冷水料理相談室

家族3人で過ごす数少ない休日、心も体も温まるとびきりのスープを

  

料理家・冷水希三子さんが、読者の皆さんの「料理のお悩み」を解決する「冷水料理相談室」。なんでもない毎日のごはん、特別な日の特別なひと皿、自分のために作りたい、あるいは遠くのあの人に届けたいごちそう……。冷水さんが、ご相談に答える形で、いろいろなお料理を作ってくださいます。今回のご相談者は……

〈相談者プロフィール〉
高橋夕子さん 36歳 女性
東京都在住
会社員

    ◇

我が家は夫と小学生の息子の3人家族です。夫も私も仕事を持っており、平日は時間に追われて働く日々です。

なかなか家族そろって夕食をとれることがないのですが、それでも私か夫のどちらかが食事を作り、子供と一緒に食卓を囲むことにしています。

そんな毎日ですので、家族3人がそろう休日はとても大切。近くの公園へ出かけたり、家で読書や映画鑑賞をしたりとのんびり過ごすのが定番です。なかでも時間をかけているのが夕食作りで、昼間からじっくりと夕食を作ることが多いです。

この季節、家族が大好きなのがスープ。疲れていて食欲がなくても食べられますし、体も芯から温まります。

ふだんはあまり家族でおしゃべりする時間がないので、食べることに必死にならず、ゆったり食事の時間を楽しめるスープは我が家の団欒(だんらん)に欠かせないものとなっています。

夫も私も料理が嫌いではないので、これまでにいろいろなスープに挑戦してきましたが(得意なのはクリームシチュー!)、最近作ってみたいなと思っているのはブイヤベースやボルシチなど、少し上級者向けのスープです。

どちらも材料を多く使うので、日本では少しぜいたくな料理のイメージがありますが、ご当地の国ではきっと家庭料理なのだと想像します。あまり肩ひじ張らずに、シチューと同じような感覚で作って食べられたらいいなと思っています。

そこでぜひ冷水さんに、家族3人で食べる、とっておきのスープのレシピを教えていただきたいと思っています。先日、北欧を旅した友人からすてきな木のスープボウルをお土産にいただきました。

温かみのある木の器にも合うスープなら、家族もいっそうぽかぽかした気持ちになれるはず。わがままを言って申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願いいたします。

ルビー色が美しい、ビーツを使った家庭のボルシチ

  

<冷水先生からのメッセージ>

寒さ厳しい冬の夜、温かくて具だくさんのスープは何よりのごちそうですよね。
旦那さまもスープ作りに挑戦されているそうで、きっとおふたりとも、なかなかの腕前になってきているのでは?

今回はリクエストにお応えして、ロシアの家庭料理であるボルシチをご紹介します。

ボルシチに欠かせないのは、ビーツというきれいな赤紫色をした西洋野菜。じっくり火を通すとほくほくした食感が出て、とてもおいしい。煮込むとビーツの色が溶け出して、なんとも美しいルビー色のスープになります。
どんなスープも煮込みも同じですが、奥深い味わいを出すために大切なのは、にんにくや玉ねぎなどの香味野菜を最初にじっくり炒めて、うまみと甘さを引き出すこと。

今回はベースにトマト缶を使いますが、トマトもじっくり煮詰めて水分を飛ばし、うまみを凝縮させることで、スープ全体に奥深さが生まれます。香味野菜とトマトは、“おいしいスープのもと”と覚えていてください。

ビーツはあらかじめ酢を入れた水で1時間ほどことこと煮込んで下ごしらえするのがほくほくした食感を出すポイント。休日のお昼から、のんびりゆっくり、お料理を楽しむ気持ちで作ってみてだくさい。

にんにくと玉ねぎを弱火でじっくり炒めたら、トマト缶を投入。ここでしっかりと旨味を引き出すことが、おいしいスープ作りの肝になります


にんにくと玉ねぎを弱火でじっくり炒めたら、トマト缶を投入。ここでしっかりと旨味を引き出すことが、おいしいスープ作りの肝になります

キャベツは最後に加えますが、くたくたの食感が好きな人は早めに入れても構いません。好みの食感によって、加えるタイミングを変えてみてください


キャベツは最後に加えますが、くたくたの食感が好きな人は早めに入れても構いません。好みの食感によって、加えるタイミングを変えてみてください

■ボルシチ

◎材料(4人分)
牛肉シチュー用…300g
ビーツ…1個
酢…大さじ1
塩…小さじ1/2
EXVオリーブオイル…大さじ1と1/2
にんにく…1片
玉ねぎ…1個
トマト缶…100g
キャベツ…1/8個
サワークリーム…適量
ディル…適量(あれば)

A
水…800ml
にんじん…1/2本
じゃがいも…2個
大根…5㎝
ローリエ…1枚
クローブ…3本

◎作り方
1 たっぷりの水に酢を加え、皮つきのままビーツを入れて火にかける。沸いたら中火弱で1時間ほど煮て、皮をむく。

2 牛肉を3㎝大に切って塩をもみ込み、20分ほどおく。にんにくは潰して芯を取り除く。玉ねぎはスライスしてざく切り。他の野菜は一口大に切る。

3 鍋にEXVオリーブオイル大さじ1/2を入れ、牛肉の表面を焼いて取り出す。余分な油をふき取って残りのオリーブオイルを入れ、にんにくと玉ねぎを加える。塩をひとつまみ振って蓋をし、時々かき混ぜながら弱火で甘くなるまで蒸らし炒める。

4 3にトマト缶を潰しながら加え、さらに5分ほど煮る。

5 4に取り出した牛肉とAとビーツを入れ、沸いたらアクを取り、蓋を軽くずらして弱火で30分ほど煮る。その後キャベツを加え、さらに30分煮て塩で味を調える。

6 器に盛り、サワークリームを添える。好みでディルを散らす。

おすすめの記事

  • <番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具

    <番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具

  • アツアツ、とろ~り。幸せのマカロニエビグラタン

    アツアツ、とろ~り。幸せのマカロニエビグラタン

  • 手作りキムチで楽しむ、韓国風ポッサム(豚のゆで肉)

    手作りキムチで楽しむ、韓国風ポッサム(豚のゆで肉)

  •   

    >>まとめて読みたい!「冷水料理相談室」 記事一覧

    >>まとめて読みたい!「料理家・冷水希三子の何食べたい?」 記事一覧

    冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

    家族3人で過ごす数少ない休日、心も体も温まるとびきりのスープを

    料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

    PROFILE

    • 小林百合子

      編集者
      1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

    • 関めぐみ(写真)

      写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

    初めてのママ友ホームパーティー。上品で大人な持ち寄り料理とは?

    一覧へ戻る

    いつも料理を作ってる彼へ。失敗知らずの幸せおかずを

    RECOMMENDおすすめの記事