料理家・冷水希三子の何食べたい?

ハイジの夢の料理を自宅で。スチームラクレット

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに答えて料理を作ってくださるという夢の連載。8回目は子どものころ誰もが一度は憧れたことのあるアノ料理を冷水流にアレンジしてお届けします!

――冷水先生、こんにちは。だんだんと秋も深まってきて、冬の足音が聞こえてきそうですね。

冷水 暖かい料理がおいしくなる季節です。今回はどんなお便りが届いていますか? 今日も腕が鳴ります。

――今回はひとつ面白いリクエストが届いているんです。 30代の女性の方からなのですが、「アニメ『アルプスの少女ハイジ』で、ハイジがおじいさんの山小屋で食べていたチーズ料理がどうしても食べたい!」ということです……。

冷水 本や映画の中に出てくる「憧れの料理」ですね。「ハイジが食べていたチーズ料理」というのはきっとスイスやフランスで食べられているラクレットのことだと思います。たしか大きなチーズの塊を暖炉の火で溶かして食べていた……。

――そうです、そうです! あのとろ~りとしたチーズをパンで受け止めて頰張るシーン、私も憧れました。

ハイジの夢の料理を自宅で。スチームラクレット

じゃがいもが蒸しあがったら、溶けやすいサイズに切ったラクレットチーズを乗せて再度蒸します。

冷水 「ラクレット」というのはフランス語で「削る」という意味の「ラクレ」という言葉が由来らしいのですが、その名の通りチーズをあぶって、表面の溶けてきた部分をナイフで削って野菜やお肉にかけて食べる料理です。

――まさにハイジがやっていた通りのお料理が実際にあるんですね。

冷水 本当はハイジのように豪快に暖炉であぶりたいところですが、家庭のコンロでやるとお掃除が大変なので(笑)、今回は蒸し器を使って作りたいと思います。スチームラクレットですね。

――蒸し器でできるなんて、手軽でいいですね。

冷水 今回はパンではなくてじゃがいもと一緒にいただきます。本場のラクレットもじゃがいもと一緒に食べることが多いそうなので。まずはじゃがいもを食べやすい大きさに切って柔らかくなるまで蒸し、仕上げにチーズを乗せて少しだけ蒸すというとっても簡単な工程です。

――蒸し器ひとつで完結できるとは、うれしいです!!

ハイジの夢の料理を自宅で。スチームラクレット

蒸し器から出したらすぐ食卓へ。ゆずの皮を削って散らし、チーズが固まらないうちに食べましょう。

冷水 そう、簡単すぎてポイントというポイントがないのですが(笑)、強いていうならおいしいチーズを使うということですかね。本場ではその名も「ラクレット」と言うチーズを使います。チーズ専門店やデパートなどでも売っているので、ぜひ使っていただきたいです。

――チーズを味わう料理ですものね。

冷水 ラクレットはまろかやで優しい風味ですが、熱を通すとコクが増して、ほのかにナッツのような香ばしい香りがします。その濃厚さがじゃがいもとよく合って、いくらでも食べられちゃうんです。

――グラタンもそうですけど、チーズとじゃがいもの相性って本当に危険ですよね(笑)。

ハイジの夢の料理を自宅で。スチームラクレット

――熱々、とろとろのラクレットチーズ。まろやかなコクがたまりません。ハイジはパンに乗せて食べていましたが、今回はじゃがいもでいただきます。

冷水 さあ、じゃがいもが蒸しあがりましたよ。一度蒸し器を開けて、薄く切ったラクレットチーズを乗せましょう。あっという間に溶けるので、気をつけてくださいね。

――わあ、チーズのいい香りが漂ってきました!

冷水 溶けるのも、固まるのも早いので、蒸し器から出したらすぐに食卓へ運びましょう。あ、これも大切なポイントですね。仕上げにゆずの皮を削って散らせば完成です。

――え!? ゆずですか。これはハイジはやってなかった(笑)。

冷水 ふふふ、これは冷水流のアレンジです。チーズのこってり感をゆずの爽やかな香りが軽くしてくれるので、チーズをたくさん食べられないなあ、という人でもどんどん進みますよ。さあ、召し上がれ。

――う~ん、ラクレットチーズってこんなに濃厚でおいしいんですね!。たしかにゆずの香りがいいアクセントになっていて、すごく上品な感じがします。

冷水 「憧れの料理」を再現するのも楽しいですけど、こうして自分なりのアレンジを加えるのも驚きがあっていいかなと思って。私も今回どうアレンジしようか試行錯誤するのが楽しかったです。

――そう言っていただけるとうれしいです。ぜひ「憧れの料理」、シリーズ化しましょう!みなさんからの投稿、お待ちしております~。

今日のレシピ

スチームラクレット

◎材料(2人分)
・ジャガイモ 2個
・ラクレットチーズ 80gほど
・ゆず 適量

◎作り方
 ジャガイモは皮をむいて1㎝幅の輪切りにする。耐熱容器に入れ、蒸し器で柔らかくなるまで蒸す。
2 1のジャガイモの上にラクレットチーズをのせ、再びチーズが溶けるまで蒸す。仕上げにゆずの皮を削って振る。

PROFILE

ハイジの夢の料理を自宅で。スチームラクレット

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 写真:関めぐみ

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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