野村友里×UA 暮らしの音

UAさん「胸打つ言葉は日々周囲に響いているわけよ」

UAさん「胸打つ言葉は日々周囲に響いているわけよ」

うまそうじゃわい

「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、歌手のUAさんの往復書簡「暮らしの音」、今回お二人が選んだテーマは、「刺さる言葉」です。
最近出会った90歳の女性の言葉が刺さったという野村さん。それに対してUAさんは――?

>>野村さんの手紙から続く

友里ちゃん

とっても元氣そうで何より!
チャーミングな出逢いにときめいてるあなたの様子が目に浮かぶ。
こちらの島暮らしでも日々出逢いがあるけれど、何せ街とは違った限られたコミュニティ、島ならではの暗黙のルールとも言えるような、互いの距離感を配慮する姿勢は、多く見受けられる。二つしかないスーパーマーケットにはおそらくほとんどの住人が頻繁に出入りしているわけだけど、 それぞれ相手の状況を瞬時に読み取ってる感がある。
スローでフレンドリーなのが評判なこの島だけど、声をかけない心配りというのもまた大切なんだよね。

そしてうちの森はきのこ祭り! 特にシャギーパラソルというきのこが豊作で、べリーの終わってしまった初秋には、子供達はマーケットで採りたてシャギーを並べている。これは大変お味がよろしくて、友里のレシピでもっていただいてみたいものよ。

あとは、日本から、友人の末娘さんでシュタイナー学校を卒業した19歳女子が、しばらくうちで、社会勉強を兼ねて住み込みでお手伝いしてくれることになってね。いつもお母さんの後ろに隠れてたあのちっちゃなおかっぱのあの娘がね~。。。って、 ほんとしみじみしちゃうわよ。それに家族以外の存在が暮らしの中にあるのって、改めて自分自身を知ることにもなって面白いしありがたい。

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ウォンチューシャギー

刺さる言葉は、ありがたいレッスン

さて、刺さる言葉ね。グサッとね!?
ありますがな、身体中響くほど刺さった言葉がね。
でもこうして歳を重ねていくと、それは全てありがたいレッスンでしかないことに気づく。

「あんたは、感性はまあまあだけど、知性がね~」
「君の職業ってある意味、泥棒稼業じゃないか」
「しゃべりがひどいんだから、ただ歌ってなさいよ」
「自業自得でしょ」

あり?
沈黙。。。レッスンは未だ課題か。

考えたことがそのまま全て自分自身ではないのと同じに、自分で思ってる自分ほど、実は外から見るとまるで見当違いなことはかなりの確率であるはず。

カリフォルニア育ちの日本人の友人が、「Happy」ってすごくアメリカ的な言葉、って言ったのが面白くてね、「『Happyになりたい、Happyであらなきゃ』ってね、そんな嘘よりも、私は Unhappyで別にいい」ってね、笑。
ニュースのチャンネルひねれば、ひどい話ばかりで、誰しも正氣なら、Happyだなんて言えないのが人の心ってものよね。

あなたの姪っ子の台詞、「愛は柔らかくて温かくて氣持ちよくて、遠くにあるもの。」については、驚きとともに寂しさを覚えてしまう。

近所の農業園芸専門店の店先の大きな黒板に、「Love is in the air.」と書かれてるのを見つけたときは、静かに心震わせていたのだけど、呼吸ほど無意識にしてるものもないわけで。

UA3


センスオブワンダー?

愛は、エゴであってはならない

愛という言葉の意味するところの不的確さのために、時に大きなプレッシャーとなることもある。
愛は、情緒的な衝動ではないし、受動的なものでも、無意識に任せられるものでもない。
愛とエゴを取り違えるのは大変まずいわよね。
絶対愛、宇宙愛に目覚めたとされるイエスや仏陀でさえ、実際それを自らの手で書き残したわけではないんだものね(その弟子たちが師の発した言葉を記した)。

もしかしたら、彼ら自身は、その悟りの真意を伝えきれなかったと感じていたのかもしれない。
だって(凡人にもわかるように)真に愛を説明してあるのなら、宗教戦争や神の名を利用した支配など起こるはずがないものね。
キリストの復活のごとく、もしも近い未来にその意味することが起きるのなら、それは抜きん出た数人だけという時代ではなく、全体の目覚めであると信じたい。

戦後を生き抜いた親に育ててもらった70年代生まれの私たち。ことあるごとに、人生は辛く、人間は弱く、世間は恐く、汗水垂らして働かねば、と刷り込まれてきた。そこには悪氣のかけらもなく、愛情ゆえに繰り返した言葉だったのは承知できるが、それでも世界と自分とがまだ一体で夢の中に生きているような幼少時に受けた言葉の印象というのは根深い。

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突然現れたウズラの団体(中央)

けれど、私たちは一体何処からやってきて何処に帰るのか、それをもっと懸命に知ろうとするなら、この世は最高の遊び場なんだと思えやしないものかしら。それも全生全力をかけて楽しむような。

当分続く子育てだけど、大切なのは、感受性を育てることなのだとわかるようになった。
何よりまずは楽しければ、その後に知識はついてくるものだよね。
その姿を見ながらまた、親たちも刻々と感受性を鍛えていくことになる。
センスオブワンダーは幾つになっても持ち合わせていたい人生のとっておきの調味料。
お腹空かせてるのが一番のおいしさの元になるのと似てるよね。

今日も子供達に
「ママの意地悪!」
「なんでいつもママがボスなの?」
チクリ。
なんでかなあ。。。

胸打つ言葉は日々周囲に響いているわけよ。

UA5

ところで年末に少し帰国するよ。 また也哉ちゃんと一緒に愛たいね(^_-)

うーこ

PROFILE

  • UA

    1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル「情熱」が大ヒット。2000年、ブランキー・ジェット・シティを解散した浅井健一とAJICOを結成。同年、初主演映画「水の女」(テサロニキ国際映画祭グランプリ受賞作品)公開。2003年から放送されたNHK教育テレビ番組「ドレミノテレビ」に、歌のおねえさん「ううあ」としてレギュラー出演。2004年、数々の童謡・愛唱歌を集めた、ううあ名義アルバム「うたううあ」をリリース。2006年、菊地成孔とスタンダードジャズアルバム「cure jazz」をリリース。2010年、デビュー15周年企画カバーアルバム「KABA」をリリース。2016年、7年ぶりとなるオリジナルアルバム「JaPo(ヤポ)」をリリースした。また、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。現在はカナダに居住。4人の母でもある。α-STATION(FM京都)の番組「FLAG RADIO」にレギュラー出演中。

  • 野村友里

    料理人(りょうりびと)、「eatrip」を主宰。おもてなし教室を開く、母・野村紘子さんの影響を受けて料理の道に。主な活動に、レセプションパーティーなどのケータリングフードの演出、料理教室、雑誌の連載、ラジオ番組など。2009年、初の監督作品『eatrip』を公開。11年、「シェ・パニース」のシェフたちとともに、参加型の食とアートのイベント「OPEN harvest」を開催。その経験を経て日本のシェフたちとともに「nomadic kitchen」プロジェクトをスタート。12年、東京・原宿に「restaurant eatrip」をオープン。著書に『eatlip gift』(マガジンハウス)がある。

野村友里さん「心に刺さる、90歳の女性の言葉」

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野村友里さん「正しく叱れる人、思い切り褒める人でありたい」

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