花のない花屋

私が知らない20年……。見た目がそっくりでも性格は少し違う、一卵性双生児の妹へ

私が知らない20年……。見た目がそっくりでも性格は少し違う、一卵性双生児の妹へ

〈依頼人プロフィール〉
武川清子さん(仮名) 38歳 女性
福岡県在住
無職

私には、一卵性双生児の妹がいます。見た目はうり二つでそっくりですが、性格はちょっと違います。私は悩みがあると、親や友人など周囲にすぐ打ち明けてすっきりしたいタイプ。一方、妹は一人で悩み抜いて結論を出すタイプです。

中学校までは勉強もスポーツも同じように打ち込んできましたが、違いが出てきたのは高校に入った頃から。私は陸上競技をしていたので、私立のスポーツ強豪校へ、妹は公立の進学校に進みました。実家の同じ部屋で暮らしていましたが、制服も違えば友達も違い、少しずつコミュニティが変わっているのを感じながら青春の日々を過ごしました。

その後、妹は就職のために上京し、私は地元の短大に進学。妹は結婚、出産、離婚、再婚というめまぐるしい日々を過ごし、私は就職後に結婚、全国転勤のある夫と二人暮らしをしています。

私たちはしょっちゅうやりとりしなくても大丈夫、という安心感もあり、連絡をとるのは母親へのギフトの相談をしたり、帰省の時期を合わせたりするときくらいです。でも、アラフォーになり、女性としても社会人としても「今後どう生きたいか」を考えるようになってきた今、そろそろゆっくり話したいなあ……と感じています。

というのも、妹は今年の3月から、20年勤めた会社を休職。原因は心の疲れ。そして実は、時を同じくして、私も4月に今後の働き方を考え、仕事を辞めていました。

一緒にいなかったこの20年、私の知らないことが妹の人生にもたくさんあったことでしょう。親を頼らず子育てをし、結婚も離婚も再婚もすべて一人で決め、前に進んできました。

妹は結婚式を挙げていません。そんな彼女へ華やかな花束を作っていただけないでしょうか。「あなたにはもっといろいろな魅力があるんだよ」という気持ちを込めて、少し疲れた心をいやし、同時に元気になれるようなアレンジだとうれしいです。

思い返せば、幼い頃はそれぞれの色が決まっていました。妹はピンクと青、私は黄色と緑です。花束はピンクからブルーのグラデーションで、同じ色で違うお花を何種類か使ってもらえるとうれしいです。遠目で見て美しく、近くで見ると新しい発見があるようなアレンジをお願いします。

私が知らない20年……。見た目がそっくりでも性格は少し違う、一卵性双生児の妹へ

花束を作った東さんのコメント

ご希望通り、ピンクからブルーのグラデーションでアレンジしました。この二つの色を使ったアレンジはなかなか難しいのですが、今回はちょっとワイルドに、動きのある仕上げにしています。

ピンクはクレマチス、スパイダー咲きのガーベラ、チランジアの花、バラなど。ブルーはアジサイやリンドウです。強い色同士が隣り合っていますが、クレマチスの緑のツルや葉、まわりを囲んだハイブリッドスターチスが色を中和させ、ちょうどよいバランスを作っています。エアープランツは花が終わっても残りますので、記念にぜひ育ててみてください。

この花束を見て、ほっとすると同時に、これからもがんばろう!と前向きになってもらえたらうれしいです。

私が知らない20年……。見た目がそっくりでも性格は少し違う、一卵性双生児の妹へ

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(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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