料理家・冷水希三子の何食べたい?

だしから作る、新年のためのお雑煮

だしから作る、新年のためのお雑煮

写真 関めぐみ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。11回目は新年に欠かせないお雑煮。だしから手作りする丁寧な作り方を教えていただきます。

――冷水先生、こんにちは。いよいよ年の瀬感が押し寄せてきましたね~。

冷水 クリスマスを過ぎるとあっという間にお正月という感じがしますね。お料理を作る機会が増える時期なので、腕がなります(笑)。

――読者のみなさんの中にも、「普段はあまり手の込んだ料理を作らないけど、年末だけは気合を入れます!」という方も多いみたいです。

冷水 それはいいことですね。年末年始は家族のために、ぜひおいしいお料理を作って欲しいなと思います。

――今回はお正月に欠かせないお雑煮にまつわるリクエスト。中でも「だしからちゃんと作ってみたい」という声が多くありました。みなさんやる気満々ですね!

だしから作る、新年のためのお雑煮

鶏肉はだしがよく出る骨付きのもも肉を。野菜はセロリなどの香味野菜と後は冷蔵庫にあるものなら基本的になんでもOKです。

冷水 だしをいちから取ると聞くと「めんどくさそう……」と思うかもしれませんが、決してそんなことはないんです。材料を鍋に入れてコトコト煮るだけですから、失敗知らずですよ。

――そうなんですか!?

冷水 今日はお雑煮はもちろん、ストックしておけばその他のお料理にも使える和風のチキンスープをご紹介しましょう。洋風のお料理に使っても滋味深く、しみじみとした風味を味わえます。

――なんだか料理上手になれそうな予感です。

冷水 材料は骨付きの鶏もも肉と、野菜は冷蔵庫にあるものならなんでも大丈夫です。

――鶏肉はやっぱり骨付きがいいんでしょうか?

だしから作る、新年のためのお雑煮

鶏肉は沸騰したお湯に1~2分くぐらせて霜降りに。臭みとアクを取り除きます。

冷水 骨付きのお肉は、だしがしっかり出るのでおすすめです。今回はもも肉のぶつ切りを使いますが、もし手に入らなかったら手羽元でもいいですよ。だしを取った後はお肉の味が抜けてしまいますが、味付けを工夫すれば別の料理に使えます。

――それはうれしいです。お肉の部分がもったいないと思っていました。

冷水 基本的には材料を鍋に入れてじっくり煮ること。ポイントは鶏肉を別の鍋でさっと湯通しして、臭みを取ることです。こうすると血合いなどを拭き取る手間も省けますし、煮る時に出るアクも少なくなりますよ。

――出ました! 「冷水流・ひと手間でおいしくなる魔法」

冷水 ふふふ。どんな料理でも基本の考え方は同じですからね。湯通しは沸騰した湯に1~2分くぐらせればOKです。

だしから作る、新年のためのお雑煮

煮込んでいる間はときどき鍋をチェックして、アクや脂が出ていたら取り除きましょう。蓋(ふた)はせずに煮込みます。

冷水 ひと手間が済んだら大鍋に水と鶏肉を入れて中火にかけます。沸いてくると少しだけアクが出るかもしれませんから、それは丁寧に取ってください。お雑煮のおだしはやっぱり奇麗に澄んでいて欲しいですから、ここは面倒臭がらずにね。

――はい!

冷水 そうしたら残りの野菜を加えて1時間半ほど煮込むだけです。途中何度か様子を見て、アクや脂が浮いていたらその都度取り除きましょう。あ、蓋はしないでくださいね! 火加減はぶくぶくと泡立つほどじゃなく、水面がユラユラと揺れる程度に。泡立つとアクが出てしまっておだしが濁ってしまいますのでね。

――ユラユラ、小さくポコポコみたいな感じですね。

冷水 1時半ほど経つと水分量が減って、いいおだしの香りがしてきますので、それで完成です。お肉とお野菜を取り出してお料理に使ってください。

――お肉は別の料理に使うとして、お野菜はどうしたらいいですか?

だしから作る、新年のためのお雑煮

お餅はこんがり、少し焦げがつくくらいまで焼くと、だしに香ばしい香りが移ってよりおいしく仕上がりますよ。

冷水 私はクタクタになったお野菜が好きなので、そのままお塩をつけて食べちゃいます(笑)。

――それもいいですね。ポトフみたいな感じですものね(笑)。それにしても透明でキラキラした、とっても美しいおだしですね~、ほれぼれします!

冷水 お雑煮の場合は、この鶏だしにカツオと昆布のだしを1:2の割合で合わせます。おだしに鶏の味がしっかりと出ているので、具材に鶏肉を使わなくても、うまみがたっぷりのお雑煮に仕上がるんです。

――具材はおもちと菜の花ですね。すごく上品で大人っぽい佇(たたず)まいです。

冷水 仕上げにゆずの皮を乗せると、爽やかで凛(りん)とした風味になって、お正月の空気にぴったりです。ぜひおだしのおいしさを堪能してください。

――新年から背筋が伸びるお雑煮ですね。静かなお正月の朝にコトコトおだしを煮込むというのもなんだかすてきです。今年こそ丁寧なお料理ライフを実現するぞという決意表明にもなるかも!

冷水 お正月ですからね、そこまで肩ひじ張らずに、のんびりおだしを煮込む時間を楽しんでくださいね~(笑)。

チキンスープのレシピ

◎材料(作りやすい分量)
・骨付き鶏もも肉ぶつ切り 700~800g
・玉ねぎ 1個
・にんじん 1本
・セロリ 1/2本
・水 2ℓ

◎作り方
 鶏もも肉を熱湯で霜降り(湯通し)する。

 鍋に水を入れ、の鶏もも肉を加えて中火にかける。沸いたらアクを取り、半分に切った玉ねぎ、4等分に切ったにんじん、ぶつ切りにしたセロリを加えて弱火にし、1時間半ほどアクや脂を取りながらユラユラ煮込む。

 の鍋から鳥もも肉と野菜を取り出して冷ます。

今日のレシピ

お雑煮

◎材料(3~4人分)
・チキンスープ 200ml
・鰹(かつお)昆布だし 400ml
・酒 大さじ1
・薄口しょうゆ 小さじ1
・塩 適量
・お餅 好きなだけ
・菜の花 適量
・柚子(ゆず)の皮 適量

◎作り方
 鍋に鰹昆布だしとチキンスープと酒を入れ、火にかける。温まったら塩と薄口しょうゆで味を調える。

 菜の花は塩を入れた熱湯でゆでておく。

 お餅を焼いて椀(わん)に入れ、のスープを注いで菜の花をのせる。仕上げに柚子の皮を散らす。

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PROFILE

だしから作る、新年のためのお雑煮

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 写真:関めぐみ

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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