花のない花屋

人生を左右する話や感動する話がない……。「なんとなく生きている」私に花束を

人生を左右する話や感動する話がない……。「なんとなく生きている」私に花束を

〈依頼人プロフィール〉
宮田未央さん 26歳 女性
東京都在住
秘書

最近、「なんとなく」生きている感じが強くなっていて、すごくひっかかっています。私は今年で社会人4年目。転職して2社目の小さな会社で秘書をしています。先頭に立つのは苦手ですが、誰かのために自分の能力を生かせるこの仕事は、自分に合ってるなあと思います。仕事はそこまで好きではありませんが、嫌でもなく、順調に昇格もしました。

私生活では昨年入籍し、今年結婚式を挙げました。大金持ちではないけれど、それなりに豊かな生活が送れる稼ぎもあり、友達もいて、家族は仲良し。他人から見たら幸せに見えるかもしれません。

信頼できる人に相談したら、「それが一番幸せだよ」と言われました。でも、自分のまわりで夢に向かってがんばっている人を見ると、なんだかモヤモヤするのです。

思い返せば、これまで「がんばっているね」「しっかりしているね」と言われることの多い人生でしたが、大学生の頃から、心の中では「なんとなくやってるなあ……」と薄々気づいていました。それでも、見て見ぬ振りをして、なんとなく生きている自分の姿に蓋をしていました。だって、「なんとなく生きている」と納得してしまったら、生きている理由がわからなくなりそうだから。

そんなときに連載が始まったこの「花のない花屋」。鮮やかな花の写真がふと目に留まり、気づいたときには必ず読む習慣になっていました。そして、毎回一人一人の人生のエピソードを読んでは、ちょっぴりうらやましくなっていました。私にはそんな大それたエピソードがないからです。

でも、先日「明日のわたしへ贈る花束」を読んでから、ちょっと自分のことを書いてみたくなりました。 特別に感動するような、人生を左右するような話がない、「なんとなく生きている」私にも、背中を押してくれるような花を作っていただけないでしょうか。
好きな花はガーベラです。亡くなったおばあちゃんが大好きな花でした。おばあちゃんは、毎年誕生日に手紙を書いてくれていたのですが、いつも表面的な私ではなく、私にさえ見えない、私のいいところを書いてくれていました。きっと、だから私もガーベラが好きになったのでしょう。どうぞよろしくお願いいたします。

人生を左右する話や感動する話がない……。「なんとなく生きている」私に花束を

花束を作った東さんのコメント

今までの人生をソツなくこなしてきた自分へ。

ものに満たされ“ないものがない”という時代ですから、つい、ソツなくこなしてきたと感じる瞬間があるのではないでしょうか。

ですが今回は「『なんとなく生きている』私にも、背中を押してくれるような花を作っていただけないでしょうか。好きな花はガーベラです」と、能動的に動かれました。

そこで、ご用意したのは、“すべてガーベラ”といった贅沢(ぜいたく)な花束です。このアレンジでいくということはすぐに決めました。あなたがガーベラが好きなことを肯定したいからです。

8種類のガーベラは、ファイヤークラッカー、アナクレート、トマホーク、ジェロンド、フランキー、チートス、ピッコリーニ、ビーバー。ツンツンとしたものや、八重っぽく重なっているもの、小さな咲きのものなど、種類は様々。背中を後押しするような、ガーベラの花束となればうれしいです。

人生を左右する話や感動する話がない……。「なんとなく生きている」私に花束を

人生を左右する話や感動する話がない……。「なんとなく生きている」私に花束を

人生を左右する話や感動する話がない……。「なんとなく生きている」私に花束を

人生を左右する話や感動する話がない……。「なんとなく生きている」私に花束を

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

facebook

instagram

http://azumamakoto.com/

嫌な両親と思ったことも……。「結婚してよかった?」に一言「ええ」と答えたオカンへ

一覧へ戻る

あと何回、元気なうちに会えるんだろう……。遠く離れた地に住む母へ

RECOMMENDおすすめの記事