リノベーション・スタイル

<160>「こんな暮らしがしたい!」を叶えるセカンドライフのリノベ

[M邸]
Mさんご夫婦(夫58歳・妻54歳)
神奈川県川崎市 築42年/56.88m²/総工費 非公開

    ◇

 今回は、お子さんたちが独立して2人暮らしになったご夫婦が、「本当はこんな暮らしがしたかった」と理想の住まいを実現させた事例です。

 こちらの建物は3階建てのMさんの自社ビル。お父様が塗装関係の会社の創業者で、もともとは1階が倉庫、2階が事務所、3階が2部屋に分かれた社員寮でした。Mさんが家業を引き継がれたときに、空いていた3階の社員寮を改装し、長年ご家族で住んでいらしたとのこと。このときの改装は簡単なもので、2部屋の壁を1カ所つないだだけで、玄関は二つあるまま。部屋も細かく分かれていました。

 そこで、お子さんたちが独立したことをきっかけに、理想の住まいを実現すべくリノベーションに踏み切りました。今回のテーマは奥様の好きな“フレンチシャビー”の世界観を実現すること。アンティークの家具や照明をそろえ、「すべて白く塗りたい」というリクエスト通り、白を基調とした空間に仕上げました。

 間取りはほぼワンルーム。リビングダイニング、キッチン、寝室をひとつの空間に配置しています。寝室は部屋の一番奥に置き、屏風(びょうぶ)で空間を仕切りました。ちなみに寝室の煉瓦(れんが)はイギリス製のアンティーク煉瓦です。

 寝室と玄関の間には大きめのウォークスルークローゼットを置き、ここに収納を集約させることで、他のスペースを広く使えるよう工夫しました。また、「2人暮らしなのでお風呂の追いだきはいらない」とのことで、思い切って洗い場を省きました。潔くホテルライクにしたことが、かなりのスペースの節約になっています。

 さらに、換気がよくかつ断熱された快適な空間をご希望だったので、屋上には断熱および遮熱塗装を施しています。

 今回は奥様主導のリノベーションでしたが、ご主人からのリクエストも二つありました。ひとつは、高校生の頃に買ったスピーカーを設置したいということと、もうひとつは天井からモノを吊(つ)り下げられるよう、ピクチャーレールをたくさんつけたいということでした。スピーカーはご自分で白く塗り、リビングに吊るされています。テレビはなく、夜はスクリーンを下ろして、映画やDVDをのんびり楽しまれるそうです。

 結果として、ご夫婦は大満足。広々とした明るい開放的な空間で心地よいとおっしゃっていました。お子さんの独立と同時に飼い始めたネコたちも、広いワンルームを走り回り、以前より元気になったとか。

 空間を変えることで、充実したセカンドライフのスタートを切ったおふたり。やりたいことをやる、というのは生きるエネルギーを与えてくれますね。

(構成・宇佐美里圭)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

<159>家具選びと配置がポイント。物が多くてもリラックスできる空間

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<161>外観は古民家風に、空間はイギリスのB&Bのように

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