スリランカ 光の島へ

《スリランカ 光の島へ》<12>燃える夕日と色の街・ジャフナ

ずっと行ってみたかったスリランカ北部ジャフナ。今回の旅はカメラマンとして失態の旅、絶対にまた行かなくてはいけないところとなった。

スリランカはシンハラ人が最も多くを占めるがジャフナには南インドがルーツのタミル人が多く住んでいる。主な宗教はヒンドゥー教で言語も全く違う。ジャフナは2009年まで26年間続いた内戦で、反政府派「タミル・イーラム解放の虎」の本拠地だった。内戦後も一般人が足を踏み入れることはできなかった。でも徐々に復興し、ここ数年海外からの観光客も多く訪れるようになった。
「ジャフナは色の街よね」
スリランカを愛し、10年以上スリランカのプロモーションに関わっている日本の友人が言った言葉。その言葉にガツンとやられてしまった。一体どんな色があるんだろうか。

ジャフナへは車で9時間かかる。家族3人で電車の一等車両で行くことにした。それでも7時間の列車の旅。切符代は大人1700ルピー(約1000円)、3歳の娘はタダ。強烈なエアコンの冷気に耐えながら、食堂車に行ったり、昼寝したりしてなんとかかんとか。

乗車してから6時間くらい経つと、車窓からヒンドゥーを意味する赤と白のストライプの建物がたくさん見えてくるようになった。そしてお昼の12時過ぎにジャフナ駅に到着。なるほど、駅からホテルに向かうちょっとした距離でも街の雰囲気が違うのがわかる。白が基調の仏教寺院に比べてジャフナの寺院はこれでもかというほどカラフルだ。建物も人々が着ているサリーも鮮やかな色が多い。そして額の赤い印が黒い肌によく映えている。

取材のためにホテルで出してもらったジャフナスタイルのカニカレーのランチの美味しさに震える。ジャフナ特有のスパイス使いと真っ赤に染まったワタリガニから滲み出る旨味に「もうヒマだよー」という娘の言葉にも2人ともカニから離れられない…。カニを味わい尽くしたくて殻を割った拍子に目にスパイスたっぷりのソースが入った時にはパニックになりかけた。

《スリランカ 光の島へ》<12>燃える夕日と色の街・ジャフナ

午後は小さな小型船に乗り、大きなヒンドゥー寺院があるナイナティブ島へ。参拝者で座席が満員になりライフジャケットをきて船の屋根に乗り海を渡った。青い波に揺られながら20分くらいの船の旅。まだジャフナでは外国人が珍しく、「どこから来たの?」「一緒に写真を撮って!」と乗り合わせた人たちに次々声をかけられる。この日だけでタミル人の赤ちゃんを3人くらい抱っこして見ず知らずの人のアルバムに収まった私。

島の船着場からすぐそばにヒンドゥー寺院の門塔がある。ゴープラムと呼ばれるその極彩色の入り口は人間の俗世界と神様の聖域をわけている。ゴープラムにはヒンドゥー神話の神たちがおどろおどろしくも、鮮やかに躍動している姿が彫られている。その像から目が離せない。神様は慈悲深くもあり、恐ろしくもある。どの寺院もそうだがゴープラムをくぐると確かに空気が変わる。長年の内戦でダメージがひどい寺院もあるし決して掃除が行き届いているとは言えない。だけど人々の祈りが満ちていて確かにそこは聖域だった。薄暗い寺院の天井から青い肌のシヴァ神が私を見下ろしている。

《スリランカ 光の島へ》<12>燃える夕日と色の街・ジャフナ

そして夕方。厚い雲が広がった空は夕日は見えなそう。今いる場所は水平線が広がる海岸。ホテルに戻ろうか、それとも確率は低いけどここで夕日を待つか。そのとき、ガイドをお願いしている車の運転手から「ジャフナのブドウから作ったワインを売っているお店があるよ、行かない?」と提案があった。「なにそれ、面白そう! 行こう行こう」と海岸から離れてしまった。
ジャフナの街へ車を走らせていると、急に外の景色が赤く染まってきた。建物の間から燃えるような夕日がチラチラ見える。しかもとてつもなく大きい! これは撮らないといけないやつ。でも今いる場所から全然見えない。動悸がしてきた。「さっとワインを買って泊まっているホテルの屋上に行けばきっと大丈夫」。なんとか自分を落ちつかせる。が、なぜかここでジャフナ出身のドライバーがお店の場所を勘違いし、路地裏をぐるぐるする。暗くなっていく空と絶望する私。そしてやっと手に入れたワインはアルコールのワインではなくブドウジュースだった。なぜかワインと呼んでいるそうだ…。

今回は2泊3日のジャフナの旅、日程が短く娘が熱を出したこともあって行きたい場所すべてに行くことはできなかった。空とヒンドゥーのカラフルな神々の強烈なコントラスト、額に赤い印をもつ素朴な人々、ジャフナスタイルの刺激的な料理、どれもワクワクするものばかりでジャフナの色をもっと見たいと思った。そして内戦の傷跡は今こそ見ておくべきものだと思う。それに絶対に次は夕日を撮る。再訪を誓って雨の最終日、コロンボ行きの電車に乗った。

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PROFILE

石野明子

2003年、大学卒業後、新聞社の契約フォトグラファーを経て06年からフリーに。13年~文化服装学院にて非常勤講師。17年2月、スリランカ、コロンボに移住して、写真館STUDIO FORTをオープン。大好きなスリランカの発展に貢献したいと、その魅力を伝える活動を続けている。

http://akikoishino.com/

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