リノベーション・スタイル

<183>東京タワーとルーフバルコニーと眺望を条件に探したら……

[jira]
Cさん夫婦(夫 38歳、妻33歳、長女0歳)
東京都大田区 築46年/62.14㎡

 Cさんご夫婦はお二人とも関西ご出身。結婚を機に奥様が上京し、学芸大学駅に住んでいらっしゃいました。その後、しばらくして家の購入を考えはじめて、私たちブルースタジオのセミナーにいらっしゃったことがきっかけで、中古マンションをリノベーションすることに。

 物件探しでは、お二人の要望は三つありました。

1)東京タワーが見えること。
2)ルーフバルコニーがあること。
3)眺望があること。

 そんな希望をかなえるべく、なんと2カ月で15件も内覧しましたが、なかなかすべてをクリアできる物件はなく……。最終的に東京タワーはあきらめることに。その代わり71.15平米ものルーフバルコニーと眺望があり、しかも3面採光という物件に出合いました。

 リノベーションはそれらの好条件を最大限生かすようプランニングしました。まず、間取りが横長だったので、バルコニー側のスペースをひとつづきのLDKに。キッチンは全面モルタルと木で造作しています。Cさんから「前の家で使っていたダイニングテーブルは、買って間がないので何かに再利用したいんですよね」という話から、モルタルにダイニングテーブルの天板を埋め込むことにしました。このときの端材はテレビ台に使っています。

<183>東京タワーとルーフバルコニーと眺望を条件に探したら……

モルタルに埋め込まれた木の部分が、以前のダイニングテーブルの天板

 CさんはもともとDIYに興味があったそうで、壁はポーターズペイントの“ホエールウォッチング”という深い青色に、ご夫婦とブルースタジオのスタッフで壁を塗りました。壁の上にはそのときに使った刷毛(はけ)が飾られています。

 さらにダイニングテーブルの後ろ側にある、木の引き戸を開けると“隠れ書斎”があります。こういった空間は新築にはあまりなく、リノベーションならではですね。また、寝室は部屋全体を小上がりにし、布団を敷いて寝られるようにしました。

 そして、寝室は格子戸に。格子に曇りガラスをはめこんで、障子戸に近い見た目です。全体的に木を多用したいとのことだったので、あちこちに使いました。どこか北欧の雰囲気もありますよね。

<183>東京タワーとルーフバルコニーと眺望を条件に探したら……

DIYに挑戦した壁。塗料の名前は「ホエールウォッチング」

 この物件は横長ということもあり、まるで細い路地にある長屋のように、廊下側に水回りや書斎、トイレ、寝室、ウォークインクローゼットといった個室が並んでいます。それでもすべての部屋が明るいのは、一つの窓から一つの部屋を照らしているのではなく、たくさんの窓からLDKに光が入り、さらにそこから奥の個室に光が入るように設計しているから。ルーフバルコニー、LDK、奥の個室……と光が連なっているのです。

<183>東京タワーとルーフバルコニーと眺望を条件に探したら……

キッチンの向こう側は窓。光が入るよう格子戸で仕切った

 さて、二つ目のご要望でもある、広いルーフバルコニーには、デッキを敷き、テーブルと椅子を置いて、開放的な空間を楽しんでいらっしゃいます。ちなみに、ルーフバルコニーを楽しむには注意が必要です。というのも、そもそもルーフバルコニーとは、「階下の屋根を専用庭のように使える空間」のこと。専有部分に面しているからといって、自分だけのスペースではありません。日本の場合は「共用部」として扱われるのがほとんどで、火災発生時には消防隊が入ってくる「避難経路」として活用されます。洗濯物を干したり、ガーデニングを楽しんだりできますが、隣との境界線にモノを置かない、落下防止のため手すりは床面より1100m以上確保する、強風で飛ばされるものは置かない、積載を超えない……など一般的な決まりがあります。

<183>東京タワーとルーフバルコニーと眺望を条件に探したら……

開放的なルーフバルコニー

 ルールさえ守れば、ルーフバルコニーはアウトドア空間のような開放感と、非日常の心地良さを日常の中に取り入れられる魅力的な空間になるはずです。

(構成・宇佐美里圭)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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