<4>大自然の美術館、カカドゥ国立公園

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イエローウォータークルーズ。静かな湿原を進む

雄大な自然とアボリジナルの文化が息づく地・ノーザンテリトリー。今回は、カカドゥ国立公園にアートを訪ねる旅をお届けします。美しい湿原をボートで訪ねるイエローウォータークルーズも楽しみのひとつです。

アボリジナルアートを訪ねて

ノーザンテリトリーを旅するうちに、先住民族アボリジニのことをもっと知りたくなってきた。何万年も前からこの地に暮らし、独自の文化を伝えてきたアボリジニ。伝統文化のひとつ・壁画(ロックアート)は、カカドゥ国立公園と、その東に広がるアーネムランドに特に多く残されると聞き、さっそく行ってみることにした。

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アーネムランドはアボリジニの聖地。訪れるには入域許可が必要

まず訪れたのは、アーネムランドに隣接する岩場・ウビア。岩に沿った遊歩道を歩くと、次々とロックアートが出現する。

岩に描かれた雷男ナマルゴンの妻、バラギンジ。X線画法で描かれる

岩に描かれた雷男ナマルゴンの妻、バラギンジ。X線画法で描かれる

カメ、トカゲ、バラマンディ(魚)……。今もこの地に、あるいはかつて生息していた動物が岩に刻まれている。輪郭線の中に描かれた多数の線は、内臓や骨を表す。「X線画法」というアボリジニ独特の手法で、文字を持たない彼らは、この図で生き物の食べられる部分を伝えたのだとも言われる。

ほかにも伝説に登場する猟師マブユや虹の蛇、アボリジニたちに命令する白人など、モチーフは多種多彩。2万年以上前の古いものから、1980年代に描かれたものまで、ウビアの岩は長い年月にわたってアボリジニの思いを受け止め、生きる知恵を伝えてきたのだ。

散策を終え岩場の上まで登ると、眼下に広がるのは湿地、岩場、サバンナが続く、広大なアーネムランドだ。アーネムランドはアボリジニの居住地かつ聖地で、伝統的な暮らしが営まれ、外国人は入域許可がないと入れない。伝統楽器「ディジュリドゥ」もアーネムランドで生まれたという。いつか訪れて、アボリジニの魂に触れてみたい。沁みるような美しい夕景を眺めながら、再訪を願った。

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ウビアからサンセットを望む

豊かな物語が描かれた、ノーランジーロック

威嚇するように手足を広げた3つの姿が岩に刻まれている。人とも精霊とも見えるこの線画は、雷雨を操作する雷男ナマルゴンと妻バラギンジ、天地創造神話に登場するナモンジョックを描いたもの。赤い岩に浮かび上がる自由で伸びやかな描線は、見飽きることがない。

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太古の昔に描かれた絵に、思わず見入ってしまう

ここはノーランジーロック。ウビアと並ぶ、ロックアートの宝庫だ。有名なナマルゴンの絵のほかにも、狩りの様子や動物が描かれ、見ごたえ十分。アボリジニは絵を通じて私たちが想像する以上に豊かな感情や情報をやりとりしていたのだろう。

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ノーランジーロック

生命の楽園、イエローウォータークルーズへ

鮮やかなピンクのスイレンが咲く静かな湿原を、ボートはゆったり進む。日差しが水面に反射してきらきら輝き、たっぷりと水を含んだ草木の緑はみずみずしい。周囲を行きかうのは、カワセミやワシ、ペリカンなどの鳥。蓮の葉の上をちょこちょこ歩いているのは、トサカレンカクという鳥だそう。なんだか、現実離れした美しい風景だ。

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カラフルな鳥がそこかしこに

イエローウォータークルーズは、カカドゥ国立公園で特に人気があるアクティビティー。広大な湿原には1600以上の植物、200以上の鳥類が生息するのだという

「クロコダイル!」

ガイドの声に、乗客から歓声があがった。体長3メートルくらいありそうな、大きなワニが何匹も岸辺でくつろいでいる。動物は朝か夕方が活発、と聞いて夕方の便にしたのは正解だったようだ。

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目の前に現れたワニにくぎづけ!

夢中でシャッターを切りながら、カカドゥやその他の場所で見てきたアボリジニの絵を思い出した。描かれていたたくさんの動物、伸びやかな線、強い色。すべての要素は、今、目の前に広がる生命の楽園に見つけられる。アボリジナルアートは、ノーザンテリトリーの自然が生み、何万年もの時間をかけて育んできたものなのだ。

>>「<1>刻々と色を変える神秘の一枚岩、ウルル」はこちら

>>「<2>絶景の懐に飛び込むアドベンチャー体験 アリススプリングス」はこちら

>>「<3>渓谷と温泉、水の恵みに癒やされるキャサリン」はこちら

>>ノーザンテリトリーの特集はこちらから

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壮大な自然と出会う オーストラリア ノーザンテリトリー

広大な空と大地の絶景、様々な自然遺産、野鳥や動物とのふれ合い――。オーストラリアの中央北部のノーザンテリトリーは、世界遺産のウルル(エアーズロック)を中心に、先住民のアボリジナル文化にふれたり、トレッキングやクルーズを体験したりと、地球の神秘とアクティビティーを楽しむことができます。また、ネイチャーリゾートだけでなく、グルメやショッピングも楽しめるエリアがあるのも魅力の一つ。ノーザンテリトリーで優雅な自然体験をしてみませんか。

特設サイトをご覧ください。

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