花と料理

【花と料理 鼎談1】平井かずみ×渡辺有子×大段まちこ 365日の“部活”の記録

  


左から、大段まちこさん、渡辺有子さん、平井かずみさん

美しい本が生まれた。『花と料理 おいしい、いとしい、365日』。季節の料理、花や植物が、1日1ページ、365日に渡ってつづられる。著者は、フラワースタイリストの平井かずみさん、料理家の渡辺有子さん、フォトグラファーの大段まちこさんという、違ったフィールドで活躍する3人。最初は「部活」と称して撮影を始めたそうで……。まずはその様子をお伺いします。(構成・中津海麻子 写真・馬場磨貴)

    ◇

平井かずみ フラワースタイリスト。ikanika主宰。草花がより身近に感じられるような「日常花」の提案をしている。東京を拠点に、「花の会」や「リース教室」を全国各地で開催。雑誌や広告などでのスタイリングのほか、ラジオやテレビに出演。著書『フラワースタイリングブック』『ブーケとリース』『あなたの暮らしに似合う花』ほか多数

渡辺有子 料理家。アトリエ「FOOD FOR THOUGHT」で料理教室やイベントを開催。同名のショップでは作家の器や自家製ビン詰、焼き菓子などを販売している。『春には豆ごはんを炊く』『作りたい、食べたい、12ヵ月のシンプルレシピ』『すっきり、ていねいに暮らすこと』『サンドイッチの時間』『料理と私』など、レシピをはじめ、生活にまつわる著書多数

大段まちこ フォトグラファー。雑誌や広告で活躍。共著に『神戸ロマンチック案内』など。毎年人気の「日めくりカレンダーBOOK A VERY MERRY EVERY DAY to you」では、企画および写真を担当している

――3人の「なれ初め」は?

平井 2年前の春、インテリア雑誌で、花やハーブを使った料理とスタイリングの特集がありました。料理を担当する有子さんが私に声をかけてくれて。そのときの撮影がまっち(大段まちこ)さんだったんです。

渡辺 個々にはそれまでも一緒になったことはあったけれど、3人で、というのはあれが初めてでしたね。

大段 すごく新鮮な現場でした。だって、ステーキやスープにお花が乗っているんだもの。美しいから撮るのが楽しいし、食べたら抜群においしい! これはすごくいい企画だなぁ、と感心しました。

  

平井 「花を食べる」というテーマは、有子さんも私も初めてだったんです。とてもいい刺激を受けました。

渡辺 私も普段の料理ではできないことができて、自由でとっても楽しかったんです。

平井 それで「この3人で何かやれたらいいね」という話になって。

渡辺 そうだっけ?

大段 そうでした?

平井 思い出してね(笑)。そのあと、有子さんと食事会などでご一緒する機会があり、「一緒にワークショップやろう」「花と料理、もっとやってみたい」と言ってくれたんです。じゃあ打ち合わせも兼ねてごはんでも食べましょう、と。最初は12カ月のカレンダーを作ろうと盛り上がりました。ところが、有子さんが急に「ダメだわ。すでに12カ月のカレンダーは作って配ってるから、やるなら365日!」って。すごいこと言うなぁ、この人……とびっくりしましたが(笑)、私も乗りやすいタイプなので、やろうやろう!と。話が尽きず、ランチしてお茶して夜ごはんも食べて……。

渡辺 最後はお酒もちょっと飲んだよね(笑)。

平井 だったら撮影は大段さんにお願いしたいね、と。帰ってからすぐにまっち先輩に電話しました。

大段 楽しそう、やるやる! って即答したと思います。

平井 それで3人で集まり、撮影に入りました。

  


平井かずみさん

――撮影は順調だったのですか?

