リノベーション・スタイル

<174>美しく収納された蔵書とレコードに囲まれて暮らす

  

[vue]
Nさんご夫婦(夫60代、妻40代)
東京都世田谷区 築34年/67.2m²

    ◇

 音楽関係のライターとして仕事をするNさんは、とにかく蔵書とレコードが多く、リノベーション前のお部屋では、棚に入らない本が床に平積みになっていました。「そろそろどうにかしたい!」と、Nさんご夫妻は中古マンションの購入を検討されましたが、いざ探してみるとそれまで住んでいた部屋の良さを実感。結局、オーナーへの直接交渉で10年ほど住んでいた部屋を購入しリノベーションすることになりました。

 Nさんの要望は、とにかく蔵書とレコードをきちんと収納すること。そして、美しく収納された蔵書とレコードを眺めて暮らしたいということでした。また、以前の間取りだと、暗くて寒く、物置のようになっていた部屋があったので、すべての空間を有効利用できるようにしたい、という要望もありました。

 そこで提案したのは、部屋の両端をインナーテラスにして光を取り入れる。空間の真ん中を本棚の壁で仕切って、右側をリビングやキッチンなどのパブリックスペースに、左側を寝室やウォークインクローゼット、サニタリールームなどのプライベートスペースにする、という案でした。

キッチンの横に作ったNさんの仕事スペース。引き戸で隠せるように設計


キッチンの横に作ったNさんの仕事スペース。引き戸で隠せるように設計

 リビングの両壁は床から天井まですべて収納棚です。レコードの棚は隙間にほこりが入らないよう、大きさもぴったりに造っています。窓側はステレオの定位置にし、床下にコードを通しました。本を眺めたいときはソファをレコード壁側に置き、音楽を聴きたいときは、ステレオの正面に置くようにしているそうです。本を探しながら、置いてあるこの脚立に座って読みふけってしまうこともよくあるとか(笑)。

 本棚の隣にある白いドアを開けると、そこから先はプライベートルーム。サニタリースペースがあり、右手のウォークインクローゼットを通って寝室へ続きます。寝室からはインナーテラスを通ってリビングに。ドアとインナーテラスで二つの空間がつながっていて、ぐるりと回遊できます。ちなみに、Nさんは冬の寒い時期はインナーテラスに置いてあるデスクで仕事をすることも多いそうです。

本を取るための脚立。そのまま座って読書をすることも


本を取るための脚立。そのまま座って読書をすることも

 玄関側もモルタルのインナーテラスになっていて広々しています。靴を脱いで上がると、そこからすぐフローリングのキッチンへ。キッチンの向かいの壁側には、小さなワークスペースがあり、スライドドアを閉めるとパソコンを隠すことができます。家で仕事をすることが多いNさんが料理を担当しているので、ワークスペースとキッチンが近いのは使い勝手がいいようです。

 大量の本とレコードが生活の中心にある空間。趣味、仕事、暮らしがすべて一体になった大人のすまいですね。

(構成・宇佐美里圭)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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