野村友里×UA 暮らしの音

野村友里さん「手を広げて大の字になって浴びる、元気」

まだまだ、暑い季節が続きます。カナダの島に住むUAさんは、どんな夏を過ごしているんだろう――? 遠い地へと思いをはせながら、野村友里さんがお手紙を書きました。
「eatrip」を主宰する料理人の野村さんと、歌手のUAさんの往復書簡「暮らしの音」、今回お二人が選んだテーマは、「所有すること」です。

購入できる土地、できない空と雲


購入できる土地、できない空と雲

>>UAさんの手紙から続く

うあ!
元気かしら。
ここしばらく会えてない気がするな。
でもそちらはきっとカナダの島暮らしのサマーヴァケーション!
最高潮に楽しくて元気いっぱいの子どもたちを前にして、
うーこは楽しさと同時に、ぐったりぐっすりの毎日なのだろうなと想像している。

夏はどんな遊びをするの?
私の中では完全に幼少の時の憧れの世界。
“赤毛のアン”の日々が繰り広げられているのを妄想しているのだけどね。

冷たい水が流れる川で、ガラス瓶にいれた牛乳を冷やしておいて、
湖で泳いで、馬に乗って。。。
あれ、それって夏休みでなくても毎日のこと?だったりして。

でも、何より
雲が流れる広い空、星が輝く空の下で
思いっきり声をだして遊べる。
それだけでも本当に気持ちいいのでしょうね~。

空のそのまた向こうに広がる無限の宇宙までも、そこはかとなく感じとれるだろうしね。

野村友里さしかえ


友人が設計した家。家の外の移ろいゆく景色がいたるところに反映され、100年後も住みたいと思わせる

確かにうーこのいう通り、“愛”もまた無限で、宇宙のように掴みどころがなく未知数。

数年前、当時5歳の姪に突然、“ゆり、愛って知っている?”と聞かれた。
即座に問い返すと、“柔らかくて温かくて気持ちいいの”
そして聞き間違えでなければ、“遠くにあるの”と返ってきた。

私はその時、彼女の答えることの明快さに驚くとともに、
自分も何度か温かい光のように感じたり、
湧く心なのかもなと感じたことがあったので、
そのとおりかもしれないと感心しきりだった。
いずれにしても、手にとることも、貯めたり所有することもできない、不確かなこと。

所有できない、生命力に満ちた大木


所有できない、生命力に満ちた大木

そう、”所有”
今の世の中は、所有することで安心するという価値観、
お金という代価が欠かせずに回って作られているよね。

お金は時として、
気持ちや努力や力の目に見える代価として存在するだろうし、
レストランをやらせてもらってる私も
労力=お金を頂くという
お金の有り難さをしみじみ感じる。
一方で、どんなにお金があっても
結果本当の意味での満たされる気持ちや幸せは
買えるものでも所有できるものでもないとも感じる。

幸せは、愛は、自分の中に生まれてくるもので、
体中で感じ取ることだからなのかしらね。
愛を感じ取ると、心から感謝する気持ちが湧く。

佐賀県・嬉野でのお茶摘み


佐賀県・嬉野でのお茶摘み

食文化の推移をしみじみ感じる、香川「宮川製麺所」のいりこだし汁うどん


食文化の推移をしみじみ感じる、香川「宮川製麺所」のいりこだし汁うどん

土に還ることが容易に想像できる景色に、安心する


土に還ることが容易に想像できる景色に、安心する

そう考えると、
お金は天下のまわりもの
やっぱり借りているという意識もどこかで強いものだから、
貯めるのでなくて使うことで、どうやったら世の中にとっていいと思えるコミュニティーを作り、循環させていけるのだろうと考えてしまう。

そして、お金どころか自分の命も授かりもの、お借りしているものと考えると、
精一杯楽しみ、全うして感謝しなきゃとも思う。

子ども笑顔には、無限の力がある


子どもの笑顔には、無限の力がある

と思うとね、
何がしたいかっていうと
私はうーこの子どもたちに混ざって大声出して、空の下で自然相手に思いっきり駆け巡りたいし、
いろんなものを愛おしく思い、声をかけたくなる。
なんとも非生産的な私の発想なのだけど
たまに忙しくて頭がパンパンになって、時間の感覚がオヤッ?おかしいぞ、このままでいいのかなと思ったりすると、家の中でも外でも手を広げて大の字になって寝転ぶの。
目をつぶって深呼吸して、薄目を開けて(薄めね)空を見るの。

そうすると落ち着くし、浴びられるのよ、元気を。

友里

最近気になる縄文時代。所有が少なかった時代だからこそ、1万年続いたのかな


最近気になる縄文時代。所有が少なかった時代だからこそ、1万年続いたのかな

PROFILE

  • UA

    1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル「情熱」が大ヒット。2000年、ブランキー・ジェット・シティを解散した浅井健一とAJICOを結成。同年、初主演映画「水の女」(テサロニキ国際映画祭グランプリ受賞作品)公開。2003年から放送されたNHK教育テレビ番組「ドレミノテレビ」に、歌のおねえさん「ううあ」としてレギュラー出演。2004年、数々の童謡・愛唱歌を集めた、ううあ名義アルバム「うたううあ」をリリース。2006年、菊地成孔とスタンダードジャズアルバム「cure jazz」をリリース。2010年、デビュー15周年企画カバーアルバム「KABA」をリリース。2016年、7年ぶりとなるオリジナルアルバム「JaPo(ヤポ)」をリリースした。また、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。現在はカナダに居住。4人の母でもある。α-STATION(FM京都)の番組「FLAG RADIO」にレギュラー出演中。

  • 野村友里

    料理人(りょうりびと)、「eatrip」を主宰。おもてなし教室を開く、母・野村紘子さんの影響を受けて料理の道に。主な活動に、レセプションパーティーなどのケータリングフードの演出、料理教室、雑誌の連載、ラジオ番組など。2009年、初の監督作品『eatrip』を公開。11年、「シェ・パニース」のシェフたちとともに、参加型の食とアートのイベント「OPEN harvest」を開催。その経験を経て日本のシェフたちとともに「nomadic kitchen」プロジェクトをスタート。12年、東京・原宿に「restaurant eatrip」をオープン。著書に『eatlip gift』『春夏秋冬 おいしい手帖』(マガジンハウス)、『Tokyo Eatrip』(講談社)、共著に『TASTY OF LIFE』(青幻舎)がある。

〈暮らしの音〉UAさん「“私”がいない時に宇宙はあると言える?」

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UAさん「今日私は、一体幾つのどんな考えを持ったのだったかしら?」

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