インタビュー

ミュージシャンが作った、「オニのパンツ」 ジュバンドーニ・黒川紗恵子さん

 優しい肌触りでナチュラルな着け心地のオーガニック下着「JUBAN DO ONI(ジュバンドーニ)」。今年の5月に発売が始まり、はいている人はまだ300人程度という知る人ぞ知る存在ながら、リピーターや大人買いするファンも多い注目のブランドです。手がけるのは、バンド活動、歌手のサポート、レコーディングなどで幅広く活躍中のクラリネット奏者、黒川紗恵子さん。はき心地がいいものを探し求めるうち、ついに自分で作ってしまった、“鬼のパンツ”の魅力についてうかがいました。
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――下着づくりを始めたきっかけは。

 もともと肌が弱く、化繊の下着やゴムの締め付けが苦手でした。肌に優しい天然素材で、デザインもシンプルなものを探し続けてきましたが、イイものに出会えなくて。あるとき、デパートの下着売り場でがくぜんとしたんです。色とりどりの華やかな下着が並んでいるけれど、どれもレースやリボン、フリルいっぱいの華美なデザイン、生地はテカテカ。締め付けたり矯正したりするものばかりで、私が欲しいと思えるものはない……。「だったら自分でつくるしかない」と、15年ぐらい思いをあたためて、5年前に一念発起しました。
 とはいえ、知識も経験もないところからのスタートです。まずは100円ショップで買った下着を解体して型をとったり、理想の生地を探して日暮里の問屋街に通ったり。でも自分だけで作るのには限界を感じ、パターンナーにお願いすることに。日本では下着のパターンについての情報はほとんどなく、独自の技術と時間を駆使して納得のいく形にしてくれました。アイデアやリクエストを形にしてくれる頼もしいパターンナーに巡り会えたので、今後も楽しみです。

――そうして生まれた「ジュバンドーニ」のラインアップは、ウエストの高さがおへそより下のショートパンツ、おへそがかぶるくらいのミドルパンツ、おへそより上のロングパンツなどの細かいバリエーションがあり、現在9アイテムに。どれもオーガニックコットン製で、「はいていることを忘れてしまう」との感想もあるとか。

 とにかく「身に着けていてストレスがない」ことが最大のテーマです。たとえば、ウエスト部分はゴムではなく、トレーナーの襟や裾などに使われているリブ素材を用いていて、おなか周りを幅広の面で優しくサポートします。太もも周りのゴムも、一般的なショーツより緩めにつくってあり、食い込んだりしませんし、ボクサータイプはこの部分を締める必要がないことから、ゴムを一切使っていません。
 さらに、生地と生地の縫い合わせ部分も、通常は内側(裏)に隠すように処理しますが、「ジュバンドーニ」では縫いしろのステッチ部分をあえて表に出して、肌には何も当たらないようにしています。

――つけ心地を追求した結果のステッチは、デザインのアクセントにもなっています。

 生地とステッチのカラーリングなどを考えるのは、つくる側も楽しいです。やわらかな肌触りの生地は、GOTS認定のオーガニックコットン。原綿から染めているので色あせしにくく、自然で深みのある色あいです。意外にも男性からピンクのパンツのリクエストが多数あったので、今回、新色の仲間入りをしました。新作の、リブがみぞおちまでくる腹巻きタイプのパンツも、冷えが気になる女性だけでなく、男性からも「こういうのが欲しかった」と言われます。リブは体に自然にフィットして服のラインに響きにくいので、男女ともにオフィスにもはいていきやすいと思います。
 展示会などで直接お話ししてみると、皆さん「もっとこういう下着がほしい」「市販の下着のここが困る」など、下着に対して思い入れというかアツい思いがあるようで、話が盛り上がります。下着って、とてもプライベートなもの。そんなアイテムを通じて本音のニーズを伝えたり、価値観を共有できたりすると、一気に親しくなれたりするから不思議です。

――ブランド名の由来である「鬼のパンツ」の童謡も、鬼がひたすら自分のパンツを自慢して語る歌ですね。

 「10年経っても破れない」とすすめるので(笑)。JUBAN DO ONIのJUBANは、着物の「襦袢(じゅばん)」から。腰巻きと襦袢という、布をまとうだけだった昔の下着のような解放感を取り入れたいという思いからです。
 音楽もパンツも、気持ちがいいものという意味で、根っこはつながっているのかもしれません。音楽は私にとって、自分の一部のように密接に感じるのに対して、ジュバンドーニの下着は、自分とは切り離して客観的に見られる存在。イイものだから鬼のパンツの歌のとおり、「はこう、はこう」って、多くの人にはいてほしいです。ただ、実際はいたら「はいていることを忘れる」かもしれないし、本当は何もはかないのがイチバンだって思っています(笑)。

(文・野田まゆ)

JUBAN DO ONI 2nd exhibition
これからの季節にぴったりの暖かい新商品、腹巻きパンツやレギンスなどが展示、販売されます!
日時:11月18日(金)、19日(土) 11時~20時
会場:FARO COFFEE&CATERING 東京都文京区本郷2-39-7 エチソウビル204
    03-6240-0287
>>JUBAN DO ONI ウェブサイトはこちら

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