料理家・冷水希三子の何食べたい?

ワインにも日本酒にも。秋の夜に似合う無花果(イチジク)のおつまみ

ワインにも日本酒にも。秋の夜に似合う無花果(イチジク)のおつまみ

写真 関めぐみ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部の「あれ食べたい!」に応えて料理を作ってくれるという夢の連載。5回目は、30代女性読者の方から「秋の晩酌をちょっとおしゃれに楽しめるおつまみをお願いします」というリクエストをいただきました。さて、冷水先生が作る「秋らしいおつまみ」は……

――冷水先生、こんにちは。連載が始まってからしばらく経ちましたが、読者の方からのお便りが増えてきました。今回のリクエストは「だんだん暑さも和らぎ、ふと気づけばぐっと日が短くなっていました。私は秋の夜が大好きなのですが(あと、お酒も!)、秋の晩酌をちょっとおしゃれに楽しめるおつまみをお願いします」というお便りでした。

冷水 うれしいですねえ。みなさん、ありがとうございます! 「晩酌」って、いい響きですね。確かに夜が長くなる秋は、お酒を飲むのも楽しい季節です。ワインもいいし、日本酒をちびちびというのもすてきですね。

――冷水先生も結構いける口ですね!(笑)

冷水 うふふ。

ワインにも日本酒にも。秋の夜に似合う無花果(イチジク)のおつまみ

旬を迎えた無花果。この形、色、佇(たたず)まい……。料理する前から乙女心をくすぐる魅力がある果物です。

冷水 おもてなしはもちろんですが、自分がお酒の時間を楽しむために丁寧におつまみを作りたいなんてすてきですよね。じゃあ今日は、大人の女性がかっこよくお酒を飲めそうな秋のおつまみを作りましょう。あっという間にできちゃうので、しっかり見ていてくださいね(笑)。

――え、そんな簡単におしゃれなおつまみができちゃうんですか!?

冷水 おつまみは、さっと作れることが鉄則ですからね。今日のメイン食材は今が旬の無花果です。無花果がお店に並び始めると、ああ、秋だなって思いませんか? 秋風を感じながらの晩酌ですから、おつまみにも秋の色や香りをまとわせたらすてきかなと思って。

――うわ~、本当に秋の色ですね!シックです。

冷水 無花果は味に強い主張がない分、いろいろなお料理に応用できるんです。代表的なお料理に白あえがありますが、今日はワインにも合わせられるように、ちょっと洋風の白あえというか、お豆腐を使ったソースをかけていただきます。無花果は独特のねっとりした食感が魅力ですが、そこにまったり、コクのあるお豆腐のソースがかかると、なんともいえない一体感が生まれるんです。

ワインにも日本酒にも。秋の夜に似合う無花果(イチジク)のおつまみ

豆腐は水切りせずにミキサーにかけるとトロッとした質感になって、コク深いソースになります。

――ねっとり&まったり! お酒に合いそうですね。

冷水 白あえを作るときにはお豆腐を水切りしますが、今回はあえて水切りしないで使うのがポイントです。白あえより水分があるので、あえるというよりソースとしてかけるという感じ。白あえにすると無花果の美しい果肉が見えなくなってしまいますが、ソースを少しかけたり、横に添えたりすると、無花果の奇麗な色が見えて、とても華やかになるんです。

――無花果の潤いを含んだ果肉が、妖艶(ようえん)というか、何だか色っぽいイメージがあります。

冷水 さあ、できたソースを無花果にかけましょう。このとき、ぜひ青ゆずの果汁を無花果にかけてください。青ゆずの爽やかな酸味と香りが、無花果の味をキュッと引き締めて、甘さや風味を引き立ててくれるんです。

――うわ~、青ゆずのいい香り!

ワインにも日本酒にも。秋の夜に似合う無花果(イチジク)のおつまみ

豆腐のソースをかける前に青ゆずの果汁をひと搾り。無花果の甘さがより引き立ちます。

冷水 さらに仕上げに青ゆずの皮をすって全体に散らすと、全体の味の印象をまとめてくれますので、ぜひ。彩りもとっても奇麗でしょう?

――本当ですね。でもこれ、かぼすとかすだちじゃダメなんですか?

冷水 かぼすやすだちもいい香りですが、皮に苦みがあるんです。その点、青ゆずは皮に苦みがないので、使いやすいんです。

――確かに、爽やかな香りはありつつも、苦くありません! ほんの少し皮を散らすだけで、すごく上品な味になるんですね~。びっくりしました。

冷水 ソースには練りゴマが入っているので、優しいコクがあるでしょう? 見た目は洋風なのでワインに合わせてもいいですが、使っているのは和の食材ですから、日本酒にもよく合いますよ。

――こんなシックなおつまみに日本酒なんて、めちゃくちゃ粋です!

冷水 ふふふ、大人の女性の晩酌ですからね。

今日のレシピ

無花果のゴマ白ソース

◎材料(2~3人分)

・無花果  2個
・青柚子  1個
A
・絹ごし豆腐 100g
・白練りゴマ 大さじ1/2
・砂糖 小さじ1/2
・酢 小さじ1/2
・薄口醤油  小さじ1/4

◎作り方
1 Aの材料を全てミキサーにかけ、ペーストにする。
2 半分に切った無花果に青ゆずの果汁を少しふって皿に乗せ、1のソースをかける。仕上げにすった青ゆずの皮を散らす。

PROFILE

ワインにも日本酒にも。秋の夜に似合う無花果(イチジク)のおつまみ

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 写真:関めぐみ

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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