花のない花屋

「怒ることはなかったのに」と反省する毎日。家事にも育児にも積極的な夫へ花束を

  

〈依頼人プロフィール〉
鈴木成美さん 26歳 女性
静岡県在住
専業主婦

私はもともと女性向け靴屋の店長をしていましたが、夜も遅くまで仕事があったため、「ずっと続けられる仕事ではないなあ……」とどこかで思っていました。そんなとき、結婚を考えていた恋人との間に妊娠が発覚。結婚と同時に仕事を辞め、専業主婦になりました。今は8カ月と、1歳10カ月の男の子2人を育てています。子どもたちはとてもかわいくいやされますが、2人の子育ては体力的にも精神的にも大変。へとへとに疲れることもあります。

今思えば、一人目のときは子育てのことが何もわからず、すべてがゼロからだったので必死。近くに住む私たちの両親の手も借りながらなんとかやっていました。が、年子で二人目が生まれると大変さは倍に……。周りの助けを借り子育てに慣れてはきましたが、夫は三交代制のシフトの仕事をしているので夜勤があり、夕方以降助けが欲しいときに夫がいないことも多々あります。

そうやってお互いがいっぱいいっぱいになると、ちょっとしたことでぶつかってしまいます。たとえば、仕事から疲れて帰ってきた夫に買い物を頼み、やる気のない返事が返ってくると、「じゃあ、いいよ」と冷たく言ってしまったり。私の方がどうしても家事や育児に割く時間が長いので、慣れない夫のすること一つひとつが目につき、「どうしてもっとうまくできないんだろう」「効率的にできないんだろう」とイライラして、ついそれを口に出してしまったり……。私の家事や育児のスキルが上がるにつれ、夫に対しても「もっともっと」と求めてしまうのでしょう。本当にささいなことが重なって険悪なムードになることがあり、その度に「怒ることはなかったのに」と反省している毎日です。

冷静に考えれば、夫は子どもたちが大好きで、子どもの世話をしてくれるだけでなく、家事も掃除等を分担してやってくれます。一生懸命仕事をして、私のことも気遣ってくれて、子どももかわいがってくれて、家事にも育児にも積極的なのに……。もっと夫に感謝をし、いたわり、愛情を伝えなければと思っています。

そこで、そんな日々の感謝と愛情、そして「私と結婚してくれてありがとう」という気持ちを込めてお花を造ってもらえないでしょうか。夫はまじめで誠実で子どもたちが大好き。趣味は好きなバンドの音楽を聞くことです。ブルーやワインレッド、グリーン、パープルなど原色の色が似合う人なので、そんな夫のイメージでアレンジしてもらえないでしょうか。バラが好きなので、バラも加えてもらえるとうれしいです。

  

花束を作った東さんのコメント

バンドを楽しんでいらっしゃる旦那さんをイメージしながらつくりました。ここまで黒をベースにした花束はこの企画でははじめてです。あまりブリブリしたものではなく、ガツンとした仕上がりになったのではないでしょうか。

花材はダリアをはじめ、カラー、カーネーション、アンスリウム、カエンボク、ガーベラ、ブラックタイ。

インパクトのあるこの花が、夫婦の会話に繫がったら嬉しいですね。夫婦の何げない日常に感謝するといった時の贈り物には、花が向いていると思います。もちろん特別な日もいいんですけどね。

  

  

  

  

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
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花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

PROFILE

  • 宇佐美里圭

    1979年、東京都生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒。在学中、ペルー・クスコにて旅行会社勤務、バルセロナ・ポンペウファブラ大学写真専攻修了。ワールドミュージック誌、スペイン語通訳、女性誌、『週刊朝日』編集部を経て、『アサヒカメラ』編集部。料理研究家・行正り香さんの書籍を多数手がける。ラテン音楽、山、ワインが好き。

  • 椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

facebook

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どんな時も「疲れた」とは言わない。大学院を首席卒業後に牛乳屋を継いだ男友達へ

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