ほんやのほん

樹木希林さん登場号に反響。素敵なひとの『暮らしのおへそ』

撮影/猪俣博史

撮影/猪俣博史

「おへそって何だろう?」――そのタイトルが気になって、思わず手に取ったのが『暮らしのおへそ』(主婦と生活社)との出会い。普段、人の目にさらされることはあまりなく、また、本人もその存在を意識することは少ないですが、私たちの体の中心にあり、私たちをつくるおへそ。そんなおへそにちなみ、その人だけが持つ習慣を“暮らしのおへそ”と呼んで紹介する一冊です。

習慣を披露してくれるのは、俳優、アーティスト、料理家、スタイリスト、雑貨店オーナーなど、そのライフスタイルに興味を持たずにはいられない素敵(すてき)なひとばかり。そんな暮らしのおへそに女優の樹木希林さんが登場されたのは、昨年1月発売号(Vol.23)のことでした。この度の希林さんの訃報(ふほう)を受け10月中旬に重版されたバックナンバーに、今、再び反響が出ています。

編集ディレクター、一田憲子さんの3度目の依頼でようやくかなったというインタビューを通して紹介されるのは、希林さんの“無欲”な日々。仕事は依頼が来た順に受け、役作りはしない。自身の着物をリメイクした洋服を着たり、セーターをほどいてひざ掛けにしたりするなど、新たにものを買うこともほとんどありません。

「ものたちが、充分に役目を果たし終わったと思えるように。そして人間も充分生きて、自分を使い切ったと思えるように。それが私の目標ね」。病気になられた後も、宝島社の企業広告「死ぬときぐらい好きにさせてよ」をはじめ、私たちの記憶に残る仕事をされ続けていた希林さん。まさに有言実行されていたんだなと胸に迫るものがあります。そんな希林さんが毎朝、声を出して法華経を唱えられていたことは、心の強さの秘密だったようにも思えます。

『暮らしのおへそ vol.23』 (私のカントリー別冊) 主婦と生活社 1296円(税込み)

『暮らしのおへそ vol.23』 (私のカントリー別冊) 主婦と生活社 1296円(税込み)

素敵なひとたちは皆さん、自分のことをよく分かっていらっしゃいます。そして、日々の暮らしのなかで、自分が穏やかになれたり、喜んだりできる時間やアイテム、リズムをうまく見つけて大切にされているなと、つくづく思います。「さて、私のおへそは……?」と、自分についても振り返らずにはいられません。

最後に、今回の希林さん登場号の重版について、素早く決断された出版社の皆さんの追悼の思いに心が震えました。私たちも世の中の“気持ち”を細やかに感じ取りながら品ぞろえできる書店でありたいと心から思います。

PROFILE

若杉真里奈(わかすぎ・まりな)

湘南 蔦屋書店で雑誌、ファッションを担当するほか、湘南T-SITEの広報、イベント販促も務める。
ファッション業界新聞社で編集、展示会事業を担当した後、湘南T-SITEの立ち上げに参加。
現在、住む鎌倉は、自分にとっての“パワースポット”。

PROFILE

蔦屋書店 コンシェルジュ

12人のブックコンシェルジュの皆さんに、
そのとき、一番おすすめの本を週替わりで熱くご紹介いただいています。
●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/大川 愛(食)/北田博允(文学)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)/松本泰尭(人文)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/重野 功(旅行)/羽根志美(アウトドア)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)

私と森羅万象がつながる。『星に願いを、月に祈りを』

トップへ戻る

高2男子を“育てる”女たちが魅力的。ロバート・ハリス『JJ 横浜ダイアリーズ』 

RECOMMENDおすすめの記事