このパンがすごい!

朝も夜も、食欲そそりまくりのサンドイッチ食堂/レフェクトワール

ランチセットのクロックムッシュプレート

ランチセットのクロックムッシュプレート

レフェクトワール(東京)

 京都と東京で展開する人気ブーランジュリー、ル・プチメックによるサンドイッチ屋さん。作りはじめるのは客の注文を受けてから。普通のパン屋さんではできない、あつあつのいちばんおいしい瞬間がここでは供される。きちんとダシ(フォン)をとり、火を入れた自家製の具材。セルフサービス、テイクアウトを採用して、おいしいものを安く提供、フレンチの敷居を下げる、フランスに渡って修業した西山逸成(いつなり)オーナーにしかできない、フレンチ風サンドのテーマパーク。

 西山さんの作るどれもこれもが確実に食欲のツボを突く。いわば、サンドイッチのそそりまくり方程式を、人生を通じて身に付けてしまったようなのだ。

小倉トースト

小倉トースト

 朝のモーニングセットには、小倉トースト。ここで発動される方程式は、バターとあんこという麻薬的な組み合わせ。あんこのディッシャー一盛りがバタートーストを夢の食べ物に変える。すばらしいのは食パンの食感。ふにゃふにゃとやわらかくて芯にだけむにっと噛(か)みごたえがある。そうあるべきものがきちんとそのようにあることはなんと幸せだろう。

 ランチセット、クロックムッシュも然(しか)り。そそりまくりのヴィジュアルを見よ。業務用オーブンならではの熱量でばりっと強めに焼かれた食パンの香ばしさ。ハムとベシャメルソースの甘さと塩気のバランス。脂が浮いて光っている焼きたてとろとろチーズの媚態(びたい)ときたら。

鶏もも肉のバーガー エピスソース

鶏もも肉のバーガー エピスソース

 15時半からはディナーのメニューになる。「鶏もも肉のバーガー エピスソース」にはさまれたぶ厚い鶏肉。ぶるるんという噛みごたえがなんと肉欲をそそることか。赤ワインを煮詰めてまろみ、甘さを出したソース、そしてブリオッシュのバンズの甘い香ばしさは、肉の甘み、旨味(うまみ)をわかりやすく強調。その一方で、ソースに加えられた6種のスパイス(キャトルエピスやカルダモンなど)は異国の香り、フランスへの目配せを忘れない。

タルティーヌ ローストビーフ フルムダンベールのソース

タルティーヌ ローストビーフ フルムダンベールのソース

 「タルティーヌ ローストビーフ フルムダンベールのソース」で発動される、でか盛り方程式。山と盛られたベビーリーフのサラダには頭から突っ込みたくなるほど。これを、ナイフとフォークを使いこきこきと食べるのは嬉し恥ずかしな非日常体験。ベビーリーフをかき分けると出現する、あこがれのローストビーフ。もっちりした弾力とともに口の中に満ちる、ビーフの風味にきたーと思う間も無く、揺さぶりをかけるのは青カビチーズ。その癖のある風味は、蜂蜜でたくみにバランスがとられ、さらに野生味あふれる香り同士のクルミ、そしてパンの中のルヴァン(発酵種)の香りが寄り添う。軽やかなフレンチドレッシングは大量の野菜をがぶがぶと食べさせ、肉に絶妙の酸味とさわやかさを与える。

パンも販売。テイクアウトできる

パンも販売。テイクアウトできる

 パン屋が営むサンドイッチ屋の強みはなんといってもパン。多くのアイテムで使用されている食パンやブリオッシュは先駆的な技術で作られると西山さんは言う。

 「前日に生地を一度作って熟成させたあと、当日にもう一度こねて油脂分(バターなど)を合わせます。中種製法(前日に種を作る)の日持ちするよさ、ストレート製法による風味のよさ(当日仕込み)、両方のいいとこどり。こんな作り方を考えた、青い麦(大阪の名店)の福森さんはほんまに天才やと思います」

 レフェクトワールの場所は原宿タケオキクチビル。西山さんから泉のように沸き出したアイデアを人気デザインチーム「ランドスケーププロダクツ」が西海岸風の内装によって、快適で楽しい空間として実現。セルフサービスゆえに、ずっとほっといてくれることが居心地よく、仕事や読書にももってこい。原宿界隈(かいわい)の人たちのまさに「レフェクトワール」(フランス語で食堂の意味)になっている。
 

セルフサービス。片付け口

セルフサービス。片付け口

■レフェクトワール
東京都渋谷区神宮前6-25-10 タケオキクチビル3F
03-3797-3722
8:30~20:00(イートインのラストオーダー19:00、テイクアウトは20:00まで可)

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連載が本になりました!

 この連載をまとめた書籍 『日本全国 このパンがすごい! 』 が発売されました。北海道から沖縄までパンラボ池田さんが見つけた「すごいパン屋」の逸品を紹介する究極のパンガイド。新たな写真や「おすすめの食べ方」などの補足データもたっぷり盛り込み、パワーアップした保存版です。

朝も夜も、食欲そそりまくりのサンドイッチ食堂/レフェクトワール

『日本全国 このパンがすごい!』(朝日新聞出版)1,200円+税

 さらに、池田さんとレフェクトワールの西山オーナーの共著『空想サンドウィッチュリー』も出版されました。こちらは、池田さんの無茶ぶりにこたえて西山さんがオリジナルのサンドイッチを創り、いろんな場所に建てたダンボール製の屋台で「空想のサンドイッチ屋さん」を店開きする、というなんとも手の込んだ前代未聞のプロジェクト。海、桜の公園、無人駅、戦場(?)、江戸時代(??)……とサンドイッチ屋台は神出鬼没。そこで供されるメニューも驚きがいっぱいです。

「空想サンドウィッチュリー」(ガイドワークス刊)。kindle版もある

「空想サンドウィッチュリー」(ガイドワークス刊) 2,000円+税。kindle版もある

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PROFILE

池田浩明

佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)
http://panlabo.jugem.jp/

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