料理家・冷水希三子の何食べたい?

秋の味覚を詰め込んで。チキンと栗とりんごの蒸し煮

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに答えて料理を作ってくれるという夢の連載。7回目は「秋のフルーツを使ったお料理」について読者の方からリクエストをいただきました。

――冷水先生、こんにちは。しつこく暑い日が続きましたが、ようやく秋らしい、涼やかな日が増えましたね。

冷水 本当に、やっとという感じですね。でもすぐに冬になってしまいそう。

――食欲の秋があっという間に終わってしまうなんて悲しいです! 読者の方々も同じ気持ちのようで、秋の食材を使ったお料理についての投稿をたくさんいただいています。中でも多かったのが「秋の果物を使ったお料理」でした。

冷水 秋はフルーツがおいしい季節ですから、お料理に使わない手はないです! みなさん、目の付け所が食いしん坊ですね(笑)。

――でも、果物をお料理に使うのってなんだかハードルが高そうです……。

冷水 じゃあ今日は身近な果物のりんごを使ってお料理してみましょうか?

秋の味覚を詰め込んで。チキンと栗とりんごの蒸し煮

旬を迎えたりんごはみずみずしくてとってもおいしい。酸味と甘みのバランスがよくて、お肉料理とも相性がいいんです。

――りんごを使ったお料理といえば、ポテトサラダにちょっと加えるくらいしかやったことがありません……。

冷水 そうですね、生のままサラダに使ったりする方も多いと思います。でも、りんごは火を入れて料理してもとってもおいしいんですよ。今日は同じく秋の味覚の栗、さつまいもと一緒にブレゼにしてみましょうね。

――ブ、ブレゼ……ですか?

冷水 「ブレゼ」というのはフランスの調理法で、少しの水分で蒸し煮にするという意味。煮込みとはちょっとニュアンスが違うんです。

――へ~、なんだかおしゃれな響きです!

冷水 今日は鶏肉を使いますが、水分量の少ないブレゼは煮込みのように煮汁の中にお肉の水分が出ていかないので、柔らかく仕上がるんです。栗とおいもはホクホク、りんごはジューシーと、素材の食感と風味が生きる調理法です。

秋の味覚を詰め込んで。チキンと栗とりんごの蒸し煮

栗は熱湯に浸(つ)けてそのまま冷ますと鬼皮が柔らかくなって剥(む)きやすくなります。あくまでも冷水流なのでメカニズムはよくわからないのですが(笑)。

――わわわ、大きな栗!

冷水 栗は鬼皮を剥(む)くのが骨ですが、それさえクリアすればあとは楽チンですから〜。包丁で皮を剥くときに手を切らないようにゆっくりやってくださいね。

――鶏肉も丁寧に下処理するんですね。やっぱり仕上がりに違いが出るんですか?

冷水 鶏肉は余分な皮や筋を取り除きます。肉の臭みはここから出るので、きちんと処理しておくと風味が違ってきますよ。料理はひと手間で差が出ますから。

――サボってしまいがちなところこそ肝心なんですね、肝に銘じます!

秋の味覚を詰め込んで。チキンと栗とりんごの蒸し煮

鶏肉はフライパンで表面をこんがりと焼いてから白ワインを加えて蒸らし煮に。その後、野菜とりんごを蒸らし煮にした鍋に煮汁と一緒に加えます。

冷水 ポイントはまず栗とさつまいも、りんごを鍋で蒸らし煮にして、別のフライパンで鶏肉を焼き、こちらも蒸らし煮にすること。ひとつの鍋でいっぺんに作ってしまおうとすると食材の食感や風味が損なわれてしまうので。

――あー、ここも面倒でつい一気にやってしまいがちです……。反省。

冷水 栗とさつまいも、りんごも火の通り方が違いますから、まずは火の通りにくい栗とさつまいもを先に入れて、時間差でりんごを入れましょうね。そうでないとりんごがグズグズになってしまいますから。

――はい!

冷水 鶏肉に火が通って、途中で加えた白ワインのアルコールが飛んだら、煮汁ごと一緒にお鍋に加えて合流させましょう。あとは15分ほど蒸らし煮にして完成です。

――わ~、りんごの甘酸っぱさが鶏肉とよく合いますね。栗とさつまいものホクホク感もたまりません! 全部の食材が食感、風味共に本来の魅力を発揮していて、みんなが主役という感じがします。

冷水 そう、秋の味覚はみんなが主役。それを一度に楽しめるなんて贅沢(ぜいたく)でしょう(笑)。おもてなし料理にもぴったりなので、ぜひ秋が終わる前に挑戦してみてくださいね。

今日のレシピ

チキンと栗とりんごのブレゼ

◎材料(4人分)

・鶏骨付きモモ肉 2本
・タイム 5~6本
・オリーブオイル 大さじ1
・白ワインビネガー 大さじ2
・白ワイン 100cc
・栗 8個
・さつまいも 1/2本
・長ネギ 1本
・りんご 1/2個
・しょうが 1片
・バター 20g
・塩 適量

◎作り方
 鶏肉は関節で2つに切り分け、塩を少し強めに揉(も)み込んで30分ほどおく。
2 栗は皮を剝いて水にさらす。さつまいもは3㎝大に切って水にさらす。長ネギは3㎝の長さ、リンゴは3㎝大に切る。しょうがはスライスする。
3 鍋にバターを入れ、2の栗とさつまいも、水大さじ2(分量外)と塩少々を振り蓋をして弱火で10分蒸らし炒める。長ネギ、りんご、しょうがを加えて混ぜ、塩少々をして蓋(ふた)をし、弱火でさらに10分ほど蒸らし炒める。
4 の鶏肉の水気を拭き取る。フライパンにオリーブオイルとタイムを入れて鶏肉を入れ、表面を焼く。出てきた脂を拭き取り、白ワインビネガーと白ワインを加えてアルコール分が飛ぶまで煮る。
5 4の鶏肉を煮汁ごと3の鍋に入れ、再び蓋をして15分ほど煮る。

PROFILE

秋の味覚を詰め込んで。チキンと栗とりんごの蒸し煮

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 写真:関めぐみ

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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ハイジの夢の料理を自宅で。スチームラクレット

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