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辺野古に17年間通った自然愛の記録『辺野古-海と森がつなぐ命』

辺野古に17年間通った自然愛の記録『辺野古-海と森がつなぐ命』

撮影/猪俣博史

今、問われている辺野古の海は? サンゴは? どうなっているのか。単純な疑問を明快に示してくれる1冊です。豊かな海中は、広大な森と栄養分を運ぶ海流に支えられているのがハッキリとわかる写真を突きつけられて、改めて自然の循環と関連した営みの大切さを問いかけられます。

辺野古が話題に上り始めたのが2001年。その頃から水中撮影家として問題提起し、今回の写真集を発売するまでの長い間、通い続けて海中を撮ってきた動機は何だったのか。ニュース性があるとはいえ、17年間も話題に上っていたとは考えられず、ただ黙々と海を、森を、自然を撮り続けてきた本当に自然を愛した結晶の写真を眺めていると、我々にあるがままの姿を知って欲しい、沖縄の海の中を理解して欲しいと言われているようです。

水中カメラマンの視点で、辺野古の豊かさを

クジラ、サメ、イトマキエイ(通称マンタ)などの大物が見られる、沈船などの戦跡が楽しめる、海中の透明度が高い、魚群が濃いなど、それぞれの特徴を求めたダイビングツアーが世界中で企画され、多くのダイバーが各地に出かけています。

ただ、実は色鮮やかな魚やサンゴの生息域は、沖縄を北限として、西はフィリピン東側のミクロネシアを中心とした“太平洋地域”が世界で一番美しくカラフルな海中域と言われており、なかでも世界のサンゴの1/4が集まっているとも言われる沖縄海域は、世界のダイビング愛好家にとって憧れの海なのです。沖縄海域の海中の美しさは、生き物の豊富さ、色鮮やかさ、水中透明度ともに毎年上位に位置づけられています。

本書は、水中カメラマンとしての視点で、辺野古の海だけが持つ自然ではなく、広大な「やんばるの森」の肥沃(ひよく)な土壌と河口に広がるマングローブ、浅瀬と干潟、そして森と海をつなぐ清流が一体となって多様な生命が育まれて辺野古が出来上がったという事実を教えてくれます。

そこに住む色とりどりの魚、サンゴが積み重なるまでの長い月日を思うと、自然の大きさ、美しさを写真を通じて紹介しているだけなのに、相互に絡み合い助け合っている様が分かり、楽しくなると同時にスゴイと思わずにはいられません。

(文・重野 功)

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重野 功

2014年12月オープン時より、湘南蔦屋書店に旅行コンシェルジュとして勤務。旅の企画・販売、海外駐在、添乗員、海外ホテルの窓口、在日政府観光局、JICAシニアボランティアなど観光を支える「作る側」を経ると共に、アジア・南太平洋を中心に40カ国以上「旅する側」を実践する旅大好き人間。

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