ほんやのほん

自分好みの喫茶店を見つける喜び。『純喫茶とあまいもの』ほか

撮影/馬場磨貴

撮影/馬場磨貴

今回は、難波里奈さんの最新刊『純喫茶とあまいもの』 『クリームソーダ 純喫茶めぐり』を2冊同時にご紹介致します。著者は、東京喫茶店研究所2代目所長という肩書を持ちながらも、現在日本橋に勤務されている会社員。仕事帰りや休日にひたすら喫茶店巡りを続ける生粋の喫茶好き。その「好き」が高じて、今までにも複数の本を執筆されています。

1冊目は、『純喫茶とあまいもの』
信じられない数ですが、日本全国1700軒以上の純喫茶を訪問した著者が、都内近郊の純喫茶30店舗厳選してご紹介。懐かしく思う方もいらっしゃれば、はじめて体験する驚きを覚える方、双方いらっしゃるのではないかと思います。そんなすべての方々をナビゲートしてくれます。

2冊目は、『クリームソーダ 純喫茶めぐり』
タイトル通りあらゆるクリームソーダをご紹介。クラシックなソーダのカラーは「グリーン」ですが、他にも様々な色、形状のものがあるのだと驚きです。ページをめくるたびに、心踊るときめきが詰まっています。
クリームソーダを飲めば、何故だかすてきな一日になりそうです。

思い浮かべるだけで幸せなメニュー

もしかすると、「純喫茶」と言われても、ピンとこない方がいらっしゃるかもしれませんね。純喫茶とは至ってシンプルですが、お酒などを扱わない純粋な喫茶店のことです。今ではカフェに押され気味で、このような形の喫茶店は少しずつ姿を消しつつあります。その建築物や装飾なども貴重な財産。そして、なによりもお店の存続を担ってきてくれた人たちが宝です。

喫茶店のメニューは、思い浮かべるだけで幸せな気分になれます。パフェ、プリン・ア・ラ・モード、ホットケーキ、フルーツサンド、ケーキ、クリームソーダ……。考えるだけで、わくわくしてきます。大人になったら、きっとこんな気持ちは薄れていくのではないかと思ったこともありましたが、今でもその気持ちは全く変わらず、もしかすると小さな頃よりも、もっとときめいているかもしれません。

皆さんには、好きな喫茶店はありますか?

私には、好きな喫茶店が複数ありますが、中でも、日比谷・三信ビル1階にて、57年営業を続けた「NEW WORLD SERVICE」が大好きでした。ですが、数年前にビル自体が取り壊しになってしまうという理由で閉店してしまいました。本当に残念でした。

店内には、いつも居眠りをしているおじいさんがいて、オーダーをお願いしても間違えてばかり。少し不自由そうに話す日本語(どうやら、日本の方ではなかったのだと、のちのち知りました)で交わす会話がとても好きで、お店の味はもちろんのこと、ほぼこのおじいさんに会いたくて通っていたのだと思います。仕事の途中、色々な気持ちを抱えてお店に立ち寄ると、いつものメニューといつものおじいさんが出迎えてくれることが、ほっとしてとても幸せでした。

チェーンのカフェが立ち並ぶ景色が増えた昨今ですが、そこにしかない味や人、雰囲気を求めていく楽しさは、きっとチェーンのお店では味わえないことなのではないでしょうか。喫茶店の扉を開ければ、タイムスリップしたかのような感覚に包まれて、いつもの慌ただしい日常から切り離された異空間になるから不思議です。

これから少しずつ季節が変わり、散歩が楽しくなってきます。
本を片手にいつもよりも足を伸ばして、自分好みの喫茶店を見つけてみてはいかがでしょうか。ひとりでも、友人や恋人、家族や同僚とお相手は様々に、ぜひ、喫茶店の時間を楽しんでみてください。

(文・大川愛)


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    ふと何かを思うための一呼吸『お茶の時間』
       

       

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    大川 愛(おおかわ・あい)

    二子玉川蔦屋家電、食コンシェルジュ。
    書店・出版社で、主に実用書や絵本の担当を経験。
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