffee」というサイトがあって、そこで日本中のスペシャルティコーヒーのショップを紹介していました。いまではインスタのフォロワーが1万8千人を超える人気のサイトです。ただオンライン上だけでなく、実際に対面しておいしいコーヒーを味わってほしいと、半年前にリアル店舗のザ・ローカルをオープンしたわけです。その頃に僕は立ち上げメンバーとして関わりました。

――ちょうどサードウェーブのブームも影響しているのでしょうか。

 そうですね。サードウェーブのブームによって、多くの人がコーヒーショップに訪れる環境が生まれました。同時にバリスタという職業自体も認知され始め、いわゆるフルーティーな浅煎(い)りの豆も多く飲まれるようになりました。昨年9月に僕が「TOKYO COFFEE FESTIVAL」を立ち上げた時は、あんなに人が来てくるとは想像もしていませんでした。これをきっかけに日本だけでなく、世界中にいる同じ考えの人やお店と一緒に盛り上げていきたいと思っています。

――なぜ「コーヒー」に注目が集まっているのでしょうか。

 よくお米などの農作物でも生産者の顔を前面に出したりしますが、これは日本に限らず世界的な潮流になっているかと思います。コーヒーも「どこの農園の誰が作って、そこは標高どれくらいの場所で、どんなふうに精製されて……」といったことが裏面を見ると記載されています。その情報があることで「安全」だと消費者は認識するわけです。さらに関心がある人が実際にカフェに行って、バリスタの味を楽しむ。とくにコーヒーのような嗜好(しこう)品は、おいしさの基準が人によって違うので、誰が作ったかということが重要になってきます。そういう意味でも、「人」にフォーカスしている分、コーヒーは、その地域に根付きやすい。僕が日本や世界各地にいる良質なロースターとのつながりを今後も大切にしていきたいと思うのはそのためです。

――ザ・ローカルが他のお店と違う点は何ですか。

 僕らのように自分たちは焙煎せずに、全国のロースターの豆をセレクトして販売するお店や通販サイトはほかにもあると思います。でも、ザ・ローカルがほかと違うのは、セレクトの対象が世界であり、専属のバリスタが常駐していること。扱うロースターは3週おきに入れ替えるようにしています。ロースターからしてみれば、「自分たちの豆をきちんとお客さんに提供してくれているか」ということがいちばんの気がかりなわけです。なので、修行をしたバリスタが淹(い)れていることはお互いの信頼関係にもつながっているのだと思います。

 また、ザ・ローカルでは、コーヒーの買い方についても新たな試みをしています。400円のコーヒーをスマホで注文し、クレジット決済でコーヒーを買うというスマホアプリ「O:der」をショーケースギグという会社が開発し、その中身をザ・ローカルが提案しました。店内にあるデジタルサイネージには、オーダー状況が随時アップされています。最近は、AI(人工知能)とチャットしながら注文ができるまでに進化しています。

――世界と日本とでは、コーヒー事情にどんな違いがありますか。

 例えばオーストラリアは、エスプレッソを使ったカフェラテが主流なので、ハンドドリップで飲むことはあまり多くありません。シンガポールのローカルな場所に行った際は、基本的にコーヒーに練乳など何かを足して飲む文化でした。いわゆる浅煎りのハンドドリップで飲むサードウェーブといわれる流れとは少し違います。

 一方、日本には昔から喫茶店のマスターが淹れた深煎りのコーヒーがあった。人気のブルーボトルコーヒーなどは、まさにそうした日本の喫茶店文化を参考にしています。ただ、ハンドドリップって、一杯を淹れるまでに最低4、5分かかるので、ある意味非効率。アメリカのような合理的な国ではなかなかうまくいかず、西海岸ではハンドドリップのブームにも陰りが出てきていると聞いています。

――今後の展開は。

 店で扱っているのは、ふだん東京では味わえないロースターの豆が多いのですが、逆に彼らからしてみれば、東京のロースターのコーヒーがあまり飲めないわけです。今後は、ザ・ローカルが東京以外に出店して、相互をつなぐ役割を果たすことができたらと考えています。生活の中で人の手によってコーヒーがさらに身近に感じられるような「街の駄菓子屋さん」的な存在にしていきたい。同時に、全国のカフェなどに、焙煎士やバリスタを派遣して雇用を創出するマネージメント的な事業もはじめています。

 ここ数年、日本のバリスタが世界で活躍していて、志望する人も増えています。焙煎士は生豆のポテンシャルを引き出すのが仕事、バリスタは焙煎した豆をどう生かすかが仕事です。料理人が魚によって焼き加減を変えるように、豆の状態を見ながら淹れ方を考える。そういった「おいしい味」を作ることができる人材のトレーニングもしていきたいと思います。

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THE LOCAL COFFEE STAND
住所:東京都渋谷区渋谷2-10-15
営業時間:8時~20時(土日9時~19時)
http://thelocal2016.com/

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