花のない花屋

人生の荒波が静まると逆に不安になる!? 新たな方向を見つけてほしい親友へ

人生の荒波が静まると逆に不安になる!? 新たな方向を見つけてほしい親友へ

〈依頼人プロフィール〉
山川雅美さん 53歳 女性
岐阜県在住
ウッドクラフトデザイナー

    ◇

 親友であり、私の作品制作のサポートもしてくれる彼女は、今では私の人生の大切なパートナーとも言える存在です。

 出会いは今から12年ほど前。ある精神科の先生の講演会で知り合い、その後彼女が私の展覧会に来てくれたことから、徐々に仲良くなっていきました。

 彼女は主婦ですが、家で木工のDIYをしたり、突然アトリエを借りて大きな絵を描き始めたりと、クリエイティブな素養のある女性です。あるときから私のアトリエにも出入りするようになり、やがて私の作品に助言をしてくれるようになりました。

 少し前、更年期によるうつ病になったとき、私を支えてくれたのも彼女でした。ちょうどその頃、彼女のお父様の体調も悪くなり、そちらの看病も大変だったはずなのに……。

 そして、私の症状が落ち着き、お父様が亡くなられてからは、今度は彼女が心もとない状態になってしまいました。今年1月で58歳を迎えましたが、自分自身のあり方にいろいろと感じるところがあり、思い悩んでいるようです。子どもが独立し、親も旅立った今、これまでずっと家族のサポートをしてきた彼女は、「人との関わり方はこのままでいいのかな……」と感じているのかもしれません。

 私たち50代は、多かれ少なかれみんな人生の荒波にもまれ、乗り越えてきました。その波が静かになると、今度はどこに向かったらいいのかわからなくなることが多いのでしょう。さらに、体力や気力の衰えもはっきりと感じるようになります。そんなとき、ふと「このまま年をとったらどうなるのかしら……」と不安にかられるのです。

 彼女には、焦らずゆっくりと自分の心が落ち着く場所を見つけてほしいです。何をするでも、しなくてもいい。「どんな生き方をしても大丈夫」という気持ちの中から、新たな彼女の方向を見出してくれることを祈って、東さんの花束を贈りたいです。

 人間の内側は多面的で、いろんな思いや相反する考えなどもあって、でもそのすべてをひっくるめて「その人」となっています。そんな不思議を、植物で表していただけないでしょうか。さまざまな植物が混沌として、でもひとつにまとまって立派に成立している。どんなふうに咲いても大丈夫だよというエールになればと思っています。

人生の荒波が静まると逆に不安になる!? 新たな方向を見つけてほしい親友へ

花束を作った東さんのコメント

 今回は、「どんな風に咲いても大丈夫だよ」というメッセージを込めて、これから花を咲かせる球根をメインにアレンジしました。

 中心に挿したのは、紫色のヒヤシンスと、まだつぼみのグリーンのヒヤシンス。ヒヤシンスは花が咲くまで何色の花になるかわからないので、楽しみにしていてください。また、一度枯れても、下から次の芽が出てきて咲くこともあるので、しおれてきたら一度茎を切って様子を見てみてくださいね。もし周りの葉が先にしおれてしまったら、球根だけ他の入れ物に移し替えて水栽培してもいいでしょう。

 ヒヤシンスの隣にはブルーのムスカリの球根も挿しています。つぼみはこれから1、2週間くらいで咲くはずです。

 球根のまわりに挿したのは、ピンクと白のチューリップの原種。こちらも球根です。チューリップは太陽に向かって、ダンスをしているかのようにぐんぐん伸びていきますので、ぜひ時間とともに変化を楽しんでください。

 グリーンはポリシャス、リキュウソウ、セダム、ヒペリカムです。それぞれ質感や形がまったく異なるものを入れました。濃いグリーンを背景に球根の鮮やかな花が映えるようにしています。

 球根は生命力の塊。山川さんのエールがお友達に届きますように。

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(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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