花のない花屋

東信さんのプロジェクトがNYT「Turning Points」に選出

Sephirothic Flower: Diving Into the Unknown


Sephirothic Flower: Diving Into the Unknown

The New York Timesが年1回、年の終わりに発行する雑誌「Turning Points」で、2017年を象徴する三つのクリエイティブワークの一つとして、東信さんと花樹研究所(AMKK)のプロジェクト「Sephirothic Flower -Diving Into the Unknown-」が選ばれました。

今回選ばれたプロジェクト「Sephirothic Flower -Diving Into the Unknown-」は、「自然界では存在し得ないような地球上のさまざまなシチュエーション」で東さんが花をいけるアートワーク「In Bloom」の最新作です。
「Sephirothic」とは、旧約聖書の創世記に登場するエデンの園に植えられたセフィロト「生命の樹」のこと。「生命の樹」としての花や盆栽を、駿河湾の深海へと沈め、花々が深海という未知なる空間でどのような姿を見せ、激しい海流や低音、また光のない世界でどういった現象が起きるかを追求した実験的なプロジェクトです。

これまでの「In Bloom」で、ネバダの砂漠から宇宙(成層圏内)へ植物を打ち上げたり、フィリピン・ネグロス島沖合の海の真ん中で花をいけたりしてきた東さん。日本で最も海溝が深く、このプロジェクトにふさわしい場所として今回選んだのは駿河湾。「深海は生命の源。このプロジェクトで、生きている花を、暗くて未知の深い海中に沈め、花の持つ可能性を追及したかった」と東さんはいいます。

深い水中に花とカメラ機材を沈めるために、東さんたちは海洋研究開発機構とパートナーを組み、構想から約3年にわたって準備。水圧実験やプールでの動作実験もしたそうです。撮影は2017年8月、「潮の流れの中で優雅に動いてくれそうな、強くていきいきとした花」をいろいろ選び、駿河湾内の水深300~1000メートルまでの5カ所にわたって行われました。

東さんは、
「花を沈めてみたら、彼らのしなやかさと強さに何より驚きました。初日は激しい嵐のような天気だったのですが、花は壊れもつぶれもしませんでした。その代わり、花たちは柔らかく形を変え、海の底へと沈んでいきました。花の色はむしろ、海中のほうが豊かに見えたのです」
と、The New York Timesにコメントを寄せています。
作品は、東さんのサイトで公開されています。
The New York Times:Turning Points の記事へ

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

東信さんのプロジェクトがNYT「Turning Points」に選出

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。

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