花のない花屋

50年来の友人に、脳梗塞からの再起を願って

  

〈依頼人プロフィール〉
津森聡子さん 69歳 女性
カナダ・バンクーバー在住

    ◇

私には中学、高校、短大と一緒に過ごした仲のいい友人がいます。短大時代はさらに4人が加わり、私たち6人は勉学に、遊びにと楽しい青春時代を過ごしました。

卒業後はそれぞれ結婚し、住んでいる場所もみんなバラバラになりましたが、なにかあれば理由を作って会っていました。

私は実家のある北九州で就職しましたが、結婚を機にバンクーバーへ。海外に渡ってからは、なかなかみんなに会うことはできませんでしたが、帰国のたびに、彼女は長崎から北九州へ来てくれたり、私が長崎に行ったりしていました。

3年前の夏には、彼女が中心となって計画し、念願の6人全員での一泊旅行を敢行。長崎に行って学生時代に戻ったように楽しみ、「またみんなで会おうね!」と再会を誓い合って別れました。

彼女から連絡がこなくなったのは、昨年末のことです。それまではメールをすると必ず返信があったのに、ぱたりと返信がこなくなりました。電話をしても留守電です。心配でいてもたってもいられなくなった頃、息子さんから「脳梗塞で倒れた」とメールがありました。

詳しいことがわからないまま3カ月が過ぎた頃、日本に住む友人の一人が彼女のご家族と連絡をとることができて、かなりの重症だったことがわかりました。幸い、今は退院し、これからリハビリが始まるそうです。本人はもちろん、家族も大変だと思います。

どうか、彼女が希望を持ってリハビリを続けられるよう、そしてもう一度みんなで旅行ができるよう願いを込めて、私たち友人5人から花束を贈りたいです。

3年前の夏にみんなで行った長崎のグラバー邸を思い出せるような、明るく希望の持てるアレンジをお願いいたします。

  

花束を作った東信さんのコメント

「グラバー邸を思い出せるような花束を」とのご希望だったので、グラバー園の中庭にある花壇をイメージして造りました。

5人の友達からの花束なので、主に使った花材は5種類。中心からスズラン、マリーゴールド、ナデシコ、レースフラワー、グリーントリュフです。5人の友情、5人の絆を季節の花で表しました。バランスをとるため、ポイントに紫色のハギを少しだけ加えています。

庭の花壇なので、人の手が加わった雰囲気を意識的に出しました。お友達はグラバー邸の旅を思い出してくれたでしょうか。早くまたみなさんで旅行ができるといいですね!

  

  

  

  

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」まとめ読み

     ◇

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

50年来の友人に、脳梗塞からの再起を願って

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

facebook

instagram

http://azumamakoto.com/

PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


縁あって家族に 東北いわき市に住む義父母へ 

一覧へ戻る

「あの日」を笑顔で迎えるために、私たち家族へ

RECOMMENDおすすめの記事