リノベーション・スタイル

<161>外観は古民家風に、空間はイギリスのB&Bのように

[arbre]
Mさん(40代)
東京都品川区 築41年/77.08m²(リノベーション竣工時)/総工費1190万円

    ◇

 不動産にも人の数だけいろいろなストーリーがありますが、今回のケースは「そんなことあるの?!」というような、ラッキーな事例です。

 Mさんは舞台の小物を作るお仕事をされていて、ご実家に住みながらお勤めをしていました。ところが、お兄さんのご家族が実家に戻ってきて一緒に住むことになり、小さいお子さんと生活時間があわないため、ご実家を出ることに。

 そこで、まずは実家近くの中古マンションを探していたのですが、たまたま隣の平屋が売りに出ました。ところが値段が高くて手が届かず、他の物件を不動産屋に聞いたところ、反対隣の戸建ての2階が賃貸で空いていることがわかったのです。ちょうど実家のL字型の土地のくぼんだ部分にある家でした。

 偶然Mさんのお父様と家主が知り合いだったこともあり、「1階の住人を退去させない」という条件で2階建ての戸建てを購入することに。

 Mさんとしては、1階の家賃収入もありローンが組みやすく、いいことだらけ。さらに、その土地を購入すれば実家の土地がきれいな四角形になり、土地の価値が上がります。つまり相続のときに有利になります。一人暮らしをしようとしたら、あれよあれよという間にいい不動産が買えてしまったという非常に希少な例です。

 さて、リノベーションは「壁で仕切られたワンルーム」という構成にしました。木造の戸建ですが、耐震補強などをして構造的な壁を残しつつ、うまくワンルームのような広い空間を造っています。天井は小屋裏を出して、戸建てっぽさを意図的に残しました。

 玄関は1階にあり、内階段を上って2階へ。部屋の真ん中にキッチンがあり、右手にリビングダイニング、左手にベッドルームとサニタリーを配置しています。キッチンカウンターは少し長めの1メートルに。友達を呼ぶことが多く、重宝しているようです。

 全体のデザインのキーワードは「イギリスのB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)」です。Mさんは昔、ロンドンに1年ほど住んでいましたが、その当時に泊まったB&Bの雰囲気が好きだったとのこと。サニタリールームなどもシンプルで、どことなくB&Bの感じと昭和の民家の雰囲気がマッチしていますよね。

 物作りが好きなMさんらしく、洗面台の鏡は自分でIKEAのものを取り付けたそう。自分の好きな世界観を存分に楽しみつつ、将来的な資産の面でもメリット大。不動産購入までは1年近くかかったそうですが、それだけ時間をかけたかいがありましたね。

(構成・宇佐美里圭)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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