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あなたの悩みに効く世界文学。『文学効能辞典』ほか

あなたの悩みに効く世界文学。『文学効能辞典』ほか

撮影/馬場磨貴

世界文学と聞くとなんだかおっかないと身構える人は少なくないだろう。“文学”の時点で一、二歩後ずさりしてしまうのに、“世界文学”となった時にはまさに「ニューヨーク・ヤンキースにアーロン・ジャッジ(※鬼に金棒と同意)」である。

と、まあそんなわけで「難しそう」とか「人物の名前が覚えられなさそう」とかの理由からなかなか敬遠されがちな世界文学であるが、そんな人たちでも手にとりやすい本を2冊ご紹介。

時代ごとの名作を網羅

まず1冊目はその名もズバリ『世界文学大図鑑』。名前からして敬遠されそうな雰囲気を醸し出しているものの、実際の中身はイラストが非常に多く初心者でも楽しめるつくりになっている。

紀元前の『ギルガメッシュ叙事詩』から現代のジョナサン・サフラン・フォア(映画化もされた『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』が有名)に至るまでがきちんと時代順に並んでおり、『源氏物語』や『嵐が丘』『罪と罰』といったその時代ごとの名作が網羅されている。まさに世界文学グレイテスト・ヒッツと言えるような内容だ。

各作品のページには作品の概要と何を描こうとしていたのか(主題)がじっくりと掘り下げられている。加えて著者のプロフィールや、関連するテーマの他の作品も紹介されていて心憎い構成だ。

それなりに値は張る本だが、1冊あるだけで次に何を読めばいいかの手引きとして十分に活用できる優れもの。また時系列順に掲載されており、文学史の勉強にも役立つので学生にもおすすめできる。

自分の症状から逆引き

続いて2冊目は『文学効能辞典』。こちらは1冊目と異なり、内容から索引できるようになっているのが大きな特徴。

タイトルの通り、文学の“効能”について書かれている本なので、読者は自分が当てはまる症状から逆引きして本を探すことができる。「なんだか文学って難しそうだしぃ、ゲロゲロ~!」なんて思っている人でも、自分の気分に沿ったものに当てはまる本なら手に取りやすいのではないだろうか。

たとえば「つま先をぶつけた時は『若い藝術家の肖像』を読め」といったように、その時の気分や状態に寄り添った1冊を教えてくれる、まさにカルテのような本。ちなみになぜつま先をぶつけた時に『若い藝術家の肖像』を読むべきなのかは本を読んでのお楽しみ。「そんな理由から!?」と思わず吹き出してしまいそうな面白い回答が載っているとだけ述べておく。

この本は辞典と言いつつも、各項目が短いエッセーのようになっている。内容も単なるネタバレに終始するような展開はなく読み物としても成立しているので、本を読んでいるうちに意識せずとも文学作品に詳しくなっているという、優れた“効能”が得られるはずだ。

というわけで、おすすめの2冊を紹介した。どちらも単に知識を増やすための本ではないということがおわかりいただけたのではないだろうか。

確かに世界文学はなじみがないと難しく感じるし、何から読めばいいのかわかりづらい。しかし一度読み始めれば、そこには普段自分が見たことや感じたことのない、時代や文化を超えた世界が待っている。

そしてそれに触れることで自分の中に新たな視点を得ることも可能になる。その一歩を踏み出す際にこの2冊が役に立てば、紹介した者としてはこの上ない喜びだ。

(文・松本泰尭)


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