ほんやのほん

大人に仲間入りする前に。『ありがとう…どういたしまして』ほか

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撮影/馬場磨貴


撮影/馬場磨貴

一緒に生まれて一緒に育つ。自分だけの秘密の相棒が居る世界。
子どもの頃にそんな空想をしたことがありました。

現実には猫と暮らしていたので、黒猫のミーが相棒だったのですが、ミーは実は私にだけわかる言葉が話せて、本当は背中に羽根を持つダイモンで……なんて小さいころからファンタジーの世界が好きだったので、そんな空想をして過ごすことも。

生まれた時から一緒
『ぼくのドラゴン』

「ぼくのドラゴン」は、まさにそんな世界で、生まれたときから一緒にいるドラゴンとの絆と成長、そして大人への仲間入りをして独立していく姿が描かれています。

この村に住む人たちはみんなドラゴンの相棒がいて、でもお互いに干渉したりしないし、みんな秘密の相棒を守っています。人は人同士、ドラゴンはドラゴン同士でコミュニティーがあり、それぞれに過ごすこともあるけど、人とドラゴンが協力することもあり、世界の均衡が保たれていたころはこうして共存していたのかなあなどと思いが広がります。

主人公のアオバと、その相棒のアオも、いつまでも一緒にいると思っていたけれど、それぞれが大人になり、自立していく様子は誰しもが一度は経験する寂しさと重なるでしょう。
ドラゴンを安心させるために自分がどうすればいいのか、相手の立場に立って自分で考えて行動できるようになったとき、ドラゴンも羽根が生えて大きく成長し、ついに空へ飛び立っていってしまう。

寂しい別れのような気もするけれど、しっかりとした絆で結ばれた2人は、どんなに遠く離れていても、心はいつもそばにいる。そんなことを教えてくれる一冊です。

『ぼくのドラゴン』おのえりん 作 森環 絵 理論社 1404円


『ぼくのドラゴン』おのりえん 作 森環 絵 理論社 1404円

どういたしましてと言える幸せ
『ありがとう…どういたしまして』

「ありがとう」と言える環境というのは、実はすごく恵まれていて幸せなこと。
親切にしてくれる人や、思いやりのあることをしてくれる人に囲まれているということだから。

ジミーくんは「ありがとう」を言いすぎて飽きてしまい、自分も「どういたしまして」と言われるようになりたいと思います。
この本は、「ありがとうを言えるようになりましょう、人に親切にしましょう」という本ではありません。

「ありがとう」をなかなか言えないお子さんもいると思います。でも、「ありがとう」を言えるということは、愛情に満ちた幸せな環境にいるという事なんだよ、ということをこの本を通して伝えてあげられるといいなと思います。

「ありがとう」と言える環境の愛情に満たされてはじめて、今度は自分が「ありがとう」と言われるような行動に移ることができるから。そこでやっと「どういたしまして」と言えるのです。
これも、ひとつの成長の物語だなと感じました。

『ありがとう…どういたしまして』ルイス・ストロボギン 作 わたなべしげお 訳 偕成社 1512円


『ありがとう…どういたしまして』ルイス・スロボドキン 作 わたなべしげお 訳 偕成社 1512円

PROFILE

蔦屋書店 コンシェルジュ

12人のブックコンシェルジュの皆さんに、
そのとき、一番おすすめの本を週替わりで熱くご紹介いただいています。
●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/大川 愛(食)/北田博允(文学)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)/松本泰尭(人文)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/重野 功(旅行)/羽根志美(アウトドア)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)

小川舞(おがわ・まい)

二子玉川 蔦屋家電、あそび・ペットのコンシェルジュ。千葉のテーマパークに8年間従事。2009年よりTSUTAYA TOKYO ROPPONGIに勤務。二子玉川 蔦屋家電の立ち上げに伴い異動。
フリーランスでカメラマンとして活動中。本のコンシェルジュとどちらも本気でやっている。黒猫と暮らしていて、ねこが好きすぎる。

“丁寧な暮らし”との向き合い方。『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』ほか

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下川さんと蔵前さんの最新旅行術。『旅がグンと楽になる7つの極意』ほか

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