猫と暮らすニューヨーク

デザイナーと暮らす兄弟猫。キャットパーティーは大波乱

「猫は2匹で飼うのがいいんじゃないかと思う。2匹で互いに面倒を見合って生活するから」とマイケルさん。就寝時は当然2匹で体を寄せ合い、丸まって眠ります


「猫は2匹で飼うのがいいんじゃないかと思う。2匹で互いに面倒を見合って生活するから」とマイケルさん。就寝時は当然2匹で体を寄せ合い、丸まって眠ります

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Fox(フォックス) 7歳 オス オレンジの雑種、Badger(バジャー) 7歳 白&グレーの雑種
飼い主・インテリアや家具のデザイナーで、ブルックリンにあるギャラリー「cooler」のオーナーも務める、Michael Yarinsky(マイケル・ヤリンスキー)さん。ブルックリンのブシュウィックにあるタウンハウスに、猫2匹とルームメートと共に暮らす。

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キツネ(フォックス)とアナグマ(バジャー)。色合いや柄の見た目から、そう名付けた2匹の兄弟猫と、マイケルさんが暮らし始めたのは、今から7年前のこと。
「NYの郊外で農場を営んでいる叔母から、野良猫が子猫を産んだという連絡があったんです。生後2カ月の頃に2匹を譲り受け、ブルックリンのアパートで飼い始めました」(マイケルさん)。
子どものときから犬やハムスターを飼うなど、ペット歴があるマイケルさん。でも猫は人生初、しかもいきなり2匹。「大きな決断じゃなかったかって? そんなことはないですよ」とマイケルさんは言う。猫に限らず、犬でもハムスターでも、「動物が家にいると家中が良いエネルギーで満たされる。だから動物が好きだし、僕たちの暮らしには動物が不可欠だって思うから」

乳離れがすんだ生後2カ月頃に、マイケルさんの家にやってきたフォックスとバジャー。こちらはオレンジ色の茶トラ猫、フォックス


乳離れがすんだ生後2カ月頃に、マイケルさんの家にやってきたフォックスとバジャー。こちらはオレンジ色の茶トラ猫、フォックス

フォックスとバジャーは正反対の性格。好奇心旺盛で、知らない人を怖がることなく、誰にでもフレンドリーなフォックス。一方のバジャーはシャイで、とても賢い猫だという。
「フォックスがすり寄ってくるときは、純粋に僕のことが好きだからという感じ。でもバジャーの場合は、何かが欲しくて、それを要求するためにすり寄ってくるところがありますね」とマイケルさんは笑う。
ある時、そんな2匹を、別の猫たちと遊ばせるべくキャットパーティーを企画した。
マイケルさんの友人と、その飼い猫2匹を自宅に招き、さあ、飼い主も猫もどんちゃん騒ぎ。どんな楽しいパーティーになるだろうと思ったら、とんだ計算違いだった。4匹の猫は、互いにシャーシャー言って威嚇しあい、しまいには猫パンチが飛び交う始末。パーティーは大波乱。「猫はつくづく縄張り意識の強い動物なんだって、わかりました」(マイケルさん)

掃除が生き届いた清潔感のある部屋には、猫のいたずらの痕跡ゼロ。「猫は感じ取る生き物。部屋をきれいにしていれば、彼らもきれいに使おうとするんじゃないかな」とマイケルさん


掃除が行き届いた清潔感のある部屋には、猫のいたずらの痕跡ゼロ。「猫は感じ取る生き物。部屋をきれいにしていれば、彼らもきれいに使おうとするんじゃないかな」とマイケルさん

ところで、やんちゃなオス猫2匹との生活、時には飼い主を困らせることがあるのでは? そんな問いに、マイケルさんからは「何も!」と明快な答え。
確かに、リビングに置かれたマイケルさん自作のソファには引っ搔き痕がまったくないし、美しく整えられた部屋には、猫のいたずらを感じさせる形跡がゼロ。聞けば子猫のときに、しっかりしつけをしたからなのだという。

「猫が苦手だというオレンジの匂いがするオイルを水に混ぜて、誤った行動をしたときには、スプレーするようにしたんです。部屋もいい香りになって、おすすめですよ」とマイケルさん。(※注:日本では、エッセンシャルオイルや精油の種類によっては、猫の命に関わる危険性があるといわれ極力使わないというのが一般的です)

気をつけなければならないのは、“飼い主を困らせ注意を引こうとする行動”と“間違った行動”をよく見極めること。例えば猫が大きな声で鳴いて訴えかけるのは注意を引こうとしているので、スプレーをしてはだめ。「猫が観葉植物の土を掘り起こそうとしたら、スプレーですね。それは観葉植物の土をトイレと勘違いしている行動だからね」とマイケルさん。
なるほど……。本を読んだりインターネットで調べたりして、2匹の猫に実践してきたマイケルさんのしつけは、なかなか説得力があるのである。
「実は、我が家の愛猫が飼い主の私をよく嚙むのだけれど……」(私)と、取材はいつしか飼い猫のお悩み相談に。
「飼い主を嚙んだり引っ搔いたりしたときは、猫の首根を手でぐっとおさえること、こんなふうにね」とマイケルさん、フォックスで実演しながら解説。フォックスもおとなしく従っています。「だって、これは母猫が子猫にすることと同じだから。決して首をしめるのではなく、おさえるだけ。そうやって力関係を示すことも、時には大切なんですよ」

穏やかで幸せな日々を暮らしている2匹は、スリムで健康的。「7歳には見えないでしょう?」とマイケルさん。確かに、3~4歳の猫のような若々しい見た目です


穏やかで幸せな日々を暮らしている2匹は、スリムで健康的。「7歳には見えないでしょう?」とマイケルさん。確かに、3~4歳の猫のような若々しい見た目です

猫のしつけは、猫と人間が互いにハッピーに暮らすため、とマイケルさん。おかげで今は、天窓から柔らかな光が差し込む家で、それぞれソファでくつろいだり、窓の外を眺めたり、椅子の上で昼寝をしたり。穏やかで幸せな毎日を享受している2匹と1人なのでした。

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連載「猫と暮らすニューヨーク」では、ニューヨークで猫と生活するさまざまな人を訪ね、その暮らしぶりから、ユニークなエピソード、インテリアや飼い方のアイデアまでを紹介します。

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マイケルさんのウェブサイト
http://yarinsky.net
マイケルさんのインスタグラム
http://www.instagram.com/myarinsky
マイケルさん主宰のギャラリー「cooler」
http://www.cooler-gallery.com

写真・前田直子

PROFILE

仁平綾

編集者・ライター
ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
http://www.bestofbrooklynbook.com

前田直子(まえだ・なおこ)

写真家

24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
http://www.naokomaeda.net

デザイナーと暮らす兄弟猫。キャットパーティーは大波乱

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猫アレルギーの飼い主と、カールヘアのデヴォンレックス猫

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