このパンがすごい!

新宿の名店、「パン対ゴハン。」のポスターと共に復活/ル・プチメック日比谷

8364さんしょうのバゲット、バゲット・シトロン、バゲット・リュスティック


山椒(さんしょう)のバゲット、バゲット・シトロン、バゲット・リュスティック

■ル・プチメック日比谷(東京)

待ちに待ったあの店が帰ってきた。マルイ新宿店から姿を消して約1年。3月24日、日比谷シャンテのリニューアルと同時にル・プチメックが新装オープン。新宿で貼られていたフランス映画のポスターは、シャンテの親会社東宝にちなんだ「シン・プチメック」に貼り替えられていた。
西山逸成オーナーは、店づくりの達人。ル・プチメックはフランス、系列店レフェクトワールはアメリカ西海岸風のデザインで話題をさらった。今度は、アメリカとフランスを折衷させたシックな英国調。「イギリスのホテルを参考にしました」というデザインは、黒と白を基調に、大人の街である日比谷という土地柄とも馴染(なじ)んでいる。

8360店内風景


店内風景

目につくのは圧巻の長い長い陳列台。そこに積まれていたパンの顔つきも新宿と変わらないものだった。ハード系のパンやデニッシュが山と積まれ、パン欲を刺激されることこの上ない。レジにたどり着くまでに、思ってもみなかったほど大量のパンをトレイにのせていた。

8366ルバーブのデニッシュなど


ルバーブのデニッシュなど

プチメック名物となった、さまざまな具材を混ぜたバゲット。長いパンをスライスすれば、金太郎あめ式に、惜しまずたっぷりと入れられた具材がどこでも顔を出す。
そのひとつ、「バゲット・シトロン」。刺激的な芳香。一口目に衝撃を受け、二口目に抜け出せなくなる。普通のバゲットのような顔をして、中にはたっぷり、自家製のはちみつレモン。染み出した果汁で生地までほの甘く、レモンを噛(か)んだ瞬間には、それを凌駕(りょうが)する柑橘(かんきつ)の香りと酸味が走り抜ける。

8376生ハムのバゲット


生ハムのバゲット

「生ハムのバゲット」は、”肉々しい”杖。がりがり皮を噛むと同時に、大量に入れられた生ハムをぼむぼむと噛む。小麦の旨(うま)み、肉の旨み。両者は、噛めば噛むほど軌を一にしてあふれだす。
プチメックは間違えない。具材の取り合わせはいつも抜群。
「マカダミアナッツとホワイトチョコのブリオッシュ」。ほとんど溶け込んだホワイトチョコによって、ブリオッシュのミルキーさもしっとり感もさっくり感も倍かそれ以上に。口いっぱいに甘さが広がったタイミングに、かりっとマカダミアナッツを噛んだ瞬間のマリアージュ。求めていたのはまさにこれであると叫びたくなる。
表面に浮いたバターが見事にキャラメリゼされたクロワッサンを使った「ルバーブのデニッシュ」。酸味の鋭いルバーブに、イチゴの果実味が、色気を付け加えている。小粋な演出はまだ終わらず、下からガナッシュ登場というどんでん返し。マリアージュの二段活用が食べ手を完全KOする。

0031マカダミアナッツとホワイトチョコのブリオッシュ


マカダミアナッツとホワイトチョコのブリオッシュ

プチメックのパンを食べて思う。こんなパンはフランスにもないけど、フランス以上に(日本人の想像の中の)フランスらしいのではないか? それは西山オーナーのバックグラウンドからくるものだろう。フランス映画にあこがれて、フレンチの料理人になり、なんのコネもなく、トランクひとつで渡仏。フレンチのみならず、お菓子もパンも勉強。王道のバゲットやクロワッサンのみならず、ビストロの一皿を詰めたようなサンドイッチで衝撃を与えた。

西山逸成オーナーの著書(池田浩明との共著)「空想サンドウィッチュリー」も飾られる


西山逸成オーナーの著書(池田浩明との共著)「空想サンドウィッチュリー」も飾られる

いま西山オーナーは、製造の第一線から離れ、職人たちを導き、サポートの役割を負う。プチメックのDNAはスタッフに受け継がれる。フランス愛にあふれプチメックに加わった、西山さんの信頼厚き製造チーフ渡辺綾子さんも「プチメックらしさは、暗黙の了解としてみんなに共有されています」。たとえばそれは、「山椒のバゲット」に入れる山椒を店内の厨房で挽いたりと、手間を惜しまないことなど。いまではプチメックらしい新しいパンをスタッフたちが次々と提案。西山さんも「僕が考えたら出てこないヒット商品がいっぱい出てる」。
西山さんの作り上げた最高の舞台装置から、日比谷の地に合わせたどんなパンが登場してくるのか。シン・プチメックのこれからに興味は尽きない。

8358店内風景


店内風景

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■ル・プチメック日比谷
東京都千代田区有楽町1-2-2 日比谷シャンテ 1F(地下鉄日比谷駅直結)
03-6811-2203
8:00~20:00 (休みは日比谷シャンテに準じる)
http://lepetitmec.com

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PROFILE

池田浩明

佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)

http://panlabo.jugem.jp/

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