ほんやのほん

コンシェルジュから本の贈り物(2)「高校のクラスの生徒へ~背中をそっと押してくれる本を」

&wリニューアル記念「ほんやのほん」特別企画、『蔦屋書店 ブックコンシェルジュからあなたへ、ひと箱の贈り物』に寄せられた二つめのご相談は、滋賀県の高校の先生からです。生きていくことに励ましを、というゆうこさんに、二子玉川 蔦屋家電のブックコンシェルジュ、嵯峨山瑛さん(建築・インテリア)が選んだ3冊とは……? (撮影・馬場磨貴)

*この企画はご好評につき、今後も随時開催予定です。皆さまも、本のご相談をふるってお寄せください。

生きていくことに励ましを与えてくれる本を

クラスの生徒(高校生)に贈りたいです。
生きていくことに励ましを与え、背中をそっと押してくれるような本を。
あからさまなお涙頂戴もの、でないのがよいです。

全寮制で生活する彼らに、 波乱万丈でなくても、富裕層の仲間入りをしなくても、「生きる」ことがどれほど素晴らしく尊いか、また、受け継いだ命を託していくという命の営みの中に私たちがいるということを、感じとってもらえるような本との出会いを。

つらく苦しく醜い部分もあるけれど、それでも楽しかったり嬉しかったり、美しかったりする、そのことが心に染み渡るような、そんな本をどうかよろしくお願いいたします。

優子さん 49歳(滋賀県)教員

嵯峨山瑛さんからのメッセージ

お手紙ありがとうございます。とても悩んで選書をしました。
選書したものは、いつも友人などに紹介している、私にとってなじみ深い本になりました。私自身の背中をそっと押してくれる大切な本たちです。

こぼれ落ちた美しい語り
『断片的なものの社会学』

 

コンシェルジュから本の贈り物(2)「高校のクラスの生徒へ~背中をそっと押してくれる本を」

『断片的なものの社会学』岸 政彦 朝日出版社 1685円

社会学者の著者による、研究の聞き取り調査からこぼれ落ちた「断片」が集められた一冊。その「断片」は、解釈、分析、類型化を拒むようなとらえどころのない不思議な感情を私たちに起こさせます。著者を通して知ることのできる人々の語りがなぜ、こんなにも美しいのでしょうか。

世界と向き合う声の記録
『声めぐり』

 

コンシェルジュから本の贈り物(2)「高校のクラスの生徒へ~背中をそっと押してくれる本を」

『声めぐり』齋藤陽道 晶文社 1998円

著者は聴覚に障害がある写真家です。
恥ずかしながら聴覚に障害があるひとは、どこか達観した清廉潔白なひとだと思っていました。でも、本作を読む限り、それは大きな間違いだったことに気付きます。著者の声をめぐり世界と向き合うコミュニケーションの記録です。

 

「生」と「性」が不可分であること
『ふがいない僕は空を見た』

 

コンシェルジュから本の贈り物(2)「高校のクラスの生徒へ~背中をそっと押してくれる本を」

『ふがいない僕は空を見た』窪 美澄 新潮社文庫 594円

高校生におすすめするには描写が激しいかもしれません。なにしろR-18文学賞大賞受賞作です。しかしながら、「生」と「性」が不可分であるということを、これほど華麗に描いた作品は珍しいのではないでしょうか。かくいう私も少しのやましさを持って読み始めて、最終的に、登場人物の愚かしさと愛おしさに涙してしまいました。

 

PROFILE

リニューアル記念! コンシェルジュから本の贈り物(1)「おっ、と思う国の小説を」

(さがやま・あきら)
二子玉川 蔦屋家電、建築・インテリアコンシェルジュ。
大学建築学科卒業後、大学院修了。専門は都市計画・まちづくり。大学院在学中にベルギー・ドイツに留学し建築設計を学ぶ。
卒業後は、出版社やリノベーション事務所にて、編集・不動産・建築などの多岐の業務に関わる。

PROFILE

蔦屋書店 コンシェルジュ

12人のブックコンシェルジュの皆さんに、
そのとき、一番おすすめの本を週替わりで熱くご紹介いただいています。
●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/大川 愛(食)/北田博允(文学)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)/松本泰尭(人文)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/重野 功(旅行)/羽根志美(アウトドア)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)

リニューアル記念! コンシェルジュから本の贈り物(1)「おっ、と思う国の小説を」

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コンシェルジュから本の贈り物(3)「会社をやめた私。何を軸に生きていけばいい?」

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