ほんやのほん

旬をほおばる幸福感。『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』

撮影/馬場磨貴

今回は、中川たまさん『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』をご紹介致します。どんな果実がお好きですか? という問いは、皆さんも今までに何度かされてきたのではないでしょうか。欲張りな私はあまりにも好きな果実がたくさんあり過ぎて、毎回お返事には、困り果てています。

思い返せば小さな頃から、誰に頼まれるわけでもないのに、家族の誰よりも早く食事を済ませ、食後のデザートの準備を率先してやっていました。デザートなんていう大層なものではなく、季節の果実を出す係を担っていました。

それは、家族思いという美しい心からではなく、私が食べたいからという一心で。小さな頃からりんごの皮むきが上手だったのも、欲深さのたまものかもしれません。そして、その果実をほおばるときの幸福感は、いつまでも忘れることなく心の中に宿っています。人それぞれ、果実には、なんらかの思い出をお持ちではないでしょうか。

本書は四季折々の旬の果実の食し方をご紹介しています。デザート、ジャム、コンポート、ドライフルーツなどの保存食にいたるまで、食し方は様々です。

果物の「おかず」が苦手な人も、大丈夫!

実は私、果実は大好きですが、果実が入っている料理が少し苦手です。なんだかおしゃれすぎる料理にハードルの高さを感じてしまい、なかなか挑戦する気持ちになれないのです。

そんな思いを抱きつつ、本書を読み進めていると、素晴らしい提案がされていることに気がつきました。「おかずとおやつ」両方が紹介されていたのです。私のように感じている方は、少なからずいらっしゃるのではないかと思います。そんな方にはぜひ「おやつ」から。そして、少しずつ「おかず」を作ってみてください。

果実は、部屋の中にいるだけでその姿は愛らしく、色彩は豊かで、なんとも言えない芳しい香りを漂わせ、心を満たしてくれる存在です。季節の移り変わりを伝えてくれる存在でもあります。

そんな果実を目いっぱい、丁寧に食卓に盛り込んでくれる中川たまさんのレシピやエッセーからは、その心の豊かさを感じることができます。果実の持っている自然な甘さ、爽やかな酸味や色彩は、毎日の食卓をより美しく、楽しく彩ってくれるはずです。

(文・大川愛)


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    蔦屋書店 コンシェルジュ

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    大川 愛(おおかわ・あい)

    二子玉川蔦屋家電、食コンシェルジュ。
    書店・出版社で、主に実用書や絵本の担当を経験。
    本に囲まれている環境が、自らにとって自然と感じる。

    ついつい題名に惹かれる 横田創の短編『残念な乳首』

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    “丁寧な暮らし”との向き合い方。『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』ほか

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