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<84>本に囲まれて眠れる 銀座の秘密基地 「Book Tea Bed GINZA」

JR新橋駅から銀座中央通り方面へ徒歩1分。人気の海鮮居酒屋が1階にあるちょっと年季の入った雑居ビルを見つけたら、エレベーターで5階に上がる。すると「Book Tea Bed GINZA(ブッティーベッド ギンザ)」にたどり着く。

ブラウンを基調とした空間は落ち着いた雰囲気。壁面には本棚がずらりと並び、その間にいくつものハシゴが立てかけられている。ここは書店でも図書館でもなく、実はホステル。ハシゴは本棚の裏側にある宿泊スペースに入るためのものだ。

「メインはあくまで宿泊施設。でも、せっかくだから本を読みながらのんびり過ごしてほしいと思って」

そう話すのは、同ホステルを運営するBook Tea Bed広報の茂木新之介さん(32)。ここ数年、訪日外国人の急増で、東京は慢性的な宿泊施設不足に陥り、宿泊料金も高止まりの状態が続いている。そこで、都心の便利な場所にありながら、リーズナブルな宿泊施設を作ろうと、2016年12月に開業した。

同ホステルは男女共用で、3タイプの部屋がある。いずれも寝台列車のような造りで、床にベッドマットが敷かれ、入り口はカーテンで仕切られている。枕元には読書灯とコンセントがあり、物置棚とセキュリティーロッカーも設置されている。
「HONDANA STYLE」(5480円~/土日と祝日の前日、繁忙期は変動あり、以下同)は、本棚のわきに入り口があり、本に囲まれて寝られるという、本好きにはたまらない空間。「STANDARD STYLE」(4480円~)は本棚わきではないものの、ベッドで集中して読書が楽しめそう。
「COMPACT STYLE」(2980円~)は、「STANDARD STYLE」よりひと回り小さい空間でリーズナブルさを追求。「PAIR STYLE」(5500円~)は「COMPACT STYLE」を二つつなげたペア用の部屋で、1人で利用することもできる。

銀座、新橋エリアでこの値段は確かに目を見張るものがある。地方から東京に出張や遊びに来る時はもちろん、終電を逃した時にも使えそうだ。

「HONDANA STYLEやSTANDARD STYLEは天井の高さも確保しているので、座って本を読めます。漫画喫茶には泊まりたくないけど、ビジネスホテルはちょっと高い、と思われる方にご利用いただいています」

リーズナブルな価格とはいえ、宿泊施設として居心地のよさを大切にしたいと考え、枕とマットはテンピュール製を採用。「HONDANA STYLE」の部屋には肌触りのいい今治織りのプレミアムタオルケットが付いている。

利用者は当初の読み通り、出張中の会社員や、外国人旅行客が大半。リピーターも多いという。11時半から17時までは、本棚や椅子が並ぶ共有空間をカフェとしても運用。2時間ワンドリンク制で予約は不要。まだあまり知られていないからか、静かな環境でゆったり読書を楽しめる。

本棚には約1000冊の書籍や雑誌を用意。小説、写真集、絵本、ガイドブック、外国人向けの英語の本、マンガなどを幅広く揃(そろ)えている。選書は茂木さんやスタッフで行った。

「自分では買わないような写真集やアート系の本を中心に揃えました。日本のマンガは外国でも人気なので、英語版のコミックを揃えており、もっと増やしていく予定ですが、逆に日本語のマンガは控えめ。漫画喫茶ではないですし、カルチャー系やアート系の本を充実させたいです」

ただ寝るだけの場所だとしても、自由に手に取ることができる本がそばにあるだけで、ぐっと豊かな気分を味わえる。外国人のバックパッカーも多く、ふとしたきっかけで会話が弾むこともあるという。東京に居ながらにして、日常から離れた旅気分も楽しめそうだ。銀座の片隅に、こんなすてきな秘密基地があるということを知っていて損はないだろう。

おすすめの3冊

ブックカフェ2

『犯人に告ぐ』(著/雫井脩介)
連続児童殺害事件の捜査に行き詰まり、現役捜査官のテレビ出演が決定。白羽の矢が立ったのは誘拐事件の捜査に失敗し、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった――。「連続殺人犯を追う警察の話なんですけど、個人的に雫井さんの小説がとても好きで。内容の面白さはもちろん、文章表現が魅力的でリズム感があるところがいいんです」

『LICHTENSTEIN POSTARS』(著/Juergen Doering)
アメリカ・ポップアート界の代表的な画家ロイ・リキテンスタインのポスター集。「みなさんどこかで見たことがあると思うのですが、やっぱり紙で形に残るものっていいなと思うんです。自分の記憶とすり合わせる作業も楽しいものです」

『SUPREME × DAVID SIMS』
スケーターカルチャーの中心的な役割を果たす人気ブランドSupremeと、イギリスの写真家デイビット・シムスのコラボ写真集。「Supremeは大好きなブランドの一つ。というわけで、この写真集もおすすめです(笑)」

    ◇
Book Tea Bed GINZA
東京都港区新橋1-9-1 新橋二光ビル5F
http://bookteabed.com/ja/ginza/
麻布十番にも「Book Tea Bed AZABU-JUBAN」(東京都港区東麻布2-22-6)がある

(写真 山本倫子)

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    PROFILE

    吉川明子

    兵庫県生まれ。コンピューター・デザイン系出版社や編集プロダクション等を経て2008年からフリーランスのライター・編集者として活動。旅と食べることと本、雑誌、漫画が好き。ライフスタイル全般、人物インタビュー、カルチャー、トレンドなどを中心に取材、撮影、執筆。主な媒体に週刊朝日、アサヒカメラ(「写真好きのための法律&マナー」シリーズ)、婦人公論、BRUTUS、mi-molletなど。
    https://www.instagram.com/a_yoshikawa0227/
    https://note.mu/akikoyoshikawa

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