花のない花屋

プロポーズされるも明確な返事ができず……。13年間、ずっと一緒だった彼へ

プロポーズされるも明確な返事ができず……。13年間、ずっと一緒だった彼へ

〈依頼人プロフィール〉
新田藍さん 31歳 女性
東京都在住
プロダンサー

今年の9月、長年一緒にいる彼から東さんのお花でプロポーズされました。

出合ったのは大学時代のこと。競技ダンスのサークルで、ダンスのパートナーとして一緒に踊っていました。北海道出身で、テレビ局に入った後、大学へ入学というちょっと変わった経歴の持ち主。私と同学年ですが2歳年上です。

私たちは卒業と同時に二人でプロになろうと決意。昼の12時から夜の12時まで生徒さんにレッスンをし、それ以外の時間に自分たちの練習をするので、必然的にスタジオ近くに二人で住むことになりました。この13年間、文字通り寝ても覚めてもずっと一緒でした。

ほとんど事実婚のようでしたが、現役を引退するまでは子どもが産めないこともあり、私自身はこれまで結婚にはあまり興味がなく、結婚も出産も「いつかは……」という感じでした。

ところが先日、1年ぶりくらいに2日続けて連休をとれる日があり、二人でゆっくり温泉にでも、と静岡の高級リゾートホテルへ行くことに。私はただの旅行のつもりでしたが、温泉に入って部屋へ戻ると、カラフルでこの世のものとは思えない、夢のような美しい花束がありました。見た瞬間、「私の好きな東さんの花束だ!」とすぐわかりました。そしてお花には「Marry me?」というメッセージカードと、隣には指輪が苦手な私のためにネックレスも……。うれしさで言葉が出ず、涙が止まりませんでした。

結婚には興味がなかったはずなのに、いざこうやってプロポーズのお花をもらうと、言葉にできないよろこびと幸せを感じました。これから先もダンスのパートナーとして共に戦っていくこと、人生のパートナーとして同じ時間を過ごしていくこと……当たり前に思っていた未来が、とてもすばらしいものに思えました。

そこで、そのときは感動のあまりはっきりと言葉で結婚の意思を伝えられなかったので、プロポーズのお返事として、ありがとうの花束を彼に贈りたいです。職業柄花束をもらうことが多いのですが、どんな花束よりもインパクトのある、記憶に残るアレンジをお願いできないでしょうか。彼はラテンダンスが得意で、情熱的で明るくスポーティー、感激屋で涙もろい面もあります。好奇心が旺盛で、珍しいものも好きなので、見たことのないような植物が入っているとうれしいです。

プロポーズされるも明確な返事ができず……。13年間、ずっと一緒だった彼へ

花束を作った東さんのコメント

長年一緒にいる彼からのプロポーズ。そして、そのお返しの意味を込めた花束です。

彼は情熱的で好奇心旺盛だそうなので、赤や黄色といった情熱的な色の花を採用しました。スパイダー咲きしたガーベラは印象的。そして、他にもダリアやカーネーション、プロテア、ファレノプシス、パフィオペディラム、アンスリウム、グロリオサ、ケイトウ、グズマニア、エアプランツ(イオナンタ)など、鮮やかで珍しいお花を選びました。

「ありがとう! 結婚しよう」と代弁しているような花束です。

また、花で会話をし合うおふたり。花はその人の人生に添えられるものなので、今回、結婚という節目に花を選んでいただきとても嬉しく思っています。花屋のいいところは、その人の人生の一部になれること。
花屋のあるべき姿を考えながら作らせていただきました。おめでとうございます。

プロポーズされるも明確な返事ができず……。13年間、ずっと一緒だった彼へ

プロポーズされるも明確な返事ができず……。13年間、ずっと一緒だった彼へ

プロポーズされるも明確な返事ができず……。13年間、ずっと一緒だった彼へ

プロポーズされるも明確な返事ができず……。13年間、ずっと一緒だった彼へ

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」まとめ読み

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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