ほんやのほん

モノを作る人の頭の中を、のぞき見る。『Where They Create』ほか

モノを作る人の頭の中を、のぞき見る。『Where They Create』ほか

撮影/馬場磨貴

人の仕事場、つまりはモノが生まれる場所を見ることはとても楽しい。今回は3冊の仕事場に関する本を紹介します。

働く空気の濃度が直接伝わってくる『Where They Create』

『Where They Create』はタイトル通り、クリエーターのアトリエやスタジオを取材した本です。オーストラリア人フォトグラファーのポール・バルベーラが2009年にはじめた同名のブログが元になっています。

モノを作る人の頭の中を、のぞき見る。『Where They Create』ほか

『Where They Create』Alexandra Onderwater(著)、Paul Barbera(写真) Frame Pub 6050円+税

Acne StudioやOpening Ceremonyなどのファッションブランドや、Fantastic ManやWallpaper*などの出版社、アーティストなど32人の仕事場を取材しています。

何よりも魅力的なのは、露出が低く、粒子が粗い写真。彼らの働いている空気の濃度が直接伝わってくるかのようです。彼自身が語っているように自然光で「as is(そのまま)」が映し出されています。どのような椅子に座って、どのような物に囲まれて制作しているのかを知ると、彼らが何からインスピレーションを得ているのかをうかがい知ることができます。

また、インタビューも掲載されており、「どのような仕事か」「どれくらいの大きさか」「仕事場の中で一番好きな場所はどこか」「ペットはいるか」「植物はあるのか」などの質問に対する答えも、それぞれ彼らの仕事ぶりを表していて興味深いです。

日本のクリエーターの働き方を再発見『Where They Create JAPAN』

5年後に発売された『Where They Create JAPAN』では、前著の体裁はそのままに、アートディレクターの長嶋りかこさんからはじまり、アーティストの名和晃平さん、デザイナーの吉岡徳仁さん、トラフ設計事務所に至るまで、日本の一線を走る32人の仕事場が紹介されています。ポール・バルベーラという海外の視点から見た世界から、日本のクリエーターの働き方、特異性が再発見できます。

モノを作る人の頭の中を、のぞき見る。『Where They Create』ほか

『Where They Create JAPAN: Creative Spaces Shot by Paul Barbera』Kanae Hasegawa(著)、Paul Barbera(写真) Frame Pub 4400円+税

空間を占拠してしまう本を精密に紹介『センセイの書斎』

たくさんの資料本を駆使して文章を書く作家や研究者を中心とした「センセイ」たちの仕事場、つまり書斎を精密なスケッチとともに紹介。本に囲まれた俯瞰(ふかん)図のまわりには本棚にあるタイトルがおびただしく並べられ見るものを圧倒します。

仕事柄空間を占拠してしまう本に対して、彼らがそれぞれどのように付き合っているのかは、同じく本のある「仕事場」の私にとっても、「この本の隣にこの本が置いてあるのか」といった小さな感動でいっぱいでした。

仕事場も、そこにある本棚も、人の頭の中をのぞき見るようです。彼らの頭の中をこっそりと、のぞき見ませんか?

(文・嵯峨山瑛)


  •    

    古く素敵なモノとの出会い『北欧 ヴィンテージ雑貨を探す旅 』
       

       

    古く素敵なモノとの出会い『北欧 ヴィンテージ雑貨を探す旅 』


       

  • >> おすすめの本、まだまだあります

    PROFILE

    蔦屋書店 コンシェルジュ

    そのとき一番おすすめの本を、週替わりで熱くご紹介します。

    ●代官山 蔦屋書店
    間室道子(文学)
    ●二子玉川 蔦屋家電
    岩佐さかえ(健康 美容)/北田博充(文学)
    嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)
    松本泰尭(人文)/柴田あすか(デザイン)
    ●湘南 蔦屋書店
    川村啓子(児童書 自然科学)/藤井亜希子(旅)
    八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)
    ●柏の葉 蔦屋書店
    大川 愛(食)

    嵯峨山瑛(さがやま・あきら)

    二子玉川 蔦屋家電、建築・インテリアコンシェルジュ。
    大学建築学科卒業後、大学院修了。専門は都市計画・まちづくり。
    大学院在学中にベルギー・ドイツに留学し建築設計を学ぶ。
    卒業後は、出版社やリノベーション事務所にて、編集・不動産・建築などの多岐の業務に関わる。

    絵本を開くと、世界が開く。『かじり屋ニブルス』『あおいよるのゆめ』

    一覧へ戻る

    カヌレが、ボルドーの修道院で作られていたなんて。『私のフランス地方菓子』

    RECOMMENDおすすめの記事