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人気のパン屋22店。またひとつ、鎌倉が好きになる。『かまくらパン』

撮影/猪俣博史

撮影/猪俣博史

「おいしいパン屋さんがある街はいい街だ」と、いつかどこかで耳にしたことがありますが、湘南 蔦屋書店から近く、私が都内から引っ越して来て3年になる鎌倉も、まさにそんな街と言えるかもしれません。地元出版社、港の人が手掛けた『かまくらパン』は、鎌倉にある個性豊かなパン屋さんにスポットを当てた雑誌。パンの奥深さを改めて感じると共に、読んだ後に鎌倉がまたひとつ、好きになる1冊です。

パンに一途に向き合う、職人さんたちの美しさ

KIBIYA BAKERY、Bergfeld、PARADISE ALLEY BREAD&CO.、Bread Code by recette、豊島屋 扉店など計22店を紹介するほか、パンについて考えさせられる詩やエッセイも織り交ぜられ、単なるパン屋さんガイドにとどまらない読み物になっています。各パン屋さんのページは、思わず雑誌の中に手を伸ばしてパンをつかみ、口に運びたくなるような、なんともおいしそうな代表パンの写真ページからスタート。その後、各店の成り立ちや日常風景、パンにかける思いなどがつづられたストーリーが続く構成になっています。

パン職人さんたちの話を読んでいて感じるのは、一口にパンといっても、こんなに多様なとらえ方、アプローチがあるのだなあということです。「酵母と人間は培養(cultivate)されて大きくなる点で同じであることに気付いたらおもしろくなった」という方がいたり、お客さんがパンを食べるシーンを家族の会話、食事のメニューまで空想してからつくる方がいたり。ここまで職人さんたちを夢中にさせ、パン作りに駆り立ててしまうパンってすごいなぁ! と、その存在の奥深さを思わずにはいられません。

そして、そんなパンに一途に向き合って、日々、試行錯誤を重ねながら、秘められた情熱を持ってパン作りに打ち込む職人さんたちの姿勢がとても美しいです。こんな思いのある人たちが、こんなにたくさん、ここ鎌倉にいるんだなぁ、同じ土地で一緒に生きているんだなぁ、と思うと、なんだかとても励まされると共に、それが鎌倉の魅力のひとつのように思えます。

以前、都内に住んでいた頃は、鎌倉に遊びに来ては、お目当てのパン屋さんに立ち寄るのがとても楽しみでした。鎌倉好きが高じて引っ越してきた今は、そんなパン屋さんに日常的に通えるのが本当に幸せだなぁと思います。かまくらパンを読んで、各店の背景を知ってからいただくパンは、今まで以上の味わい深さ! この雑誌をきっかけに、鎌倉をまたひとつ好きになってもらえたらうれしいです。

(文・若杉真里奈)

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蔦屋書店 コンシェルジュ

そのとき一番おすすめの本を、週替わりで熱くご紹介します。

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若杉真里奈(わかすぎ・まりな)

湘南 蔦屋書店で雑誌、ファッションを担当するほか、湘南T-SITEの広報、イベント販促も務める。ファッション業界新聞社で編集、展示会事業を担当した後、湘南T-SITEの立ち上げに参加。
現在、住む鎌倉は、自分にとっての“パワースポット”。

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