花のない花屋

“大先輩”の両親へ 金婚式おめでとう

“大先輩”の両親へ 金婚式おめでとう

〈依頼人プロフィール〉
伴 みのりさん 41歳 女性
千葉県在住
会社員

    ◇

 父と母はともに庭いじりが大好きです。家の前に、家がもう一軒建つ広さの土地があり、二人はそれをまるごと庭にしています。春は色とりどりの花が一斉に咲き、それは見事です。いわゆるヨーロッパ風のガーデンというのでしょうか……ブロックの花壇にバラやパンジーなどが咲き誇り、藤棚のようなものもあります。ちょっとしたテーブルも置いてあるので、季節のいいときには友人を招いてお花を見ながらお茶を楽しんでいるようです。

 父は一日中、草むしりをしたり、花の虫を取ったり、本当に丁寧に植物に向き合っています。一方、母も花が大好きですが、性格がおおらかというかおおざっぱで、父とはちょっと違った愛し方をしているようです。そんな二人が一緒に庭いじりをするとケンカになるらしく、それぞれバラバラに庭いじりをしています。それでも、二人が作る庭はまるで公園のようです。

 私は一昨年結婚をしたのですが、結婚式は挙げずに、写真撮影だけのフォトウェディングを選びました。そんなとき、撮影用のブーケを両親の庭の花で作りたいと思い、母にお願いすると、「こういう日のために、フラワーアレンジメントを習っていたのよ」と言われてびっくり。母は定年退職後、いろいろな習い事をしていましたが、まさかそんな思いがあったとは……まったく想像もしていませんでした。

 残念ながら時期的に庭の花が終わってしまい、手作りの花でブーケを作ることはできませんでしたが、彼の両親と私の両親、みんなが集まって撮った写真はいい思い出です。

 父と母は、今年で結婚49年。来年で50年の金婚式を迎えます。そんな“大先輩”の両親へ、結婚したばかりの娘から、ちょっと早い金婚式のお祝いの花束を贈りたいです。母はカサブランカのような大ぶりなお花が好きで、父は毎年母の誕生日に年齢の数だけの花を束ねてプレゼントするのが恒例です。

 若かりし頃を思い出せるよう、結婚式のブーケのような白とグリーンを基調にした花束を作ってもらえないでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

“大先輩”の両親へ 金婚式おめでとう

花束を作った東さんのコメント

 今回はウェディングの雰囲気いっぱいの花束です。メインとして挿したのは、お母様が好きなカサブランカのつぼみ。その間に、ユウギリソウという白い細かい花が無数に集まった花や、同じく小さな花の集まったベンケイソウを挿していきました。今はまだつぼみの状態ですが、咲いたらとってもきれいなはずです。

 さらにそれらの間には スプレーバラやバラ、エピデンドラムを挿していきました。仕上げにぐるりと巻いたのは、ウェディングでもよく使われるスマイラックス。庭仕事が好きなご両親とのことですので、白とグリーンの花を使いながら、ナチュラルなガーデン風になるようにしました。

 つぼみの状態から開花へ、時間とともに表情が変わる過程を楽しめる花束ですので、水がなくなったら、花瓶に水をたくさん入れてくださいね。これからもすてきなご夫婦でいられますように。

“大先輩”の両親へ 金婚式おめでとう

“大先輩”の両親へ 金婚式おめでとう

“大先輩”の両親へ 金婚式おめでとう

“大先輩”の両親へ 金婚式おめでとう

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
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詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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