パリの外国ごはん

《パリの外国ごはん そのあとで。》Jixiao’s Bunsの発酵ササゲ麺

《パリの外国ごはん そのあとで。》Jixiao's Bunsの発酵ササゲ麺

室田万央里さんが再現した、Jixiao’s Bunsの発酵豇豆麺

パリ在住のフードライター・川村明子さんと、料理人の室田万央里さんが、いま気になるパリの外国レストランを訪問する連載「パリの外国ごはん」。今回から、これまで2人が訪れたお店の「あの一品」をふり返って再現する新連載、「パリの外国ごはん そのあとで。」が、お店訪問の回と交互に掲載する形で始まります。

最初は、前回、思いがけず川村さんの体に反応が出た中華料理Jixiao’s Bunsの、それでも忘れられないあの発酵豇豆(ささげ)麺を、室田さんが自宅で再現してくださいました。さらにレシピも公開! わたしたちもぜひ、挑戦してみようではありませんか!
    ◇

ダメージが大きかったのに忘れられない、発酵豇豆麺

前回、食べている最中から、体がダメージを感じ始めてしまったJixiao’s Bunsでの食事は、これまでにも少なからず参ってきたこの連載の中でも、強烈な印象を放つものだった。のに……。なんだか確かめたいような思いが渦巻いて、どうしてももう一度行きたい気持ちになった。

気になるものがあったのだ。
それは、麺のオプションで注文した「豇豆」(ささげ、と読むらしいです)を発酵させたもの。
高菜漬けのような味がした。
あとから思い返すと、ザーサイのような感じもしなくはなかった。
中華街に行くと、からし菜漬けがパックで、それこそ高菜漬けのように売られている。あれの一種なのだろうか?

それとも自家製?
家でできるものなら作りたい。
あるもので作るとしたら、サヤインゲンになるだろう。地物のサヤインゲンが出回るまでにはまだ時間があるから、それまでに解明したい。
最近アルザスに行って、連日シュークルート(ザワークラウト)を食べ、発酵食品に興味が傾いていたことも気持ちを後押しした。
それで、意を決し、もう一度食べに出かけた。

前回食べた、豚肉入りとベジタリアンの2種が盛られた包子と、ベジタリアンの自家製麺を注文。
汁なしのものを食べるつもりでいたのに、うっかり汁ありのものを頼んでしまった。
それにオプションで例のもの、豇豆を追加。
コーンが印象的だったベジタリアンの包子を頬張っていたら、麺もすぐに出てきた。
熱いうちに食べようと包子はいったん置いて、麺を食べ始めた。

《パリの外国ごはん そのあとで。》Jixiao's Bunsの発酵ササゲ麺

Jixiao’s Bunsのベジタリアン自家製麺。オプションで豇豆を追加(写真・川村明子)

麺自体は、手作り感があってやはりおいしい。
そしてサヤインゲンに似た発酵食品。
シンプルに塩漬けな気がするんだよなぁ。
生を長く漬けたらこうなるのではないか。
一度、サヤインゲンをぬか床に漬けてみようか、と考える。
歯ごたえもいい。
温かい豆乳を飲みながら、食べ終えた。
在店時間は25分。

会計をするときに聞いてみた。
「あのインゲンは、どこかで買うことができるのですか?」
「中華の食材店で買えますよ」
「13区のスーパーとか?」
「あ~、13区にはないかもしれない。ベルヴィルか、アール・ゼメティエに行けばありますよ」
と言いながら、彼は渦巻きのジェスチャーをした。
「あれ、そんなに長いのですか?」
「長いです。切って使ってる」

前回ほど体にだるさは感じていなくて、何よりも、ぐったりしてしまう前に動こう! とアール・ゼメティエの小さな中華街に行くことにした。

《パリの外国ごはん そのあとで。》Jixiao's Bunsの発酵ササゲ麺

中華食材店に売っていた、豇豆

からし菜漬けのパッケージが並ぶ棚に、それはあった。
裏の原材料欄を見る。
素材そのものの他には、塩、水だけ。
そこに、保存料が4種類、酸化防止剤、酸化調整剤、着色料が入っているらしい。

夏になって、サヤインゲンが出てきたら、塩水に自分で漬けてみようと思う。
あれは、あえ麺の具に、とってもおいしい。
それにザーサイの代わりに使って、鶏胸肉と汁麺にもしたい。
(川村明子)

