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ブラックサンダーの社長が「誰よりもアホなこと」を言い続ける理由

ブラックサンダーの社長が「誰よりもアホなこと」を言い続ける理由

有楽製菓の河合辰信取締役社長 / 撮影・山本倫子

今年もチョコレートの季節がやってきた。義理チョコ代表として不動のエースといえば、そう、ブラックサンダーだ。

ブラックサンダーを製造する、有楽製菓取締役社長の河合辰信さんは、父の伴治さん(現会長)のあとを継ぎ、昨年2月に就任した。大学卒業後、外資系IT企業に3年勤めたのち、2010年に入社。以来、マーケティング部の立ち上げなどで、その手腕を発揮してきた。

仕事場である東京・小平市の本社を訪ねた。2年前に建て直されたばかりのピカピカのオフィスで、社長の机だけが年季の入った木製のもの。創業者の祖父、そして先代社長の父が使っていた机を、前のオフィスから引き継いでそのまま使っているのだという。

机のガラス天板の下には、1枚の記事が挟んであった。

祖父の河合志亮初代社長のインタビュー記事のコピーだ。記事で語られているのは、河合社長が常々大切にしている「ユーラクらしさ」という創業者の経営思想だ。

既成のワクにとらわれずに、自由でユニークな発想と発言が誰でもできること。中堅企業の小回り、意思決定の速さを生かして大手メーカーと共存すること。

ブラックサンダーの社長が「誰よりもアホなこと」を言い続ける理由

こちらは海外版のパッケージ。2017年に、海外事業への足がかりとして、シンガポールと台湾で現地企業との合弁会社を設立した。ブラックサンダーは訪日外国人のお土産としても人気が高い

バレンタインシーズンの義理チョコ市場での存在感も、まさにユーラクらしさが前面に出ている。2013年に「一目で義理とわかるチョコ」というキャッチコピーで展開して以来、毎年話題を呼び、消費者を楽しませる。今年は「ぶっち義理!!」というコピーで広告キャンペーンを展開、東京駅一番街の東京おかしランドでブラックサンダー義理チョコショップを出店した。

ユーラクらしさを生み出しているのは、会議室での雑談だ。

「誰かが決めるのではなく、みんなで話し合いながら決めていきます。雑談しながら、アイデアを丸くしていくのではなく、みんなで尖(とが)らせていく感じ。そうすると結果としておもしろいものに仕上がることが多い」と河合社長。

普通は会議を経るほどに、アイデアは丸く、無難になっていくものだ。ましてやそこに社長がいれば、なおのこと忖度(そんたく)が働くのでは?

「そうならないように、誰よりもアホなことを言っている自信があります。誰よりも尖ったことを言える立場ですし。例えばこれは僕の案なんです」

ブラックサンダーの社長が「誰よりもアホなこと」を言い続ける理由

ジャケットを着る社員たち。ブラックサンダーは各種グッズも展開

自慢げに手に取ったのは、昨年11月に京都エリアでお土産商品として発売した抹茶味の「京都ブラックサンダー」のパッケージ。

「この『雷神どすぅ』っていうのは、僕が入れたんです。普通はここに、黒い雷神とか、白い雷神、って入っていて。でも『緑の雷神』じゃつまらないので」

空き時間には、クラウドファンディングで買い物をするのが大好きという河合社長。

「こないだは、水をものすごく弾くっていう折り畳み傘を買いました。早く使ってみたいんですけど、なかなか雨が降らなくて」

根っからの、アイデア好き、オモシロ好き。このトップがいるからこそ、定番商品ながらインパクトある企画が生み出され続けているのだろう。

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PROFILE

高橋有紀

ライター
2004年に国際基督教大学卒業後、英語学習情報誌「AERA English」の校閲、編集に携わる。 週刊誌「AERA」、ダイヤモンド・オンラインほかでビジネス、教育、カルチャー、トレンドなどの分野を中心に取材、執筆。

伝わる喜びを一人ひとりに。英語村の裏方という仕事場

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