冷水料理相談室

外国暮らしの息子夫婦へ。旬をまるごと、秋の煮物

  

〈相談者プロフィール〉
高橋つや子さん 71歳 女性
東京都在住
主婦

    ◇

 海外赴任をしている息子夫婦が一時帰国します。

 アメリカのニュージャージー州に転勤になり3年目。仕事の都合で3カ月に1度、数日から1週間ほど帰国するのですが、その間は我が家か奥さんの実家に滞在することになっています。

 慣れない外国での生活ではありますが、現地社員の方のホームパーティーにお呼ばれしたり、夫婦で近場に旅行に出かけたりと充実している様子。ただ食事面に関してはやはり大変なようで、アメリカ風のボリューム満点でスタミナがつきそうなメニューがどうしても続いてしまうのだとか。

 帰国時、我が家に滞在する際は私が料理を作るのですが、メニューはハンバーグやカレー、から揚げなど、息子が結婚前に好きだったものが定番。いつも喜んで食べていたのですが、今回、10月の帰国時には「秋の旬の食材を使った料理を食べたい」と、珍しくリクエストがありました。

 親が言うのも恥ずかしいのですが、息子は周囲に気を遣う子で、きっと今まではリクエストするのを遠慮していたのでしょう。私は私で「たまに会うのだから」と張り切って、息子の好物ばかり用意していました。

 でも、息子ももう大人です。味覚も変わるでしょうし、季節や旬を感じられるような大人っぽい料理を好むようになったのだなと、そのリクエストを聞いてはたと思ったのでした。

 思い返せば私の母も季節の食材を上手に使う人で、私も自然と子供たちには旬を意識した料理を作ってきたつもりです。秋ならさんまの塩焼き、栗ご飯、ユリ根ご飯、マイタケの天ぷら…。もしかしたら息子も子供の頃に食べた秋の食卓を懐かしく思っているのかもしれません。

 10月の帰国時には、日本の秋の食材を使った料理をぜひ作ってやりたいのですが、せっかくなので食べ慣れたメニューではなく、息子が「これ、どうしたの!?︎ すごくおいしいね」と驚いてくれるようなものを振る舞いたいと思っています。

 いつもの食材でも、調理方法や味付けで新しい料理を作れるようなコツを、ぜひ冷水さんに教えていただければと思い、筆をとりました。親はいつまでたっても親なのですね。いくつになっても、子供には超えられていないというところを見せたいのです(笑)。どうぞよろしくお願いいたします。

旬のサンマで作る、しみじみ梅煮

  

<冷水先生からのメッセージ>

 大きくなったお子さんに、ついハンバーグやカレーを作ってしまうお母様のお気持ち、なんだかわかるような気がします(笑)。

 今回はアメリカから一時帰国されるということで、旬のサンマを使った煮物をご紹介したいと思います。

 サンマといえば一番に思い浮かぶのは塩焼きですよね。でも脂の乗ったサンマは煮物にしても絶品。たっぷりのしょうがと梅と一緒に煮ることで、さわやかな味わいに仕上げることができます。

 ポイントはサンマが煮崩れしないよう、弱火で静かに煮ること。今回はごぼうを加えましたが、れんこんでもおいしいと思います。

 根菜類は魚と一緒に煮始めると味が濃く入ってしまうので、加えるのは時間差で。今回のようにささがきや薄いスライスにする場合は、あらかじめ下ゆでしておいて、最後に5分程度さっと煮るといい塩梅(あんばい)になります。

しょうがの千切りを鍋に敷き、その上にサンマを乗せます。サンマが鍋底に触れていると焦げたり、煮崩れたりするのでご注意を


しょうがの千切りを鍋に敷き、その上にサンマを乗せます。サンマが鍋底に触れていると焦げたり、煮崩れたりするのでご注意を


今回はささがきにしましたが、好みで四つ割りなどにしても。その場合は煮る時間を少し長めにしましょう


今回はささがきにしましたが、好みで四つ割りなどにしても。その場合は煮る時間を少し長めにしましょう

■サンマとごぼうの梅煮

◎材料(4人分)
サンマ…2匹
ごぼう…20cm
梅干し…2個
しょうが…1片
酢…50ml
酒…150ml
水…200ml
薄口しょうゆ…大さじ1
砂糖…大さじ1と1/2

◎作り方
1 サンマは頭と内臓を取ってから水気を拭き、4等分の筒切りにする。ごぼうはささがきにして水にさらしておく。しょうがは千切りにする。

2 鍋(18㎝くらい)に1のしょうがを敷き、その上にサンマと梅干しをのせる。酢、酒、分量の水を加えて火にかけ、沸いたらアクを取り、落としぶたをして弱火で1時間ほど煮る。(途中水分が減ってきたらサンマがひたひたになるくらいまで水を足しながら煮る)

3 2に薄口しょうゆと砂糖を加えて20~30分煮て、具を取り出す。

4 熱湯で1~2分ゆでた1のごぼうを3の煮汁に入れ、4~5分煮る。サンマ、しょうがと一緒に器に盛り、煮汁をかける。

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PROFILE

外国暮らしの息子夫婦へ。旬をまるごと、秋の煮物

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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