室田さんのレシピ「Jixiao’s Bunsの発酵豇豆麺」

《パリの外国ごはん そのあとで。》Jixiao's Bunsの発酵ササゲ麺

初公開! 室田さんの料理イメージメモ

Jixiao’s Bunsにて、ささげの漬物トッピングにぐっときた、イービンスタイルのベジ麺。マルシェに出始めたグリーンピースに小さなイカをさっとゆで、ミントも合わせて作ってみました。漬物の発酵臭のかわりに、ニョクマムの香りとニンニクのパンチ力を借りて。

■材料 (一人分)
インゲン 70g
グリーンピース さやをむいて大さじ2くらい
20gのカブの葉を小さじ1の塩でもんで一晩置いて塩漬け風にしたもの(本物のカブの葉の漬物があればそれでもいい)
ゆでた小イカ 50g
卵 1個
中華麺(縮れていないストレートなものが良い)一人分
おろしニンニク 小さじ1/4
塩 大さじ2
ニョクマム 小さじ 1/2
ごま油 大さじ1
ごま 大さじ2
ピーナツ 大さじ2
あればクルミ、アーモンドなども加えてもいい

■タレ
エシャロットオイル* 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
オイスターソース 小さじ1
ニョクマム 小さじ1/4

■作り方
1. 塩漬けにしたカブの葉は水気を切り、みじん切りにしたものを大さじ1のごま油で炒める
2. インゲンは水500mlに対し、漬物のしょっぱさを意識した多めの塩、大さじ2の湯で歯ごたえが残る程度にゆでる。ザルの上で冷ましみじん切りにしたらニンニクとニョクマムであえる。同じ湯でグリーンピースもサッとゆでる
3. 卵は沸騰したお湯に入れて、6分のやや半熟にゆでて半分に切る
4. 食べるときに下から混ぜられるような深めの皿に、タレの材料を入れる
5. 麺をたっぷりのお湯で表示された時間通りにゆで、よく水気を切り皿に入れる
6. 速やかに具を乗せた後小走りにテーブルまで急ぎ、箸でよーく下から混ぜる。間髪を容れず周りを気にせず音を立てて油まみれの麺をすすりこむ!

《パリの外国ごはん そのあとで。》Jixiao's Bunsの発酵ササゲ麺

よーく混ぜて、いただきます!

 

エシャロットオイル (作りやすい分量)

エシャロット 1個(なければ長ネギ1/2本)
ひまわり油(またはクセのない油) 大さじ4
唐辛子(辛さが欲しかった私はタイの生唐辛子を種を取らず使用。干したものでも可)

■作り方
エシャロットを薄切りにする。
小さな鍋に油とエシャロットを入れ中弱火で熱し、薄く色づくまで揚げたら取り出す。縦半分に切った唐辛子を入れこれも色づくまで揚げて取り出す。
ごま油、ラー油などでも良いとおもうが少し面倒くさくてもこのオイルを作ると口いっぱいにすすり込んだ麺が格段に香りが良いです。(室田万央里)

PROFILE

  • 川村明子

    東京生まれ。大学卒業後、1998年よりフランス在住。ル・コルドン・ブルー・パリにて製菓・料理課程を修了後、フランスおよびパリの食にまつわる活動を開始。現在は執筆のほか、パリで活躍する日本人シェフのドキュメンタリー番組『お皿にのっていない時間』を手掛けている。著書に『パリのビストロ手帖』『パリのパン屋さん』(新潮社)、『パリ発 サラダでごはん』(ポプラ社)、昨年末に『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)を出版。
    日々の活動は、Instagram: @mlleakiko、朝ごはんブログ「mes petits-déjeuners」で随時更新中。

    https://www.instagram.com/mlleakiko/
    http://mespetitsdejeuners.blogspot.com/

  • 室田万央里(イラスト)

    無類の食べ物好きの両親の元、東京に生まれる。
    17歳でNYに移り住んだ後、インドネシア、再び東京を経て14年前に渡仏。
    モード界で働いた後に“食べてもらう事の喜び”への興味が押さえきれずケータリング業に転身。
    イベントでのケータリングの他、料理教室、出張料理等をパリで行う。
    野菜中心の家庭料理に妄想気味のアジアンテイストが加わった料理を提供。理想の料理は母の握り飯。未だその味に到達できず。
    Instagram @maorimurota

興奮の焼き包子とスパイシーヌードル「Jixiao's Buns」

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謎の白いソースが絶品。レバノン料理「Le Coeur du Liban」

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