花のない花屋

嫌な両親と思ったことも……。「結婚してよかった?」に一言「ええ」と答えたオカンへ

嫌な両親と思ったことも……。「結婚してよかった?」に一言「ええ」と答えたオカンへ

〈依頼人プロフィール〉
門田昌征さん 34歳 男性
愛媛県在住
梱包工員

うちの両親は今年、結婚して40年です。この40年、山あり谷あり絶壁あり! でした。
自分たちは6人きょうだいで、姉と兄、自分と弟3人がいます。自分が中学生くらいのときから、「この人たちはなんで結婚したんだろう?」と疑問に思っていました。夫婦喧嘩はしょっちゅうですし、二人の間に会話はほとんどなく、子どもを通して意思疎通している感じでした。

二人とも教師で、オトンは夜間や定時制などの学校を率先して選び、仕事ばかり。自分から見れば、家庭内のことはすべてオカンに押しつけ、仕事に逃げているように見えました。

オカンは特別支援学級で教える数学の先生で、仕事をしながら、ほぼシングルマザーのような状態で自分たち6人のきょうだいを育ててくれました。共産党支持の祖母に育てられ、自民党が大嫌い。保守派のオトンとよくぶつかり、子供心に「嫌な夫婦だな」と思っていました。

今は一番下の弟が起立性調節障害で治療中なので、オカンは弟の看病につきっきりです。二番目の弟はやんちゃで、工業高校を卒業後大阪で就職しましたが、いつの間にか辞めていて音信不通に。その後、パチンコ屋が拾ってくれましたが、「何か問題が起きたら、すべて親が責任取るように」という契約書が送られてきたこともあります。その後もいろいろありましたが、今は配送会社でがんばって働いています。その弟のこともオカンは心配していて、何度も一人で大阪まで会いにいっていました。

あるときオカンを台湾旅行に誘い、台湾のホテルで「オトンと結婚してよかったか?」と問いただしたことがあります。オカンは「ええ」と一言だけ答えました。

6人の子どもを育てながら教師を定年まで勤め上げ、その後は姑の介護に走り回り、10年ほど前に乳がんを患いながらも生き残ったオカン……。立派な教育者であり、ビッグ母さんであり、頼れる一家の大黒柱です。

そんなオカンに、結婚40年を記念して、最大限の感謝の花束を贈りたいです。大和撫子(やまとなでしこ)のようなイメージですが、リベラルな人なので、和風な鮮やかさのあるアレンジにしていただけないでしょうか。赤や黄色などあたたかいイメージでまとめていただけるとうれしいです。

嫌な両親と思ったことも……。「結婚してよかった?」に一言「ええ」と答えたオカンへ

花束を作った東さんのコメント

結婚して40年を迎えるご両親、とりわけ、ごきょうだい6人を立派に育て上げたお母様へ。

今回は、“アバンギャルドなアレンジ”をテーマにしました。大和撫子のようなイメージですが、リベラルな人、そして、様々なことがあったにもかかわらず、たくましくされているお母様を、エネルギーやパワーを感じる赤で表現しました。

真ん中の花がドーラティ(エアプランツ)で、そのまわりに赤いカーネーションやカンガルーの足のようなカンガルーポー、4種類のガーベラ、ナデシコ、ラナンキュラスを採用し、多くの赤を集めた花束にしました。花のまわりにあるのがアセボ(葉物)です。

赤という色は、ピンクや黄色と違ってグラデーションがあまりないもの。ですので、実際に赤い花だけを集めると、立体感や迫力がでてきますね。そういったエネルギーがお母様にはあるのではないでしょうか。

嫌な両親と思ったことも……。「結婚してよかった?」に一言「ええ」と答えたオカンへ

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嫌な両親と思ったことも……。「結婚してよかった?」に一言「ええ」と答えたオカンへ

嫌な両親と思ったことも……。「結婚してよかった?」に一言「ええ」と答えたオカンへ

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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