平井 いえいえ。涙無くしては語れません(笑)。

渡辺 最初に集まったのが2016年11月。2018年のカレンダーを作るとすれば翌年の9月までには撮影を終わらせないといけない。実はあまり時間がないから、撮れるものから撮っていこう、みたいに始まって。

平井 あまり打ち合わせもしないで取りあえずそれぞれ持ち寄りました。初回、半日で30カットぐらい撮影したのですが、私たちはセッティングに追われるし、撮影は一人だからまっち先輩はヨレヨレになるし……。

渡辺 途中でいなくなるんです。「あれ、まっちさんどこ行った!?」って(笑)。

大段 ごめんなさい(笑)。

平井 みんなヘトヘトになって、でも、そこまで大変な思いをしているにもかかわらず、テーマはあいまいだし、いまいち料理と花のコラボ感もない。最初の撮影が終わったとき、見かねたんでしょうね。まっち先輩から「これではダメ。ちゃんと骨組みを考えて組み立てないと」とピシャリ。そして「2人で考えなさい」と……。

  


渡辺有子さん

渡辺 今だから言えるけど、かなり険悪な雰囲気になった(笑)。

平井 でも、その通りだなって。それから、有子さんと私は撮影の前に2人で打ち合わせをするように。実は「毎月○日は〇〇の日」というように、ちょっとした仕掛けがあるのですが、それはまっち先輩のアイデアなんです。そのアドバイスがあったから、今月のテーマは? 色は? 麺類は? リースは? と2人で綿密に決めてから撮影に臨みました。一方で、それ以外はかなり即興の部分が強くて。私の場合、当日市場に行ってみないとどんな花や植物が手に入るかわからない。でも、普段の暮らしってそうですよね。家にある食材で料理を作ったり、お花屋さんでたまたま出あったかわいい花を飾ったり。そういう感覚は、暮らしとリンクできてよかったと思います。

渡辺 料理は、季節の食材や気になるものを買い出し、だいたい作るものを頭の中で想像はしておいて。あとは、かずみさんがどんなハーブを持ってきてくれるかなどは当日にならないとわからないので、即興で作った料理も少なくなかったですね。

  


大段まちこさん

大段 2回目の撮影からガラッと変わりました。2人の「らしさ」がどんどん出てきてとても面白くなりました。

平井 名プロデューサー、まっち先輩のおかげです。とはいえ、かわいくないとシャッターを押してくれない。私は「はい、やり直します!」って、もはや1000本ノック(笑)。
 
渡辺 そんな感じだったから、いつの間にかこの活動を「部活」って呼ぶようになったんだよね。

  

>>後編に続く

『花と料理 おいしい、いとしい、365日』(リトルモア)

花と料理

平井かずみ・渡辺有子・大段まちこ
フラワースタイリスト、料理家、フォトグラファーが、誰にたのまれたわけでもなく、「部活」と称してはじめたとっておきのスタイリング。
うつくしさ、美味しさ、可愛さの三重奏。

毎日ひとつ、生活のいろどり。
季節の食材と料理やおやつ、その作り方。
花のしつらい、花のなまえ、ブーケやリースの作り方。

一日ひとつ、1枚の写真とさりげない文章で構成された本書は、3人の感性・美意識をまるごと楽しめるビジュアルエッセイ集です。10月17日発売予定。2484円(税込み)

『花と料理〜おいしい、いとしい、365日』 刊行記念展覧会
日時/10月9日~14日 13時~20時 森岡書店 銀座店にて
<☆10月9日、トークイベントが開かれます。
日時/10月9日(火)18:30~19:30(開場18時)
参加費/1500円
定員/28名
場所/森岡書店特設会場
ご予約は森岡書店までお電話でお願いいたします。03-3535-5020
『花と料理 おいしい、いとしい、365日』刊行記念 渡辺有子×平井かずみトークイベント
日時/10月30日(火)19:00~20:30(開場18:30~)
入場料/1350円
定員/110名
会場/青山ブックセンター本店内・大教室
参加方法/[1] 青山ブックセンターウェブサイトの「オンライン予約」にて受付。
[2] 本店店頭にてチケット引換券を販売。
受付時間: 10:00~22:00

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【花と料理 鼎談2】平井かずみ×渡辺有子×大段まちこ 部活、途中で「やめたく」なった

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