花のない花屋

<302>「君たちが結婚するまで……」、誕生日に年齢の数のバラを贈ってくれた父へ花束を

<302>「君たちが結婚するまで……」、誕生日に年齢の数のバラを贈ってくれた父へ花束を

〈依頼人プロフィール〉
牧野美里さん 34歳 女性
埼玉県在住
会社員

自営業を営む父は、私たち3姉妹が物心つく頃から、いつも誕生日には年齢の数のバラの花束をプレゼントしてくれました。中学2年生のときに母ががんで亡くなりましたが、母の仏壇には父と出会った年齢、24歳にちなんで24本の花束をそなえています。

男手一つで慣れない家事をこなし、私たち3人を育ててくれた父。いつも明るく、細かいことは気にしないおおらかな性格の一方、姉が家に帰ってこなかったりすると、本人に直接問いただしたりはせず、姉妹に「大丈夫かな」と聞いたりする繊細なところもありました。

私たち姉妹にもそれなりの反抗期があり、多感な三姉妹を育てるのはいろいろな苦労や葛藤があったと思います。それでも決して怒ることはなく、働きながら朝は早起きをしてお弁当を作り、電車通学に慣れるまでは、駅の中にまでついていって、電車を一緒に待ち、朝も夜も一緒にご飯を食べ……そんな穏やかで優しい父の愛情のお陰で、今日まで暮らせてこられたことに本当に感謝しています。

父の花束は毎年色や種類が違っていて、「今年はどんなバラなんだろう」と考えるのが、私たちの誕生日の楽しみでした。「プレゼントは君たちが結婚するまでね。そのあとは旦那さんからもらいなさい」と言われてきましたが、姉は2年前に、そして私はついに去年、父から最後の花束をもらいました。まぶしいくらい鮮やかな黄色いバラでした。さらに先日妹も婚約……。今年の3月の誕生日に最後のバラの花束をもらう予定です。

父はこの1月で67歳を迎えました。そこで、今度は三姉妹から父の誕生日に、これまでの感謝の気持ちを込めてバラの花束をプレゼントしたいです。

母の好きだったユリの花も加えて、ニカッと大きな口で笑う父に似合うような、華やかな花束をつくっていただけないでしょうか。ピンク系の洋服を好んで着たりもするので、ピンクや赤系のバラを使っていただけるとうれしいです。

<302>「君たちが結婚するまで……」、誕生日に年齢の数のバラを贈ってくれた父へ花束を

花束を作った東さんのコメント

思い出のバラと、お母様のお好きだったユリのつぼみ、そして、私たちのクリエーティブを加えた感謝の花束です。まわりはスイートピー。ポイントとして実物をいれました。

花材は、バラ(赤バラ→サムライ)(ピンクのバラ→オールフォーラブ)をはじめ、スカシユリ、八重ユリ、スイートピー、ヒペリカム、ルスカスです。

お父様は非常に粋な方。こういった大人が増えるとうれしいですね。

<302>「君たちが結婚するまで……」、誕生日に年齢の数のバラを贈ってくれた父へ花束を

<302>「君たちが結婚するまで……」、誕生日に年齢の数のバラを贈ってくれた父へ花束を

<302>「君たちが結婚するまで……」、誕生日に年齢の数のバラを贈ってくれた父へ花束を

<302>「君たちが結婚するまで……」、誕生日に年齢の数のバラを贈ってくれた父へ花束を

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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