猫と暮らすニューヨーク

猫好き夫婦。理想は90歳で9匹の猫と暮らすこと

猫好き夫婦。理想は90歳で9匹の猫と暮らすこと

2人が座るソファは、エミリーさんの家族が代々受け継いできた80年前の希少なもの。ベルベット素材のため、猫が爪で引っ掻(か)くことがなく、良好な状態を保てています。

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Mila(ミラ)2歳 メス トラ柄の雑種、Freya(フレヤ)2歳 メス トラ柄の雑種
飼い主・メディアエージェンシーで働くアルフ・レニ・エアランドセンさんと、英語を使ったコミュニケーショントレーナーのエミリー・フォーサイスさん夫妻。ブルックリンにあるブラウンストーン住宅の最上階に暮らす。

「20代のとき、雨が降る通りの窪(くぼ)みのところで、小さな子猫が動けずにいたのを見つけたんです。家に連れ帰って、翌日は動物病院へ連れて行きました。誰かに譲り渡すにはまだ早すぎる子猫だったから、ベッド代わりに段ボールの箱を用意して、猫用のミルクをあげて、友だちにもらわれるまで2~3週間、育てたんです」

そんなレニさんの心優しき猫救出話を、エミリーさんが聞いたのは、2人が出会ってまだ間もない頃。猫好きということもあって、エミリーさんの目はうっとり、「心はぐっと引き寄せられた」という。猫の会話をきっかけに、恋に落ちた2人。ということは、猫を救出したエピソードがある人は、その最強の持ちネタで、猫好きの相手を口説けるということか……。そんな私のふざけたつぶやきに、「そのとおり!」とエミリーさんは笑って同意するのだった。

猫をこよなく愛するレニさんとエミリーさんが決めていたこと、それは一緒に暮らすようになったら猫を飼うことだった。ブルックリンにアパートメントを決めた翌週すぐに、猫の保護施設へ向かったという。2匹の子猫を希望していた2人に、ちょうどぴったりだったのが、生後2カ月のトラ柄の姉妹猫。さっそく家に迎え、ミラとフレヤと名付けた2匹は「ねずみみたいな小ささ! 誤って踏まないよう家の中を歩くのも恐る恐るでした。まるで海の中を裸足でそろりそろりと歩くみたいにね」とエミリーさん。

猫好き夫婦。理想は90歳で9匹の猫と暮らすこと

ちょっとオレンジがかった縞(しま)模様で、白いソックスを履いているのが猫のミラ。もう1匹のフレヤは、ベッドの下に隠れてしまって、なかなか出てきてくれません。

姉妹猫だけれど、性格は正反対だという2匹。北欧の神話にある愛の神から名前をとったフレヤは「その名の通り、私たちに愛を与えられ、また私たちに愛を注ぐ。それが彼女のすべて」(エミリーさん)。ごはんを食べて、水を飲み、寝ることがこの世の楽しみであり、それさえ叶(かな)えば満ち足りている。そんな猫だという。

一方のミラは、少々手に負えない猫。「棚の上にある物を床に落として、それを眺めるのが大好き。ワイングラスから置きものまで、たくさんのものを破壊されました」と2人。また、レニさんを恋人だと信じているようで、「まるでティンカーベルがピーターパンにそうするように、レニを見上げるんです。私のことはライバルの妖精、ウェンディーだと思ってるみたい」とエミリーさんは苦笑い。夜は、猫のミラとエミリーさんでレニさんを挟むようにして眠りにつく。「なんてかわいい家族なの。そんなふうに思うかもしれないけれど、私とミラの間には、目に見えない密(ひそ)かな嫉妬心がメラメラと燃えているんですよ(笑)」。

猫好き夫婦。理想は90歳で9匹の猫と暮らすこと

なかなか表に出てこないフレヤ。普段はレニさんやエミリーさんとよく遊び、犬のようにおもちゃを投げると取って戻ってくるそう。

猫との暮らしの素晴らしさとは? そんな問いにレニさんはこう答えた。「ミラやフレヤは今何をしたいんだろう、ごはんが欲しいのかな、外に遊びに行きたいのかな。そうやって僕たち飼い主は、猫を理解しようと努めるでしょう? 自分とは異なる生き物と暮らすことは、そういう意味でとても意味があることだと思うんです」。エミリーさんが続ける。「犬でも猫でも、自分以外の誰かの世話をするというのは、大切なこと。美しくて、賢くて、生命力に満ちた猫という生き物の面倒を見る機会に恵まれたことは、私たちの大きな喜びです」。

20代は猫2匹、30代は3匹、40代は4匹……90代になったら9匹! 年齢を重ねるごとに飼い猫の数が増えていくのが理想、と話すエミリーさん。「レニがちょうど40歳になったところ。早くあと2匹を飼えるようになりたいですね」。

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連載「猫と暮らすニューヨーク」では、ニューヨークで猫と生活するさまざまな人を訪ね、その暮らしぶりから、ユニークなエピソード、インテリアや飼い方のアイデアまでを紹介します。

写真・前田直子

PROFILE

仁平綾

編集者・ライター
ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
http://www.bestofbrooklynbook.com

前田直子(まえだ・なおこ)

写真家

24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
http://www.naokomaeda.net

猫と赤ちゃん、毎日少しずつ、家族になっていく。

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2匹の猫が、愛する人を笑顔にしてくれる

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