料理家・冷水希三子の何食べたい?

体の中からポカポカ。サケの粕汁

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回は寒い時期に食べたい、体の芯から温まる粕(かす)汁をご紹介します。

    ◇

――冷水先生、こんにちは。暦の上ではもうすぐ春ということですが、まだまだ寒いですね~。体の芯から冷えてます。

冷水 体が冷えると体調も優れなくなりますし、風邪も心配ですよね。そんな時こそ体が温まる料理を食べて健やかに冬を乗り切りたいものです。

――健康は食から、ですね! この寒さを受けて、読者投稿にも「体がポカポカするような汁物を作ってほしい」というリクエストが急増しています。

冷水 汁物、いいですね~。シンプルなお味噌(みそ)汁でもいいですが、新酒が出回るこの時期はおいしい酒粕が手に入りますので、粕汁なんてどうですか?

体の中からポカポカ。サケの粕汁

板粕(かす)はスーパーなどでも買えますが、新酒が出回る時期は蔵元でもよく売られるので、ぜひ美味しい板粕を手に入れてください

――粕汁! 私は自宅ではあまり作って食べた記憶がないのですが、手軽に作れるものなんでしょうか……?

冷水 もちろん、難しいことは何もありませんよ。それに酒粕は栄養たっぷりですし、発酵効果で代謝を上げてくれますから、風邪が気になるこの季節には粕汁はもってこいなんです。

――それはうれしい限りです!

冷水 具材はお味噌汁と同じくお好みで結構ですが、油揚げやサケなどを使うとうま味が増して、よりコク深くなります。サケを使う場合は、甘塩サケが塩梅(あんばい)がいいですね。程よく塩けが入りますから。

――たまにものすごく塩辛い塩サケがありますけど、あれだとやっぱりしょっぱくなっちゃうんですね(笑)。あれ、4人分でサケがひと切れですか? もっと食べたいような……。

冷水 じつは今回、サケはメインの具材というより、味やコク出しのために使うんです。出汁(だし)の一部みたいな感覚です。

体の中からポカポカ。サケの粕汁

霜降りした塩サケは骨を取り除いてから鍋に加えると口当たりがよくなります

――な、なるほど! 食い意地が張っていて、お恥ずかしいです(笑)。

冷水 もちろん具材として使っても大丈夫ですよ~。あとは同じくコクとうま味がよく出る油揚げ、根菜類を使っていきしょう。野菜は冷蔵庫にあるものを使えばいいですよ。あとは豚肉を使ってもうま味とボリュームが出ますね。

――あれ、コンロにお鍋が二つかかっていますが、どうしてですか?

冷水 ひとつは粕汁用、もうひとつの小さい方は、サケを霜降りするためのものです。サケをさっと湯通ししてから使うと、臭みが抑えられるんです。サケを沸騰したお湯につけて、表面が少し白くなる程度でOKです。

――これが冷水先生の「おいしくなるひと手間」ですね~!

体の中からポカポカ。サケの粕汁

具材はお好みで。油揚げや根菜類、きのこなどはいいお出汁が出ます

冷水 ふふふ、大した手間ではないんですけど、やっぱりやるとやらないとでは仕上がりが違ってきますからね。面倒臭がらずに、ぜひやってみてください。

――はい!!

冷水 あとポイントとしては、板状の酒粕を蒸し器などで熱して、少し柔(やわ)くしておくといいですよ。酒粕は固いので、出汁に溶くのが結構骨なんですよ~。

――これは耳寄りな知恵ですね。絶対まねします。しかも先生は柔くした酒粕と白味噌をあらかじめ合わせておくんですね。これならスムーズに仕上げができそうです。

冷水 野菜を切っている間に酒粕を柔らかくしておくと、より手際が良くなりますよ。

――メモ、メモ!

体の中からポカポカ。サケの粕汁

酒粕は蒸し器などで柔らかくし、さらに白味噌と合わせておくと、スムーズに仕上げができます

冷水 あとはお鍋にカツオと昆布の出汁、霜降りしたサケ、野菜を入れて、火にかけます。野菜が柔らかくなったら酒粕と白味噌を溶いて完成です。いつものお味噌汁と同じでしょう?

――ほんとですね。酒粕が入るというだけでハードルが高そうだと思っていたのですが、完全に食わず、いや、作らず嫌いでした(笑)。

冷水 酒粕と白味噌はいっぺんに加えてしまおうと思わずに、おたまに適量ずつとってしっかり溶いてくださいね。固まりが残ってしまうと口当たりも味も悪くなってしまうので。

――最後の最後を丁寧に、ですね! うわ~、酒粕の華やかな香りが立ち上ってきました。なんだか優雅な気分になります。

冷水 白くて、目にも綺麗ですよね。冬の食卓にとてもよく似合います。

――う~ん、食べると体の中がポカポカしてきました! これぞ酒粕パワーですね! 優しい味で、体調が優れない時でも食べられそうです。

冷水 これで残りの寒い冬を乗り切ってくださいね。

今日のレシピ

酒の粕汁

◎材料(4人分)

・甘塩サケ 1切れ
・カツオ昆布だし 800ml
・大根 3㎝
・にんじん 1/2本
・長ネギ 10㎝
・油揚げ 1枚
・酒粕 100g
・白味噌 30g
・塩 小さじ1/5くらい

◎作り方

1 甘塩サケは熱湯で霜降りして皮を取り、2cmほどに切る。油揚げも熱湯で油を流し、水気を切り短冊に切る。

2 大根は5mm厚の短冊、人参は5㎜厚の扇型に切る。長ネギは小口切りにする。

3 酒粕は蒸して柔らかくし、白味噌と合わせておく。

4 鍋に出汁と1のサケと2の材料を全て加え、中火弱で20~30分ほど煮る。具材が柔らかくなったら3の酒粕と白味噌を溶き入れ、塩で味を調えて器に盛り、好みで七味を振る。

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

体の中からポカポカ。サケの粕汁

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

関めぐみ(せき・めぐみ) 写真家

アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

PROFILE

小林百合子

編集者
1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

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