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<110>理想の旅行先を探しに行こう 「H.I.S.旅と本と珈琲と Omotesando」

「今度の休みは旅行に行こう!」
そう思いついた時、次は何をするだろうか? 日程や行き先がある程度決まっているのであれば、インターネットで検索するだけで、さまざまな旅行ツアーを見つけることができる。旅慣れた人であれば、航空券とホテルだけ手配して、あとは現地で好きなように過ごすのもいい。

スマートフォンさえあれば、家に居ながらにしてさまざまな検索ができるのだから、わざわざ旅行会社の店舗に行き、パンフレットを集めたり、カウンターで相談したりすることもめっきり減ったという人も多いのではないだろうか。

一方で、カウンターの“中の人”ももどかしい思いを感じていたという。2015年10月、東京・表参道にある「H.I.S. 旅と本と珈琲と Omotesando」の立ち上げに携わった株式会社エイチ・アイ・エスの大橋礼奈さん(28)はかつて、店舗でのカウンター業務に就いていたことがある。

「現在、弊社での申し込みは店舗が約半数、インターネットが3割弱という割合ですが、オンライン経由でのお申し込みはどんどん伸びています。私が以前、カウンターで接客業務をしていた時、旅行会社のカウンターはお客様を待ち構えるだけではなく、インターネットの検索にはない、もっとお客様のお役に立つことができる利点がたくさんあるのにと、もどかしく思うことがよくありました」

<110>理想の旅行先を探しに行こう 「H.I.S.旅と本と珈琲と Omotesando」

行き先や日程がはっきり決まっているのならまだしも、「きれいな海に行きたい」というように、漠然とした状態でカウンターに行く人はあまりいないだろう。大橋さんは常々、行き先などが明確でなくても気軽に相談してくれたらいいのに、と感じていた。旅行会社の店舗へのハードルを極力なくせないものか。そこでひらめいたのが、コーヒーが飲めて、旅の本に自由に触れられる空間だった。

「H.I.S. 旅と本と珈琲と Omotesando」の1階部分にあるのは、恵比寿に本店を構えるスペシャルティコーヒー専門店の「猿田彦珈琲」だ。外観にはエイチ・アイ・エスのロゴが大きく掲げられているものの、カフェと思って入る人も少なくない。カフェの奥には階段があり、半階降りると、そこには1500冊以上の旅に関する本や写真集、雑貨などが並べられている。白を基調としたアンティーク風の本棚やテーブル、ソファがあり、コーヒーを片手に自由に読むことができる。本のセレクトはブックディレクター・幅允孝さんによるもの。

「ガイドブックだけでなく、小説や写真集など旅を感じさせる本がたくさんあります。私もこの店に来るたびに新たな本との出合いがあり、よく買って帰ります。お客様からも、『この店だからこそこの本に出合えた』といううれしい感想をいただいたこともあります」

<110>理想の旅行先を探しに行こう 「H.I.S.旅と本と珈琲と Omotesando」

本のフロアからさらに半階下がると、そこにはおなじみの旅行カウンターとパンフレットが並ぶ棚がある。天井が高く広々とした空間。カウンターに座るスタッフはカジュアルなブルーシャツを着用し、気軽に声をかけやすそうな雰囲気を漂わせている。

「この店のスタッフはコンシェルジュと呼ばれ、全員が15カ国以上を旅した経験の持ち主。いろんな相談に乗ってくれます」

もちろん行き先が未定でも大歓迎。以前、「海に行きたいからハワイかな」と相談に訪れた客が、コンシェルジュに旅先でしたいことや、見たいことなどを語るうちに、最終的にバリ島に決めたこともあったという。

「コンシェルジュはお客様のニーズをお聞きして、ぴったりの行き先をご提案することができます。上のフロアから本を持ってきてお見せしながらご説明もできますし、お客様が本を見て『ここに行ってみたい』と思ったらすぐにご相談に乗ることもできるんです」

<110>理想の旅行先を探しに行こう 「H.I.S.旅と本と珈琲と Omotesando」

同店では月に数回、さまざまなイベントを開催している。旅とカメラのワークショップを開いたり、ワインジャーナリストを招いてイタリアワインの魅力を語ってもらったりと、新たな旅へのきっかけになりそうな多彩なラインナップが特徴だ。

「コーヒーを飲みながら、相談自体も楽しんでいただけるといいですね。旅への背中を押す場でありたいと思っています」

新天皇の即位に伴うゴールデンウィークの10連休が近づいている。パッケージツアーや航空券の代金が高騰しているという報道もあるが……。

「旅行会社の店舗では、インターネットでは検索できないあらゆる航空券も調べられますし、うまく探せばまだまだ間に合います。ぜひ一度、相談に来てください!」

■おすすめの3冊

<110>理想の旅行先を探しに行こう 「H.I.S.旅と本と珈琲と Omotesando」

『フィガロが選ぶパリっ子のためのオシャレにパリを楽しむ100』(著/アンヌ=シャルロット・ド・ラング、絵/ベルトラン・ド・ミオリス、訳/太田佐絵子)
おすすめの3冊はコンシェルジュでモルディブ・シンガポールマスターの佐藤沙紀さんがセレクト。1冊目はフランスの日刊紙フィガロのパリ情報誌「フィガロスコープ」の「パリですべきことリスト」から厳選した100項目を集めたシティーガイド。「パリはやはり女子旅に人気の目的地。母娘の旅行にもおすすめです。この一冊は、一般的なガイドブックで紹介される場所とは一味違った、パリ在住者が実際に訪れる場所や楽しみ方がたくさん載っているので、旅先で違った過ごし方ができますよ」

『ハチドリのひとしずく いま、私にできること』(監修/辻信一)
南米アンデス地方の先住民に伝わる話を紹介した一冊。森が火事に見舞われ、動物たちが逃げ出す中、1匹のハチドリ・クリキンディだけは、くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていた。「そんなことをして何になる?」と問われたクリキンディは「私は、私にできることをしているだけ」と答えた――。「一人が何かをしたところでどうにもならないと考えがちですが、自分にできることはあるということを教えてくれる一冊です。私も、お客様に旅行の楽しさを知ってもらうことは、ハチドリのひとしずくのようなものかもしれません。でも、旅は他の国の文化や歴史を知るきっかけになりますし、ひいては世界平和につながるんじゃないかと思っていて、この本を選びました」

『かけがえのない旅のつくりかた ニュージーランド篇』(監修/詩歩)
ベストセラー『死ぬまでに行きたい! 世界の絶景』の著者が監修。現地ならではの観光情報を、取材チームがその場で遭遇したエピソードや写真とともに紹介。「ニュージーランドに行きたい人にはおすすめの本です! 写真が多くて素敵ですし、旅の周辺情報が丁寧に記されているので、とても役に立ちます」

写真 山本倫子

H.I.S. 旅と本と珈琲と Omotesando
東京都渋谷区神宮前4-3-3 バルビゾン7番館
https://www.his-j.com/branch/omotesando/

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PROFILE

吉川明子

兵庫県生まれ。コンピューター・デザイン系出版社や編集プロダクション等を経て2008年からフリーランスのライター・編集者として活動。旅と食べることと本、雑誌、漫画が好き。ライフスタイル全般、人物インタビュー、カルチャー、トレンドなどを中心に取材、撮影、執筆。主な媒体に週刊朝日、アサヒカメラ(「写真好きのための法律&マナー」シリーズ)、婦人公論、BRUTUS、mi-molletなど。

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