料理家・冷水希三子の何食べたい?

大根おろしでうまみをプラス。ポークのみぞれ煮

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。13回目は冬が旬の大根をたっぷり使ったレシピをご紹介します。

――冷水先生、こんにちは。新しい年を迎えて、今年は心機一転、お料理を頑張る年にしたいと思います!

冷水 それは素晴らしい! この連載でご紹介するお料理はどれも初心者さんでも気負いなく作れるものなので、ぜひ挑戦してみてほしいです。

――今月は、今が旬の大根を使ったお料理を教えてほしいというリクエストが多かったです。でも「立派な大根を買ったのはいいけれど、一本丸ごと使い切ることができなくて、持て余してしまう……」という声も多くて。

冷水 スーパーでは半分に切ったものも売られていますけど、やっぱり旬の時期は葉つきの大根を一本買いたくなりますよね。じゃあ今回と次回で、大根を一本使い切るレシピを連続でご紹介しましょう。

――わあ、それはうれしい! ぜひお願いします~。

大根おろしでうまみをプラス。ポークのみぞれ煮

堂々とした葉&土つき大根。ビジュアル的にも一本丸ごと買いたくなってしまいますよね。

冷水 大根は煮物に使うのが定番ですが、たっぷり食べたいならおろしてお料理に使うのもおすすめです。

――大根おろしですか……? 薬味としてはよく使いますけど、お料理に使うことはあまりないような気がします。

冷水 大根おろしは生のままだとやや辛みがありますが、熱を通すと甘くなって、うまみも増すんです。お肉やお魚と一緒に煮て「みぞれ煮」にすると、身がやわらかくなってとってもおいしいですよ。

――みぞれ煮! その手がありましたか!

冷水 和風のみぞれ煮はおなじみなので、今回はおもてなしにも使える洋風のみぞれ煮を作ってみたいと思います。

――洋風!? それはなんだかおしゃれそうですね(笑)。

大根おろしでうまみをプラス。ポークのみぞれ煮

豚肉はぜひ塊肉で。煮込んでも硬くならず、ジューシーに仕上がります。塩をもみ込んで、しっかり下味をつけるのがおいしく仕上げるポイントです。

冷水 今回は豚ロースの塊肉を大根おろしと一緒に煮込む「ポークのみぞれ煮」を作りましょう。大根おろしが入るおかげで火の通りがゆっくり、優しくなって、とってもやわらかく、ジューシーに仕上がるんですよ。

――大根おろしにそんなパワーがあったなんて! 発見です。

冷水 大根のじんわりした甘味(あまみ)と豚肉の甘味を感じてもらいたいので、加える調味料は塩とオリーブオイルのみ。その代わり、下ごしらえの段階でしっかりと豚肉に塩をもみ込んでおくのがポイントです。

――塩をして1時間ほどおくと結構水分が出てきますね。

大根おろしでうまみをプラス。ポークのみぞれ煮

大根をおろす時は、クルクル回しながらおろし金に当てましょう。繊維が断ち切られて、まろやかな風味になります。

冷水 この水分はしっかりと拭き取ってから焼きます。こうすると肉の臭みを抑えることができますから。

――いきなり煮るのではなくて、最初にお肉を焼くんですね。

冷水 お肉の両面をさっと焼くと、煮込んでいる間に肉汁が外に逃げないですし、余分な脂を落とすこともできますから。お肉を焼いた後、お鍋に残った脂はしっかりと拭き取ってくださいね。

――これも臭み防止のためですね!

冷水 あとはお鍋に水と酒、大根おろし、にんにく、ローリエを入れて煮込むだけです。あ、そうそう、オリーブオイルを少しだけまわしかけるのもお忘れなく。

――煮込む前にオリーブオイルを入れるんですか?

冷水 そう、これがポイントです。

大根おろしでうまみをプラス。ポークのみぞれ煮

使った大根は1/2本。じっくり煮込むことで大根の甘味が引き出されます。ローリエを一緒に煮込むことで、香り高く仕上げます。

――なんだか脂っぽくなってしまいそうな気がしますが、大丈夫なんですか?

冷水 オイルを加えて煮込むと、うまみがプラスされるんです。ただし量はひと回しくらいでね。沸いてきたらアクが出てくるので、丁寧にすくいとって1時間ほど煮込みましょう。

――弱火でコトコトですね。この時間も冬っぽくていいですね~。

冷水 あらかじめ豚肉に塩をもみ込んであるので、最後、盛り付けの前に味見をして塩味を調整してくださいね。盛り付ける時は、塊肉をいったん取り出して、食べやすい厚さにカットして、大根おろしと煮汁をたっぷりかけて召し上がってください。

――わあ~、このお汁、とっても甘くておいしい! 塩くらいしか調味料を使っていないのに、なんなんですか、このうまみは!

冷水 大根と豚肉のうまみが凝縮されている味ですね。大根おろしがおいしい煮汁をたっぷり含んでくれるのもいいでしょう?

――お肉料理なのにスープみたいな感じもして、冷えた体に染み入ります……。これならいくらでも大根が食べられそうです!

今日のレシピ

ポークのみぞれ煮

◎材料(4人分)
・豚肩ロース:500g
・塩 小さじ1
・大根 1/2本
・ローリエ 3枚
・にんにく 1片
・EXV(エキストラバージン)オリーブオイル 大さじ1
・酒 100ml
・水 100ml
・塩 適量
・EXVオリーブオイル 適量(大さじ1とは別に)

◎作り方
 豚肩ロースに塩をもみ込んで1時間くらいおく。

 大根はすりおろす。にんにくは潰して芯はとりのぞく。

 鍋にEXVオリーブオイル大さじ1を入れる。の豚肉の表面の水気をふいて鍋に入れ、中火で表面を焼いて余分な脂を拭き取る。

 に酒を加え2~3分煮て、水と大根おろし、ローリエ、にんにくを加える。EXVオリーブオイルをひとまわしかけ、沸いたらアクを取って弱火で蓋(ふた)をして1時間ほど煮込む。最後に塩味を調える。

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PROFILE

大根おろしでうまみをプラス。ポークのみぞれ煮

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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