ほんやのほん

読書芸人のロケで考えたことと『東京自叙伝』

読書芸人のロケで考えたことと『東京自叙伝』

撮影/馬場磨貴

10月某日、当店にて「アメトーーク! 読書芸人」の収録が行われました。昨年に続いて2度目のロケ。MCの雨上がり決死隊の宮迫博之さんと蛍原徹さん、読書芸人の又吉直樹さん、光浦靖子さん、カズレーザーさんがにこやかに登場。いつもはここに若林正恭さんが入るのですが、今回は東野幸治さんが参戦。

自分と「口の合う人」みつけるのがコツ

オープニングの外でのトークで、すぐそばの旧山手通りを突っ走るバイクのエンジン音で収録が中断する様子がオンエアで映っていましたが、スタッフさんも芸人さんも「これがロケのだいご味」と言わんばかりの笑顔で雰囲気よく、ハプニングを上手に使うと、現場の臨場感になる!と。感心、感心。

店内に移動し、本を紹介するコーナーの冒頭、光浦さんが「私たちは好きな本を出しているのに、『オススメ本』とタイトルを変えられるから、世間の人は“薦められてる!”と思って買うでしょう? それで読みなれてない人から“わかんない”って言われて。よろしくないことに」と訴える場面が放送されていました。

ここで思い出したのは、別の番組で千原ジュニアさんが言っていたこと。彼はよくお食事処のランキングのサイトを見るそうですが、「自分と『口の合う人』を見つけるといい。自分がおいしいと思ったお店にいつも高得点を付けてる人っている。その人をマークして、全体の合計点が高い店じゃなくて、その人がいいと言ったお店に行くとはずれがない」

これだけ情報あふれるご時世、誰かが取りあげた本を「わからない」と思う人は苦情を寄せるのではなく、自分と「読書目線の合う人」を見つけていけばいいんじゃないかな、と思いました。

語り手の「東京」が、最後には……

今回は4人の好きな本がたくさんあり、書名紹介だけでコメントが映らなかった作品も。その中から光浦さんが挙げていた奥泉光先生の『東京自叙伝』を私の言葉で紹介いたしましょう。私も大好きな作品なんです。

車が語り手、犬が語り手、虫、財布、人形など、いろんな「人でないもの」が語り手の作品がありますが、本書の語り手は「東京」。しかし「私は東京ですが」と言われても漠然としすぎる。そこで東京は人間やネズミ、猫、アサリ(!)などにとりつき、産声をあげた明治維新から3・11までの自叙伝を語り始めます。

一度に複数のものが「東京である私」になることもあり、「私が私に殺されるのを私が目撃する」というシーンも。こんな荒唐無稽をリズムよく読ませてしまうのが奥泉先生の真骨頂。ラストでは「私」が「私たち」と言い直され、東京は読者を飲み込み始めます。私は私が私に問い詰められていくのを読む……。この迫力!

当店の読書芸人コーナーは年始までの予定です。4人の好きな本を、自分の好みと照らし合わせながら選んでみては?

(文・間室道子)

>> おすすめの本、まだまだあります

PROFILE

蔦屋書店 コンシェルジュ

そのとき一番おすすめの本を、週替わりで熱くご紹介します。

●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/中田達大(ワークスタイル)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/松本泰尭(人文)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/藤井亜希子(旅)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)
●柏の葉 蔦屋書店
大川 愛(食)

間室道子(まむろ・みちこ)

代官山 蔦屋書店の文学コンシェルジュ。
テレビやラジオ、雑誌でおススメ本を多数紹介し、年間700冊以上読むという「本読みのプロ」。お店では、手書きPOPが並ぶ「間室コーナー」が人気を呼ぶ。

朝、目覚めると戦争が始まっていたら。『R帝国』

一覧へ戻る

専門料理書を超える料理書『傳 進化するトーキョー日本料理』

RECOMMENDおすすめの記事