リノベーション・スタイル

<172>縁側に障子…今の暮らしに合わせた和の空間

  

[K邸]
Kさん一家(夫33歳、妻35歳、長女0歳)
東京都武蔵野市 築48年/66.15m²

    ◇

 リノベーションに際し、Kさんご夫婦がまずおっしゃったのは「和の要素を取り入れたい」ということでした。奥様のご実家が古い日本家屋だったそうで、昔から「家を買うなら和」と決めていたそうです。

 学校で数学を教えている奥様は、間取りを描くのが好きで、打ち合わせにもご自分で描いた間取りを持参。テーマは「旅館のはなれ風」でした。飛び石のある玄関や障子、畳部屋、小上がり……そこには和の要素がちりばめられていました。

 最終的に出来上がったのは、今の暮らしに合わせた機能的な和の空間です。飛び石のある玄関に入ると、造作した下足入れが。どこか学校を思わせる雰囲気です。

 中に入ると広めの廊下があり、木の格子と障子が目に飛び込んできます。木の格子の部屋をぐるりと右にまわると障子の扉があり、開けるとそこはベッドルーム。向かいのスペースには机や棚が置いてあり、ワークスペースのような感じです。

ソファやデスクが置かれた広い廊下は、部屋のように使える


ソファやデスクが置かれた広い廊下は、部屋のように使える

 広い廊下にはソファが置いてあるのですが、これは廊下の裏側にあるお風呂から出たときに、ここで涼むため。このように縁側や廊下など、生活空間のあちこちに居場所を造っています。ちなみに、お風呂の床やスツールはまさに旅館という雰囲気なんですよ。

 ベッドルームの左側にはキッチンと小上がりの畳のリビングを設置しています。古い文机がテレビ代わりのパソコン置き場。窓側には障子があり、まさに和室です。障子を開けると、2.8畳の縁側があり、旅館の広縁(ひろえん)のような空間があります。

廊下から縁側を見る。左手はベッドスペース、右手の本棚はMUJIのものをDIYで設置


廊下から縁側を見る。左手はベッドスペース、右手の本棚はMUJIのものをDIYで設置

 10年ほど前は、海外の暮らしの合理性や楽しさをリノベーションに取り入れたいという人が多かったのですが、今は「昔の日本」のいいところを取り入れたい、という人が増えてきていますね。ちょっと前までは、日本家屋のエッセンスを加える意味で、畳の小上がりや土間の人気がありましたが、最近はさらに一歩進んできています。 恐らく、みなさんにとって故郷での記憶や失われゆく生活様式を取り戻したいという感覚があるのでしょうか。

 過去の古いものを今の暮らしにあう形で取り入れ、心のよりどころとするリノベーションはこれからもまだまだ増えそうです。

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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